【第37話-ぺちゃっ】
お昼ご飯を食べ終えた3人は、「料理の加護」が乗った料理を食べたからか、いつにも増して元気が身体中から溢れていた。
先ほどまで、あれほど体調が悪そうだったハイディも、今ではすっかり元気を取り戻していた。
「さぁ、次はいよいよお待ちかね…!ボクが先輩と行きたかったお店です!」
「なんだか急に元気になったね、ハイディ」
「ハイディ、わたくしもいるのだけれど、その…わたくしとは行きたくなかったんですの?」
何故か軽く1人の地雷を踏んで行ったハイディであったが、サラッと無視して何をし出すかと思えば、両手で、くの字を作り始めた。
何をしているのだろう。というアリスの疑問はすぐに解決に至った。
「ここが、ボクの行きたかったお店です!!!」
ハイディのくの字のジェスチャーとともに姿を現したのは、古い雑貨店だ。そのお店は外面ですらもボロボロで、今にも潰れてしまいそうだ。
ハイディの言う通り、このお店が潰れる直前だということは本当だったらしい。
「ここが、お店?どう見ても捨てられた廃屋…」
失礼極まりないアリスの発言に乱されながらも、ハイディが1度咳き込み。
「コホン!こう見えてもここの雑貨店はすごく品揃えがいいんですよ!!可愛い系も多くて、特に男女ペアで付けるような色違いのもの…も…?」
やけに早口で語るハイディの、本人ですら思いもよらぬ失言に辺りの空気が凍る。
「ハイディ…何を、企んでたの?」
「出会ったばかりの女の子とお揃いのものを買うなんて流石に気が早すぎますわ」
レイチェルの否定に関しては、なにかアリスにも棘が飛んできたような気がしたが、少し目線が怖かったので触れないでおいた。
「レイチェル…そんなに私をジロジロ見ても、なにもないよ?」
冷たい目のレイチェルは、拗ねるように嫉妬するように「ふんっ!」とだけ言い残して顔を逸らした。
するとその時、レイチェルの横を1人の女の子が通り過ぎた。まだ7歳くらいの、小さな女の子だ。
ただ通り過ぎただけだというのに、「ぺちゃっ」という謎の音が辺りに響く。
「あっ!」
口から漏れた女の子の声が聞こえた。
「お姉ちゃんごめんなさい!わざとじゃなくて、その…ごめんなさい!本当にごめんなさい!」
その少女は、泥まみれで汚れていて、ボロボロの服を着た幼い女の子だった。
急にレイチェルに謝りだす少女に流石に異変を感じ始めたアリスがレイチェルに近寄る。
「えっ?」
──そこには、アリスが想像していたよりも酷い、悲惨な光景が広がっていた。




