第12章 東の国の陰謀 東からの使者④
(毎度毎度、使い魔使いが荒い奴め)
「まあ、そう言わないでよ。いつも頼りにしているんだから」
(普段は存在自体を忘れておるくせに。まあいい、承知した、直ぐにでも行ってくるとしよう)
「頼むよ」
ルークがジェイに指示をしている間、すぐ横でロックは少し機嫌が悪かった。
「どうしたの、ロック」
「いやどうもしないが、今のところ俺の出番がない」
「それは仕方ないよ、剣でどうにかなる展開でもないし。特にここプレトリア州は魔道重視だからね」
「それは判ってここまで来ているんだが、あまりにもすることが無いし、強い剣士とも出会わない。暇で仕方ないぞ」
「ロックが忙しくなるような場面が来ないに越したことが無いって」
ロックはそのまま研究所を出て行ってしまった。余程暇を持て余しているのだろう。
外に出るのはいいが厄介ごとを連れて帰ってこないように祈るルークだった。
「さて」
ルークはロックを見送ると自身も研究所の外に出た。確率は低いかも知れないが、ある目的があったからだ。
ザグレブの街の中心にある大通りには大きな店が並んでいる。日用品や薬屋を初め魔道士ご用達の杖屋や燃やすことで誰でも魔道の呪文を唱えたことになる様々な羊皮紙の店もあった。
この羊皮紙は他の州では見かけないものだった。シュタールにも無かったのでシャロン公国ではプレトリア州でしか手に入れられなかった。
但し使える魔道はごく簡易的なものに限られており、炎の魔道であればマッチの代わりにしかならないていどのものだった。
ただ灯を灯す魔道羊皮紙は重宝されている。暗い洞窟探索には欠かせないものだった。他州では魔道士を連れて行かなければならないのだ。
「さすがプレトリア、魔道については一番進んでいるな」
ルークはただ店を見て回っているようにしか見えなかったが目的は別にあった。自らを囮にしてズィーイ皇国の関係者が接触してこないか、待っているのだ。
「流石に用心深いか。それとも僕が認識されていないだけなのかな?」
プレトリア州魔道研究所のリロン所長はルークがマゼランに居る時から接触を持とうとしていた。それはルークが重要視されていることの証だったのだが他国であるズィーイ皇国まではルークの存在は知られていない、ということなのだろうか。
ルークは大通りから裏通りへ、裏通りからお大通りへと様々な通りを行き来してみた。声を掛け易いように薄暗い小道に張ったりもしてみた。




