第12章 東の国の陰謀 東からの使者Ⅱ
「どう思う?」
「さあね。リン=ソウシュクの本音は判らないよ」
実際ルークはリンの意図を測りかねていた。魔道絶対主義とも言うべきリンの主張にルークが簡単に靡くとでも思っていたのだろうか。
「最終目的が問題だな」
そこだった。ズィーイ皇国の支配下にシャロン公国を置く。それが目的だとすれば手段は戦争しかない。
宗教国家として他国を宗教的に支配することもあるだろうが、ズィーイ皇国は宗教国家でもない。
魔道が軽視されているシャロン公国を魔道中心の国家に変えることが、何かズィーイ皇国の利益になるとも思えない。
「リロン所長とも相談してみようか」
「そうだな。まあ任せる。いずれにしても魔道関連なら俺の出番はないからな」
魔道研究所に戻るとリロン所長とバルバロスが居た。シェラックやロン、ディーノ姿はない。ユスティはまだ自室にこもっている様だった。体調が戻らないのだ。
「そそうですか、ズィーイ皇国の外交次官とお会いになられたのですね」
リロンはロックたちが使者の様子を探るとは言っていたが直接会うとは思ってはいなかった。
「向こうから接触してくれましたのでね。それで聞いた内容は今お話しした通りなのですが、所長のご意見をお聞きしたいと」
リロン所長は少し考えて切り出した。
「そうですね、十五年前は魔道による武力制覇を目指して失敗しています。今度は魔道だけで切り込んでいずれは完全支配を、とでも思っているのでしょうか」
「そんなところかも知れませんが、とても成功するとも思えないのですが」
「確かに。いくらプレトリア州が魔道中心の集だとしてもシャロン公国の支配を離れてズィーイ皇国の支配下にはいる選択肢はないでしょうから」
ズィーイ皇国のプレトリア州属国化、というところか。現実的ではないが可能性が無いと言えない、とルークは思った。シャロン公国を魔道中心の国にしたいというのはレイン侯爵の悲願でもあるのだ。
「そうですね。ただ侯爵と利害が一致しているとしてお互いがお互いを利用しようとする、ということは考えられませんか?」
「父がズィーイ皇国の後ろ盾を得てシャロン公国に魔道中心へ改変を迫る、ということですか」
「元々侯爵はそのおつもりのようですよね」
「後ろ盾なのか実際の助力なのか。いずれにしても見返り、というあたりで交渉があるでしょうね。逆に何も求めないなどと言い出したら父の施政を形骸化することに心血を注ぐつもりかもしれません」
その表情からするとリロン所長はズィーイ皇国の専横を見て見ぬふりをする気はないようだった。




