第12章 東の国の陰謀 東からの使者Ⅱ⑤
「ああ、パルバロスたちの件ならお気になさらないでください。貴族たちの確執は多分何処の州でもあるでしょうが、ここプレトリアでも割と有り触れた出来事なのですよ。彼らはその犠牲者ですから」
「でも、その貴族たちから恨まれたりはしませんか?」
「その時はその時です。彼らは私の役に立ってくれると思っていますから、私にとっても利のある事なのです」
リロン所長にとっては味方をしてくれる人材は貴重なのだ。バルバロスたちはリロン所長の身を守ることであれば十分その役割を熟すだろう。
「そう思っていただけているのであれば有難いです。ただ僕としては恩義を感じているという事だけは覚えておいてください」
「判りました。いつかどこかで返していただきましょう」
リロン所長は笑顔で応えた。そこへ先が入って来た。
「ユスティさんが目を覚まされました。リロン所長を呼んでおられますが」
「判りました。ルークさんもご一緒に」
先に先導されてリロンとルークかユスティの部屋に向かった。
「お加減はいかがですか?」
「リロン所長、ご心配をおかけしました。もう大分よくなりました」
「それは良かった。確かに少し顔色が良くなってきましたね」
「はい。サキさんにはお世話をしていただいて本当に申し訳ないです」
「ユスティさん、大丈夫ですよ。私はそのためにここに居るんですから」
「ずっと目を覚まさないって聞いてたから、どうなるかと思ったけどよかったね」
「ルークさんもありがとうござます」
「君が元気になってくれれば、それだけで皆嬉しいよ」
「はい、あと少しお時間をいただければ元に戻るんじゃないかと思います。それで所長に少しお話があるのですが」
目覚めたばかりのユスティにあまり長話をするわけにもいかないのだが話があるというのであれば聞かざるを得ない。
「なんでしょうか。手短にお願いしますね、まだ体調重視ですから」
「実は熱で意識があまりなかったのですが、その中で感じて事があるのです」
「感じたこと?」
「確かではないのですが、誰かの魔道、それも呪いの魔道を感じたのです」
リロンやルークが気づけなかった魔道の痕跡を、かけられた本人が気づいた、ということか。




