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re:Dream  作者: 夜更かし虎
親子の夢

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迷夢ー2

4章も終盤になってきました。

曇天の下の住宅街に花火のような破裂音が響く。

現実と違うのは、その音を主婦と青年が出している事だろうか。

「はっはっは!」

九条さんが笑顔で竹刀を振るう。陽太君の母は必死の形相で手足を振るう。

ぶつかるたびに重い衝撃音が響く。

距離を取り、竹刀で肩を叩く。

「すごいのう。こんなにも拳でいなされるとは思わなんだ。」

「なんで……なんでほっといてくれないの!!」

お母さんが叫ぶ。

「なんで私達の幸せを壊そうとするの!私は陽太を守りたいだけなのに!あの子の幸せを見守りたいだけなのに!!」

「それは違うのではないか?」

お母さんの動きが固まる。

「あの子に母が必要なのはそうじゃろう。じゃがな、お主はもうその役目ではない。」

「……。」

「起きたところであの子には苦難の道が待ってるんじゃろう。だからといってあの子をこのまま連れて行くのが良い事なのか?」

「…………だまれ。」

「親ならばできると信じて送り出してやれ!」

「だぁーまぁーれぇぇー!!」

髪が逆立ち、気迫が増す。お母さんを中心に庭と道路にヒビが入る。

「これは……いかんな。」

九条さんが一旦引く。やはり敷地の外までは追ってこない。

「お願いです。聞いてください!このままだと陽太君は……」

「うるさい!うるさい!!うるさい!!!」

話が全く入りそうにない。

「すまん、つい煽りすぎてしまったかもしれん……。」

「そんな事は無いですよ。その通りだと思います。」

「けしかけておいてなんじゃが……あれはそう簡単に止まらんぞ。」

「作戦通り3人がかりで行きましょう。」

「うむ。」「はい!」

悠真が変身し、九条は竹刀を置き、真琴から虎徹を受け取る。ひまりがシルクハットをどこからか取り出して被った。

九条さんが先陣をきる。構えつつ一歩敷地に入ると、お母さんが地面を抉り、跳んできた。

「すまんな。もう加減は無しじゃ。」

静かに一閃。飛んできたはずの母が吹っ飛び、庭を跳ねる。

「丈夫じゃのう。切れなんだか。」

「すご……。」

「これは俺たち出番ないのでは?」

「!」

砂煙の中からお母さんが再度突っ込んできた。

「同じ事じゃ!」

ガキィン!

金属がぶつかる鈍い音。

「何!」

どこからか出したお玉で虎徹と打ち合っていた。

「いかん!」

驚き反応が遅れた九条をお母さんが蹴り飛ばす。

体勢を崩した所にお玉の追撃がー

「させない!」

悠真が横からレグルスセイバーで切り掛かる。

お母さんはそれを見て動きを変え、跳び下がった。

「大丈夫ですか!」

「よそ見をするな!」

九条の方を見た一瞬でお母さんが距離をつめる。

お玉の一振りをくらう。とてもお玉とは思えない衝撃が走った!

「くっ……だったら……ガウスブラスター!」

赤い光弾を九条に当たらないように気をつけつつ連射する。全てかわすかお玉で弾かれてしまった。

かわしながら近づいてくるお母さん。

「なら、接近戦だ!」

ダイヤルを蟹座に合わせる。

光が両手に集まり、小手となる。

「アルタルフナックル!」

片手でお玉を受けつつ、もう片手で殴り返す!

「めちゃくちゃ痛いけど…これなら当たる!」

「小僧!好きにやれ!当たらんようにわしが合わせる!」

「はい!」

今度は2人で攻める。

(多少の傷はしょうがない!このまま手数で押し倒す!)

起き上がったお母さんに突っ込み、拳を振るう。

いつの間にか増えたお玉に受けられた!

「くっ……。」「これは……。」

2人がかりで振るっているのにお母さんは全てを捌いている。まるで背後も見えているかのように隙がない。

ゴン!一瞬の隙に悠真のガードがかち上げられる。

「しまっ」

ドン!

「小僧!っ!」

九条がこちらを気にした隙に弾かれる。

お母さんが跳ぶ。悠真に蹴りが迫る。

「ワン、ツー、スリー!」

目の前に現れたマントが取れると悠真はひまりの隣に移動していた。

「助かった!ありがとう!」

「いえ、これくらいしかできずすみません。お願いします!」

ダイヤルを魚座に。再び九条に向かうお母さんに、アルレシャウィップを伸ばして捕まえる!

