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【第24話-予知】

「どうして、君ほどの実力者が『落ちこぼれ』と呼ばれているんだい?」

 大賢者は悪意こそ無かったようだが、それでもアリスの心には刺さるものがある。だがその反面、実力者と言って貰えた事が少しだけ嬉しかった。

 少しの間を空けてアリスが答えた。

「……私は、攻撃魔術が使えないから、です」

 悲しげにそう言い放つ彼女に、大賢者はその発言を疑う事もなく、優しく問いかけた。

「それは、何があったんだい?」


 * * *


 大賢者にアリスが攻撃魔術を使えない理由を打ち明けた後、大賢者はお詫びにと、自分語りをしてくれた。

「教えてくれて、ありがとう。こんな事を聞いてしまったら少し罪悪感があるから、オレに埋め合わせをさせてくれ」

 そういって少し息を整えた後に再び言葉を続ける。

「オレは大賢者と呼ばているが、その大賢者のみに使用を許された禁術というものを知っているかい?」

 アリスはフンフンと首を横に振った。

「ごめん、知らなくても無理ないね。とりあえず、オレはその禁術の全てに対しての適性が無いんだ。その禁術のうちの1つ、精神干渉魔術にも案の定オレは適性が無くてね」

 その時のアリスは、少し大賢者の顔が曇ったように見えた気がした。

「犯罪者を拷問する時とかは、本来は大賢者が精神干渉魔術を使って情報を引き出さないといけないんだけど…精神干渉魔術に適性が無かったオレは、国王陛下に、それはもう日が暮れるまで散々怒られたよ」

 そう苦笑いをしながら語る大賢者には、悔しい。という感情が見えた。

 更にと、大賢者は続ける。

「この前のダンジョンの件も、実は捕らえたダンジョン調査員の人間がずっと黙秘していてね。オレが精神干渉魔術を使えないせいで難航しているんだ。本当に、自分の無力さを感じたよ」

 顔を暗くして下を向きため息をつきながら、そう告げる大賢者には、いつもの魔術師の頂点としての威厳ある態度は感じられなかった。

「そんな、大丈夫ですよ…!」とアリスは慰めるように声をかけるが、大賢者の態度は変わらなかった。

「……話が長くなってしまったね。そろそろ教室に戻ろう。ネロ先生が待ってる」

 アリスは気まずい空気から逃げるようにコクコクと首を縦に振り、大賢者とその場を去った。


 * * *


 終礼が終わり、放課後の職員室で、ミロ・アルカディアは、今日休んでいる教員の席に座って仕事を手伝っていた。

 学園長が『ダメです!大賢者様に仕事を押し付けるなんて…!』と言っていたが、暇な彼はそんな事は無視して熱心に仕事に取り組んでいた。そして、その手際はとても良かったため学園長も諦めて仕事を任せた。

「…ふぅ、これで全部終わったかな。もうする事が無くなってしまうとは…やっぱり全て終わると暇だな」

 一人でそう呟く大賢者に、突然新たな仕事が出来た。

 コンコンと扉がノックされ、開けられる。

 大賢者に用事のある生徒が来たのだ。


「高等科3年、アルミス・ルージュです。大賢者様はいらっしゃいますか?」


 大賢者はその声に振り向いて、アルミスに場所を伝えようと手を振った。

 それに気付いたアルミスはすぐさま大賢者に近寄ってきた。

「お忙しい中、失礼します。大賢者様に1つ、伝えたいことがありまして」

 そう言ったアルミスの顔は若干曇っているように見えた。どうやら、明るい話ではないようだ。


「大賢者様に、1人の生徒の護衛を頼みたいのですが」


 大賢者は、いつもの威厳ある態度で問いかける。

「…その生徒というのは?」


「── 高等科3年、アリス・ミラージュです」

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