第12章 東の国の陰謀 東からの使者Ⅱ④
「医者に見せても同じことでしょうね」
「そうですね。私も少しは知識があります。今のところどうも原因が判らない、としか言いようがないのです」
リロン所長としては客人であるユスティが病気で臥せってしまっていることは気が気でないのだろう。ただユスティとリロン所長の間にどんな利害関係があるのか、ルークには判らなかった。
「所長や僕にも判らない呪術という事はあり得ませんか?」
「それは確かに少ないですが可能性としては否定できませんね。ただ魔道士団の団長であれば私なら見破れると思います」
それはリロン所長が魔道士団のソロ=キール団長と同等、或いは所長の方が高位の魔道士だということだ。
「そうですか。ではもっと高位の魔道士でも出てこない限り呪術ではなくただの病気ということですね」
「もっと高位と言うと」
「数字持ちの魔道士の中の誰か、というところでしょうか」
「数字持ち魔道士がプレトリアに来ていると?」
「いいえ、そんな確証は有りません。数字持ちの魔道士は他の魔道士からは認知できなくなるという事ですし」
高位になればなるほど、その存在は他者からは見つけられなくなるのだ。
「もし数字持ちの誰かがプレトリアに来ているのであれば父が放ってはおかないでしょう」
「そうですね。僕程度でもお声が掛かったのですから」
実際はルークの場合は魔道研究所に関わっているのでリロンの動静を知りたい、ということではあったが魔道士としても召喚したかったことは間違いない。
「それにしてもリン次官はどう動くのでしょうね」
「父に取り入ってシャロン公国を魔道中心の国に変える、などということは絵空事でしかありません。それに気が付かない父ではないと思うのですが」
「操られてしまったら困る、と?」
「そうですね。洗脳や精神支配系の魔道が得意なものがズィーイ皇国から随行しているとすれば場合によっては」
「そうならない様、明日にでも侯爵を訪ねてみますよ。何かの変化があれば気が付くでしょう」
「ありがとうございます。お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。他州の方にお頼みするのは申し訳ないのですが」
「いいですよ、任せてください。所長にはお世話になっていますし恩もありますから」
「恩?」




