第12章 東の国の陰謀 東からの使者⑦
「さあ、こっちだ」
魔道士は二人を城の中に引き入れるため姿を現した。見た目は魔道士には見えない。
「我が主ソウシュクの命で二人を連れてきた」
門番にそう告げると何も咎められることなく三人は中へ入れた。ズィーイ皇国の使節団の一員として認識されている魔道士と一度来たことが有る二人だったからだ。
ロックたちはリン=ソウシュクが与えられている部屋の控えの間へと直接連れて行かれた。
「よく来てくれました、ルーク=ロジックさん。それとそちらが」
「ロック=レパードだ。呼ばれてはいないが来たぞ。駄目だったか?」
「いいえ、とんでもない。確か聖都騎士団長のお子さんでしたか」
「副団長の、だ」
「これは失礼。いずれ団長になられるのではありませんか?」
「そんなことは俺には判らない。父は父だしな」
「そうですか。あなたが聖都騎士団を率いられる日が来るといいですね」
「俺にはそんなつもりは全くないが」
「そんなことはないでしょう。あり得る未来ではないかと思いますが」
「そんな話はどうでもいい。それでルークを呼び出した理由は何だ?」
ロックについても情報を持っているということを言いたいのだろう。色々と知ってはいるようだ。
「そうでしたね。態々お越しいただき申し訳ありません。今のところ私が城の外に出難いものですから」
リンが城外に出ることは暗に禁止されているのだろう。もし出られるとしても監視付き、というところか。
「それで配下の者にルークさんを迎えに行かせたのです。驚かれたことでしょう」
色んな人がそれぞれの思惑でルークを城に誘う。何をルークに望んでいるのか、その本心は今のところあまり判らなかった。
「いえ、むしろあなた達が来られているとお聞きしたので、お目に掛りたいと思っていたところなのですよ、リン=ソウシュクさん」
こちらも情報は持っているのだとルークは仄めかしてみた。腹の探り合いをしたい訳ではなかったが。
「ああ、名乗って居ませんでしたね。そうです、私がズィーイ皇国外交省次官リン=ソウシュクです、よろしくお願いします」
リンはルークたちとはそれほど歳が離れているようにも見えない。ただズィーイ皇国などの極東の国々の男は童顔が多かったので見た目だけでは判断できない。