一瞬動きが止まった隙に九条がしがみつく。

「いまじゃ!!」

「はい!」

ひまりがシルクハットを投げる。大きくなりながら九条ごとお母さんに被さりー

「ワン、ツー、スリー!」

帽子が飛ぶ。中には檻に入りロープで縛られたお母さんと九条さんがいた。

「脱出マジック!脱出しないけど!」

「このまま抑える!今のうちに陽太君を!」

「行くよ!」「えぇ!」

真琴と栞が敷地に入り玄関へ。ドアを叩く。

「開かないわ。」

「壊そう!」

「やめろー!!!!!」

真琴がハンマーを出す。叩きつけるがドアはびくともしない。

「うぁぁぁぁ!!」

「暴れるでない!!急げ!どんどん力が強くなっとる。長くは無理じゃ!」

檻が軋み、中では暴れるお母さんを内からは九条さんが、外から悠真が抑えている。

「やって」ガン!「るんだ」ガン!「よ!」ガン!

びくともしない。

「私がやる。」

糸を鍵穴に入れる。

「……?これ、穴だけだわ。鍵の仕組みが無いし、向こうにも繋がってない。」

「じゃあ下がって!」

バールのようなものを生成した真琴が、隙間に突き立て開けようと踏ん張る。

「陽太君!!聞こえる!?ひまりお姉ちゃんだよ!」 ひまりが呼びかけるも反応がない。

「お願い!あなたを助けたいの!話をさせて!!」

ガシャーン!

返事はなく、代わりに檻が壊れる音が響く。

見ると、吹き飛ばされた九条と悠真がいてお母さんがいない。

「あれ?どこに……」

3人の間にお母さんが現れる。

誰も反応できなかった。

まず真琴を蹴り飛ばす。バールのようなものはへし折った。次に栞に掌底を突き出し吹っ飛ばした。

そんな光景をスローで見ながら

(あぁ次は私だ。)

ひまりが覚悟を決めた時、

ガチャ

ドアが開く音。お母さんの動きが止まる。

「ママ……」

陽太君が出てきた。

「きちゃダメ!」

お母さんは庇いに行き陽太君を抱きしめて、体の後ろに隠す。

「陽太君!お願い話を聞いて!」

「いらない!あの子は今が幸せだ!」

「その通り!陽太君にとっては今が1番幸せなんだと思います。」

ひまりが語りかける。

「でもこのままでいいんですか?」

「いいに決まってる!陽太はこのまま一緒にいるんだ。」

「でも、このままだと……」「うるさい!」

「うるさい!うるさい!みんな嘘つきだ!私はいなくなったりしない!もう陽太と会えないなんて、そんなはずない!」

様子がおかしい。

「そっか……もしかして、」

ドン!

お腹を蹴り飛ばされてひまりも敷地の外へ。お母さんは陽太君を連れて家に戻った。


「いい線いったと思うんだけどな〜。」

真琴が頭を掻く。

「ひとまずあのお母さんをどうにかしないと。」

「じゃがおそらくあれ以上は厳しいぞ。どんどん力が増すし、ワシらでも抑えきれんかった。」

「あの……」

ひまりがおずおずと手を上げる。

「もしかしてなんですけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……どういう事?」

「うまく言えないんですけど、最後お母さんと話した時に話し方がお母さんの話し方じゃない気がしたんです。」

「まるで、だだっ子がわかってるけどやりたくなくて騒いでるような。」

「なるほど……いいとこに気がついたね。もしかして、2人とも陽太君なのかな?とすると自分を分けてる?人格毎に?いや、キャラを切り替えてる感じかな……」

真琴が考え出す。

「だとしたらお母さんを説得すれば良い?」

「はい。そう思います。戦わなくていいし、それが一番穏便に済むんじゃないかなって。」

「んーでも説得は厳しそうだなぁ……でも無理矢理連れ出すとしたら2人とも出さないといけないのかな?……よし!」

真琴が手を鳴らす。

「みんなで普通に玄関から行こうか!」

「少なくとも門を潜らなければこちらを襲ってこない。だからインターホンを押して、出てきてもらうか、それ越しで話をしよう。」

「……説得できなかったら?」

「それはまたその時考えよう。話ができたら情報も増えるしね。そうだ、澪ちゃんも連れてこうか。」

「澪も?」

「陽太君と1番年齢が近いし、一緒に仲良く遊んでたでしょ?後この中で唯一手を出してないから交渉に乗ってくれそう。」

「でも連れてくのは……。」

「悠真君も見たでしょ?お母さんは敷地から出られないから入らなければ大丈夫。なんかあったらみんなで守るから。」

「……そういう事なら。」

離れていた澪を呼び、みんなで向かう。

ピーンポーン

「……………………帰ってください。」

「お話ししませんか?私たちは門から入らないと約束します。」

…………ガチャ

お母さんだけ出てきた。

()()()()()()()()()()

真琴が先制パンチをかます!

