第12章 東の国の陰謀 東からの使者⑧
「それでルークさんをお呼びした件なのですが」
リンはせっかちなのか特段の無駄話も無しにいきなり本題に入ろうとした。まだまだ若い証拠だ。ただ隣国からの使者として全権を負かされてきている、無能ではない。
「はい、なんでしょうか」
「今このシャロン公国で魔道はどのような立場であるとお考えですか?」
「立場ですか?」
「そうです。シャロン公国の中では剣と魔道なら剣の方が上位に立っていると聞き及んでいますが、間違いないでしょうか」
「まあ、割とそのような州が多いとは聞いています。ここプレトリア州以外はほとんどそうではないでしょうか」
ルークとしても聞いた話ではある。実際に自分たちが旅をして来たアゼリア、ガーデニア、アストラッド州は確かに剣の方が魔道より重要視されていた。
「そこです」
リン=ソウシュクは何が言いたいのか。確かにズィーイ皇国は魔道の国だ。当然リンも魔道士なのだろう。直接会ってみてルークはリンが相当上位の魔道士であると感じていた。
「わが国では剣よりも魔道が重要視されています。貴族や為政者たちはほぼ魔道士です。剣士を兼任している者もいますが、身分や序列は魔道士としての格で決まるのです」
ズィーイ皇国では皇帝は勿論、国王も貴族も世襲が基本なのだが当主の魔道力の多寡により爵位が下がったりすることも希にるくらいなのだ。同じ爵位でも序列が上がったり下がったりすることもある。
それほど魔道を重要視している国は他に類を見ない。
「なるほど、それほど貴国にとって魔道は重要なのですね」
だからどうなのだ?そこがまだ語られていない。
「我が国としては、それが本来のあるべき国の姿だと考えているのです」
なるほど、その考えを他国へも広げたいということなのた。ある意味宗教の布教活動の様なものか。しかし政治の話になると簡単には行かない。
「それは現状のシャロン公国では受け入れがたいことでしょうね」
「そうなのです。一昔前、その考えを広めようとこの国に交渉をし掛けたのですが不幸な結果に終わりました」
先の戦争のことだろう。魔道の戦いでズィーイ皇国が破れてしまったのだ。本来それはあり得ないことの筈だった。
「それをもう一度やろうということですか?」
「いえ、そうではありません。我が国はシャロン公国と戦争をする気はありません。ただ魔道上位の国に変貌を促したい、ということなのです」
それが受け入れられなければ再び戦争ということではないのだろうか。




