東からの使者Ⅲ⑤
「どう思う?」
「どうとは?」
「奴らの目的をどう思うかってことだ」
「ああ、そう言う意味か。ズィーイ皇国は魔道でシャロン公国をし支配しようとしている、というところじゃないか」
「戦争をしようとしている訳ではないと?」
「一度懲りているだろう。今更だと思うが」
ズィーイ皇国が宗教国家であればシャロン公国を宗教的支配しようとすることは理解できる。ただズィーイ皇国は宗教国家ではない。
魔道支配国家(そんな言葉はない)とすれば、その版図をシャロン公国まで広げようと言うのか。
「ではどのように支配しようと?魔道中心の国に、というのは理解できなくはないんだが、それによってズィーイ皇国にはどんな利があるというんだ?」
「それは判らないな」
「何だお前にも判らないことが有るんだな」
「当り前だろう」
「裏の話は全てお前に聞けば判ると思ったんだが」
「買いかぶり過ぎだ。私の手はそれほど長くはない」
「ただ短くもないだろ?」
「まあそうだが。それでお前は何を気にしているんだ?」
「シャロン公国が魔道中心の国に成ったら困る」
一瞬シェラックは驚きの表情を浮かべた。確かにロック=レパードは剣に生きているだろう。シャロン公国も剣中心の国だから生きやすいとも言える。
それが魔道中心の国に成ったら困るというのか。シェラックは少し可笑しくなってきた。
「困るか。確かにお前なら困るんだろうな」
「強い奴が減ってしまう」
なるほど、強力な魔道士が活躍する国なら強い剣士は減る運命になる。ロックとしては強い剣士が大勢いて欲しいのだ。
「面白い奴だな。ではズィーイ皇国の目論見を潰したい、ということなのか。なぜそれをルークやリロンではなく私に言うのだ?」