「……?なんのことでしょう?陽太は部屋で寝てますが?」

さっきまでとはかなり異なる、記憶にあるお母さんの仕草で答えられた。

「気にしなくて大丈夫です。お話に応じてくださりありがとうございます。」

「まぁ。先程の人達と一緒思えないくらい丁寧ね。」

「お母さんはこのままでいいと思うんですか?」

「えぇ。私と一緒にいる事が陽太の望みですから。誰にも邪魔されず、誰にも陽太は連れて行かせません。」

キッパリ言い切られた。

「もう、()()()()()()()()()

「………………」

お母さんは俯く。

「あなたはもういないんです。」

「…………さい。」

「いつまでも大人が子どもを守れるわけではありません。厳しいかもしれませんが、助けてくれる人も必ずいます。」

「……るさい。」

「どうか陽太君を起こすのに協力してもらえませんか?」

「うるさい!!!わたし(ママ)はいなくなってなんかない!」

「みんな出ていけ!」

お母さんが門扉を超え真琴の顔面に拳を叩き込んだ。

「真琴さー」

呼ぶ前に九条と悠真が殴り飛ばされた。

間髪入れずに手足を振るい、栞とひまりも飛ばす。

そして、澪にも手が迫る。

悠真の中で何かが切れる音がした。

「やめろぉぉ!!」

変身した悠真が間に入り、お母さんの拳を受け止めた。体には紅い閃光が走っている。

「……妹に手を出すな!」

掴んだ拳を弾いて、自分の拳を叩き込む。紅光を纏った拳はお母さんを吹っ飛ばした。

「うるさいー!!」

お玉を出して母が突っ込んでくる。

悠真はそれを無言でいなすと拳をぶつけた。

閃光が拳を振るう度に走っていく。

「私だって守りたかった!ずっと一緒にいて守って欲しかった!」

「関係ない。」

レグルスセイバーを振るう。お玉を持った手が飛ぶ。

脚で突っ込んできて蹴りを出す。足が斬られる。

あっという間にお母さんは動けなくなった。

「すごい……。」

「でも、怖い……かな?」

動けないお母さんの首元にレグルスセイバーを当てる。

「終わりだ。」剣を振おうとした時、

ガシッ

足が何かに捕まる。

「やめて!!お母さんをいじめるな!」

いつの間にか出てきた陽太君が脚に捕まっていた。

「〜〜!?!!?」

途端に悠真は動けなくなった。この剣を振ってしまったら、陽太君は2度と母と会えなくなってしまう。

「何してるんだ!」

「悠真さん!」

「小僧……」

後ろから声が聞こえる。でも剣は振れない。振りたくなかった。

「じゃあわしが……」

ビーッ!ビーッ!

真琴の端末が警報を鳴らす。

空には巨大な裂け目ができ、また手が出てきた。

「危ない!」

巨大な手はお母さんごと悠真を包んだ。

「お兄ちゃん!!」

「まだ糸は繋がってる。すぐに起こして、」

ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!!

警報がさらに強くなる。

悠真とお母さんを包んだ手に黒い靄が集まり、ばちばちとスパークしているのが見えた。

そして、そのまま手は空の裂け目に消えていった。

「お兄ちゃん!お兄ちゃんが連れてかれちゃった!」

「落ち着いて!糸は?悠真くんは今どこ?」

「大丈夫。まだ繋がってるわ。今は……」

空に伸びていた糸が急に方向を変える。陽太たちの家の中に。

「……家の中にいるわ。」

ガチャ

ドアが開き、ケガの無くなったお母さんが現れる。

「ママ!」

陽太君が抱きつく。

「あ、パパも一緒だ!」

「パパ?」

後ろから悠真が出てくる。眼はうつろで動きもぎこちない。

「あなた。」

お母さんが悠真に話しかける。

「私たちの幸せを壊そうとする人達がいるの。」

うつろな目がこちらを向く。

「お願い。守って。」

「…………変身。」

いつもの赤い光に包まれた、誰かを守るための優しいヒーローが現れる。

「……オレは家族を守る!」

その剣は守るべき人に向けられた。

この展開はやりたかった!

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― 新着の感想 ―
「幸せな夢から人を起こすことは、本当に救いなのか」という部分を読んでいて、『ブラック・ジャック』の「浦島太郎」を思い出しました。 九条さんやひまりちゃんは現実へ帰る理由を見つけられましたが、陽太くん…
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