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魔術と加護のアルカディア  作者: 蜃気楼
「護衛」編
33/36

【第32話-3人デート】

 数日が経ち、護衛が始まって初の土曜日の朝、アリスは服装選びに凄く迷っていた。

 あのハイディの事だから、張り切って服装選びをしてして来るだろう。

 そう思ったアリスの、可愛い服を着て行ってあげようという少しばかりの配慮である。


 10分ほど経った頃、アリスは大体の服装が決まった。

(えっと、白のワンピースに、緑色のリボンを付けて……あとは鞄も、学校のじゃなくて、花柄のショルダーバッグにして…)


「よし、できた!」


 やがて、自分の服装に満足したアリスは、待ち合わせの時間に遅れないように急いで街の中央広場の噴水に駆け足で向かった。


 * * *


 アリスが待ち合わせ場所に着くと、まだハイディは来ていなかったが、それとは別に一人見覚えのある女の子が立っていた。

 その少女は、オレンジ色の髪をヒラヒラと揺らして、フリフリとしたドレスを着ているお嬢様のような女の子だった。


「── あなた、もしかしてこの前学園で私たちを見ていた人……?」


 女は一度咳払いをしてから言葉を返した。


「ええ、初めまして、わたくしの名前はレイチェル・フォアワード。ハイディの幼なじみですわ」


 その自己紹介に、「あぁ!」とアリスは声を漏らしながら何やら納得した様子で相槌をする。


 「もしかして、ハイディのストーカーさん?」


 「……それはちょっと、違うかしら」


 まさかのここに来てポンコツアリスが発動し、場の空気が冷たいものに一瞬で早変わりした。


 「えっと、ハイディとはどういうご関係で……?」


 「先ほど申し上げた通り、ただの幼なじみですわ」


 「えっと、じゃあレイチェルさんは、何でここに来てたんですか?」


 「それは……」


 レイチェルの言葉を遮るように、その場に明るい大きな声が響き渡った。


 「おっはよーございまーす!あれ、もしかして待たせちゃいました?」


 休む隙も与えずにアリスは早速とばかりにハイディに詰め寄り、小声で声をかける。

 「ねぇ、ちょっとハイディ?一体これはどういう状況なの?」


 アリスがレイチェルを指さすと、ハイディは、ポンと掌の上に拳を乗せて理解したような仕草をした。

 「あぁ、『レイ』の事ですか!」


 「えっと、レイって、レイチェルさんのこと?」


『レイ』なんて呼ぶくらいだから、レイチェルの言う通り、それなりには仲が良いのだろうとだろうとアリスは頭の中で思考を巡らせた。


 「えぇ、そうてすよ!ボクの数少ない幼なじみです!あ、そうそう、アリス先輩に伝え忘れていましたね!すみません、実は…」


 そうしてハイディは数日前の出来事を語り始めた。


 「実は、ボクは一度も他言していなかったんですけど、何故かあの日の約束をレイに聞き付けられてしまっていて、混ぜてくれとしつこく言われちゃって…」


 可哀想という顔でハイディを憐れみながらも、「まぁ、そうなるだろうな」とアリスは内心で呟いていた。


 「それで、どうしても着いて行きたいって言うので、仕方なく連れて来ちゃいました…。せっかくの二人きりのデートが、あぁ……」


 ハイディもハイディで苦労していたみたいなので今回は許すことにした。それにアリスも、人数が多い方が気が楽で寧ろ助かる。


(聞き付けられたって言ってたけど、多分それは違う…だって、レイチェルはあの場にいたんだもん)


 いつもならハイディの軽口を真っ先に疑うアリスであったが、この日はやけに肯定的だったのでハイディも若干驚いていた。


 「それで、わたくしとハイディの間柄も大体分かったかしら?それなら、お店に早く行きましょう」


 淡々とそう告げたのは、他でもないレイチェルだ。

 そんなレイチェルの態度に、アリスは1つ物申したい事が出来た。


 「レイチェルって、見た目はすっごく可愛らしいのに、凄く図々しいのね…」

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