第11章 プレトリアの真実 魔道の国Ⅳ⑩
「シャロン公国建国時に活躍した魔道士オーガです」
その存在は伝説だった。今の数字持ちの魔道士たちはオーガの弟子だった者が何人かいる。
そもそも数字持ちの魔道士たちは自らの代謝を制御して長命なものが多い。不老ではないが長命は高位の魔道士であれば不可能ではない。
特に長命なのはオーガの直接の弟子である数字持ちの魔道士序列第7位炎のドーバが一番だろう。ドーバは130歳を超えていると言われているのだ。
ドーバの師匠であるオーガはシャロン公国建国時に既に100歳を超えていたと伝えられている。今健在であれば230歳を超えているだろう。
流石にオーガの場合は長命では説明が付かない。そこで本当にオーガが健在であるのならば不老や不死が現実味を帯びてくるのだ。
「オーガって本当にいきているんですか?」
ルークが問う。シェラックとユスティの表情が少しだけ動いた。
「いえ、あくまでも伝説です。ただその死を確認した者は居ないと伝えられてもいます。生きていても不思議ではない、というところではないでしょうか」
「オーガが生きているとして、もし本当に生きているとしたら不老不死は手に入るということですかね」
「どうでしょうか。本当に生きているとして、その技を簡単に伝えてくれるとも思えませんが」
不老不死は為政者共通の願いだが、それを手に入れた者の末路はただのただの独裁者である可能性が高い。
自らは歳を取らないし死なないのだ、その治める民たちがどうなっても関係ないと放置してしまうかも知れない。
良政を行う為政者が不老不死であればまだいいのだろうが悪政しか行わない為政者が不老不死を手に入れたりすると大変なことになってしまう。いくら革命を起こしたり暗殺しようとしても死なないのだ。
「本当に生きているとしたら、ですよね」
ユスティの言葉には何か含みがあった。
「どうしましたか?ユスティさん、何かご存じなですか?」
「いえいえ、この国の人間でもない僕が何か知っている訳がありません」
あわててユスティが否定をするが、その態度が逆に何かを知っていることを悟られてしまっている。
「まあいいでしょう。話す気になった時はお願いします。私もあなたがたと同じ魔道を極めたいと思っている探究者なのですから」
「他に、他には方法はないのですか?」
シェラックが別の話をすすめようとする。やはりこの二人は何かを知っているようだ。リロン所長とルークは敢えて聞かない。無理に聞き出そうとしても余計に口を噤んでしまうだけだからだ。
「他に、ですか。そうですね」
話が変わりそうなのでシェラックとユスティはほっとした表情を浮かべるのだった。




