浅眠
3章スタートです。章タイトルをわかりやすくしました。
朝が来る。もう少し寝ていたいけれど起きなくちゃ!
遅刻したら大変だもん!
名前と同じひまわり色のカーテンを開けて、眩しい光に目を細めながら体を伸ばす。
「今日もいい天気!素敵な1日になりそう!」
今日も笑顔で行こう!
♢ ♢ ♢
ユメセカイ内の真琴即席の会議室。
「ーという事で、新しく一緒にユメセカイを調査してくれます。九条恒一さんです!」
「うむ。微力ながらよろしく頼む。いや、よろしく。」
「おじーちゃんだー!」
真琴が拍手。澪も笑顔で拍手。笑う九条さん。悠真と栞が呆然とする。
「何でそうなった…」
「びっくりした?ねぇびっくりした?」
「…真琴、説明。」
「2人でデートした日にね?初対面の九条さんが私達の事を覚えてたのよ。」
「…!なるほど。それで誘ったのね?」
「…説明してくれ。」
「今までレベル3の人は起きてもユメセカイの事はおぼろげにしか覚えてなかったの。でも九条さんにはユメセカイの記憶があった。」
「それも、かなりはっきりね。だからもしかしてーと思ってあの日の夜にもう一度九条さんのセカイに行ったのね?そしたらビンゴ!九条さんがいて、しかも私達が会いに行った事も覚えてた。」
「この状態なら協力をお願いできると思ってね。その場でスカウトしてOKをもらったのよ。」
「不思議なもんじゃの。夢なのに夢でないみたいじゃよ。」
「詳しい事はようわからんが、病に苦しむ人を救うのにわしの力がいると言われた。力になれる内は力を貸そうと引き受けたわけじゃ。」
スクリーンに情報をまとめながら真琴が追加で説明してくれる。
「おそらく、レベル4の人は安定したら記憶が残る。その上、自分のセカイから出てもある程度改変能力を使うことができる。」
「まぁレベル4のサンプル自体、私と悠真くんしかいなくて九条さんで3人目。まだまだ仮説だけどね。」
悠真はふと疑問を覚えた。
「栞は違うのか?」
「………私の事は今はいいでしょ?そもそも真琴を起こしたのは私なんだから。」
雰囲気が尖ったのを感じ、悠真は話題を変えた。
「じゃあ九条さんの能力って?」
「今も使っとるがの。」
今九条さんは夢であった20代頃の姿をしている。
「若くなれる力じゃ。」
「まぁ若くなれるだけじゃなくて、歳を重ねる事もできるみたいよ?それに身体能力の向上もあるみたい。検証はこれからだけど。一応仮の名称で身体改変にしてる。」
「名付けが固いのー」
「やっぱり若い体は素晴らしいの。力が溢れてくる。よし、小僧。少し稽古をつけてやろう。」
「いや,俺は…」「やるよの?」
「はいはい、稽古は今後どうするかを聞いてからにしてねー。」真琴が手を打ちながら割り込んできた。
仕方なく座る九条さん。
「今後についてだけど、しばらくは能力の検証と研修を兼ねて近場のレベル3の人を起こしてきてもらいます。」
「必ず私か栞が一緒に行くから心配はしなくていいよ。」
「空いた時間は妹ちゃんと遊んでもいいし、稽古してもいいし、ご自由に。毎日ってわけじゃないしね。」
「その間に次に入るレベル4を検討しておきます。」
「……またレベル4には行くのか。」
少し憂鬱になる。
「まぁいくらレベル3を起こしても予防にしかならないからね。レベル4を起こさないと数が減らない。」
「まぁ確認されてるレベル4の人だってそこまで多くはないしね。それにまた起こせたらどんどん仲間が増えるかもしれないよ?」
「…怖いの?」
「まぁ怖くはないさ…大変だなって。」
「九条さんの時のデータもあるから次回は暴走しないように頑張りましょう!じゃあ今日は解散!」
勢いよく九条さんが立ち上がる!
「よし、稽古じゃ!」
「お兄ちゃん頑張ってー!」
「稽古って…いやほらここ何もないじゃないですか。」
真琴が指を鳴らす。剣道の道具が一式出てくる。
悠真の逃げ道が塞がった!
「やるよの?」
「…はい。」
「一当てできるまでは終わらんぞ?」
この日だけで俺は2桁吹き飛ばされた。
♢ ♢ ♢
あれから日によってメンバーは違うがレベル3の人を何人か起こした。レベル3の人のセカイは比較的まともなセカイが多く、説得したり、時には連れ出したりして起こしている。
そして、俺は今ー
「それでは裁判を始めます。被告人は聞かれた事に正直に答えるように。」
「罪状を説明します。それはー」
「俺たちより先に美人のおねーさんと付き合いだした事です!」
大学の空き教室で吊るし上げられていた。
「いや、付き合ってない。」
「被告人は聞かれた事に答えるように。」
全く話を聞いてくれない。
「その上、こいつは出会った方法もはぐらかし、何があったかも言わず!友達も紹介してくれません!!」
「ギルティ。」
「ちょっと待て。」
「異議は却下します。」
却下されちまったよ。
「被告人。ではこれから判決を告げます。」
「判決。有罪。俺と彼女がいない仲間たちのために真琴さんのお友達との合コンを組んでください。」
「いや、無理だから。」
「そこをなんとか!」
立場が逆転した。
「だから付き合ってないの!お前が聞いたのは真琴さんが面白がって言った発言だから誇張されてんだよ。」
「でもでも、お友達を紹介してくれないか聞いてみてくれたっていいだろう?俺も美人とドライブデートしたいんだよ!!」
必死さにため息が出る。
「……わかった。聞くだけ聞いてやるよ。後あの人口を開くと残念美人だぞ。」
「ありがとう!悠真師匠!」
「それやめろ。後、なんか奢れ。」
「彼女ができたらフルコースでも奢ってやるよ!」
「言ったな?覚えとくぞ?」
「よしじゃあ決起集会だ!飲みに行くぞ!」
「悪いな。今日も約束があるんだ。」
「またかよ悠真〜次は来いよな!」
「あぁ。行けたらな。」
手を振り別れる。
早めに寝て、澪とゆっくりしよう。そしたらー
今日は次のレベル4の夢に入る。
その時はまだ誰も、みんなが笑っている学校が、
一番怖い場所だなんて思ってもいなかった。




