NEST REPORT
リクエストにお応えして!
真琴のレポートです。
調査報告書
件名:ユメセカイに関する基礎情報・現時点での確認事項
報告者:神崎 真琴
所属:調査部 探求課 探索チーム主任
機密区分:内部資料
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チーム長→課長→部長→副所長→所長
五 四 三 二 一
十 宮 浦 階 ノ
嵐 堂 瀬
♢ ♢ ♢
1.ユメセカイとは
・ユメセカイとは、人間が睡眠中に見る「夢」が、単なる個人の脳内現象ではなく、ある程度共通の一つの「セカイ」として形成される現象である。
・2030年に日本にて初めてこの現象が確認。この現象により複数の人間の夢が接続する事例が確認され、それ以降、NESTを始め、様々な機関でユメセカイに関する調査が進められている。
・このセカイの中と現実とはやり取りは難しい。電子機器などは使えず、通信手段もない。私が覚醒し調査できるようになければ一向に調査も実験も進まなかったと思われる。
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・現在この現象は日本でのみ確認されている。ただし、日本人のみではない。また、海外からの旅行者も日本にいる間は繋がると報告あり。どこからが繋がるのか明確な基準は調査中。
・ユメセカイ内部では、現実世界とほぼ同じ環境が構築される。五感は全て再現されており違和感はない。電気、ガスなどのエネルギーは存在はするが不要。車もガソリンが空でも動くし、電池がなくてもライトはつく。空腹にもならない。
*人によって個人差あり。後述の個人の認識が関与していると思われる。要確認。
・ある程度共通のセカイと表現したが、これは人によって見ている物が異なる事に起因する。研究員で実験済み。
《実験325号》
ビル内に詳しいAとビルの事を存在すら知らないBにユメセカイ内で同じビルに行かせて検証した。
結果ビルは存在したが、Aが見ていた店はBの視界に存在しなかった。お店に入るAを外から見るBという状況になっていた。しかしBに聞くとAは何かのお店で中を楽しそうに見ていた。なぜか店には入りたくなかったから外で待っていたとの事。何のお店かはよく見ていたはずなのに私も含め思い出す事ができなかった。他の研究員でも似た状況が発生している。
この実験からおそらくユメセカイ内では同じ物を見ているわけではなく、見えている物については個人の認識の差があると思われる。ただし,完全に別々の視界ではなく、そこについての認識をより強く持っている人に引っ張られるのではないかと仮説を立てた。
・NESTについて。
NEST(Neuro-Emotional Synchronization Technology)
神経・情動同期技術研究機構の略称。
日本政府から委託されたユメセカイの研究機関。文部科学省の外郭団体。2033年発足。
ユメセカイ内の仕組みや利用方法を研究する組織。
色々な側面からユメセカイにアプローチしている。
ちなみにNESTで現在可能な観測は精神波の測定やユメセカイ内の波形観測。セカイについてはあるのはわかるが中までは見ることができない。
2.セカイのレベル
NESTでは、ユメセカイ内での個人の状態を「レベル」として観測している。
これは主に対象から発せられた精神波の形や強度を参考に設定した。
現在確認されている主な分類は以下の通り。
・レベル1
夢としての性質が強く、ユメセカイ内で過ごす事はできる。起きた時の記憶はかなりおぼろげ。感じた事は強く残るが、内容は覚えていない。
・レベル2
レベル1とほぼ一緒だが、ユメセカイ内である程度自分のイメージ通りに夢を弄れる。影響範囲は自分のみ。
(ex:銃を作っても他人からは見えないし、他人を撃っても影響がない。他人から見ると1人で何か遊んでいるように見える。)
・レベル3
ユメセカイ内に自分のセカイを構築できる。イメージして作るというよりは気がついたらできていてその中で過ごしている状態。自分の世界の中では比較的自由に設定を調整可能。ただし、本人の認識や常識の範囲による。この段階のセカイは本人が構築できるとはいえ、そこまで現実からは離れない。
なおこの段階から睡眠時間が伸びる傾向が認められている。
・レベル4
極めて強固に形成されたセカイ。主人の精神状態や願望が強く反映され、外部からの干渉も困難になる。
現在、眠り病との関連が疑われる事例の多くがこの領域に該当する。
この域に精神波が達すると対象は眠り続ける。同時に生命活動も最小限になるためケアすればある程度は延命可能だが緩やかに衰弱していく。
なお、レベルは単純な「夢の深さ」を示す数値ではない。
セカイの安定性、現実との乖離、主人による影響の強さなど、複数の要素をNESTが総合的に観測した結果である。
3.セカイの主人について
ユメセカイには、基本的にそのセカイを形成・維持している「主人」が存在する。
基本的にはセカイはその主人の望みや意志を反映させた物となる。
そのため、主人である人の趣味や嗜好、望んでいる事やトラウマなどその人の事を理解することが、セカイへの介入において非常に重要になる。
*追記
特にレベル4以上では、主人の心理状態とセカイそのものが密接に結びついているため、よりその人を知る必要性がある。単純に主人を説得すれば解決するとは限らない。
4.眠り病との関係
現実世界では、ユメセカイから戻ることができなくなり、長期間眠り続ける症例が確認されている。
我々はこの状態を「眠り病」と呼んでいる。
眠り病の原因については未解明な部分が多い。
ただし、患者がユメセカイ内部に存在していること、そして自身のセカイに強く囚われていることは確認されている。
そのため、患者を現実へ戻すには、ユメセカイ内部への介入が必要となる。
5. 現在の調査方針
NEST探索チームは、ユメセカイに囚われた人間の救出を第一の目的とする。
そのためには、
・セカイのレベル判定
・主人の特定
・セカイ形成の原因調査
・主人の心理状態の把握
・現実世界への帰還方法の確保
などを並行して行う必要がある。
また、ユメセカイそのものがどのように発生したのかについても、引き続き調査する。
所見
ユメセカイは「夢」と呼ぶには、あまりにも現実に近い。
そこにいる人間は笑い、泣き、苦しみ、誰かを求める。
たとえその世界が偽物だったとしても、覚えていなかったとしても、そこで感じた感情まで偽物だとは限らない。
だからこそ、私たちは患者を「夢から起こす」のではなく、その人が現実へ戻るための道を探す必要がある。
……まあ、理屈だけなら簡単なんだけどね。
実際の現場は、そんなに甘くない。
以上。
また定期的にこういうのは出していこうと思います。
本編はまた1日、2日お待ちください!




