【第19話-りんごジュース】
土日が明け、月曜日の朝、アリスは大きなクマを目に抱えながら学校に向かっていた。
昨日の勉強で、土曜日に出来なかった分までまとめて勉強をしたのだ。眠くても、頑張って瞼を明け…勉強をして、気が付くと時計の針は、既に午前3時を指していた。
教室に着くと、フリルとクラリスがアリスに駆け寄ってきた。今日は少し眠かったため、クラリスとは一緒に登校していなかったのだ。
最初に声をかけたのはクラリスだ。
「おはようアリス!目のクマが凄いけど…もしかして夜遅くまで勉強してたの?アリスはいつも早め早めに勉強してるから、夜更かしなんて珍しいわね」
続けてフリルも声をかけた。
「おはようアリス、土曜日はたくさん迷惑かけちゃって、ごめんね…それにしても、クマが凄いけど…日曜日は勉強進んだ?」
2人の問いかけに答える気力すらも、ほとんどなかったアリスは首を横に振るだけで、他には「あー、うぅ」などという言葉ですらないただの呻き声しか発せなかった。
「わぁ、これは重症だわ…アリス、今日のテスト大丈夫かな?」
とクラリスが呟くと続けてフリルの心配した声も聞こえた。
「大丈夫…じゃないよね?ラムネいる?何かわたしにできることはない?」
フリルがそう問いかけると、アリスは机に突っ伏したまま、何やら思い出したかのように声を振り絞って出す。
「りんご、ジュース…飲みたい」
予想外の発言にフリルは呆然としつつも、急いでりんごジュースを買いに、自販機に向かった。
フリルがいないその間に、クラリスはアリスに話しかけた。
「アリス、昨日何かあったの?」
「別に、そんな大したことじゃないんだけど、昨日は、朝の3時まで勉強してたから寝れてなくて…」
クラリスは驚いた顔をしていた。
「アリス…何してるのよ、テスト前日に詰め込むなんてアリスらしくないわ!」
クラリスがそう厳しく言うと、アリスは先ほどと同じようにまた、「うぐぅ…」という声だけ漏らし、机に顔を伏せた。
しばらくすると、フリルが息を切らしながら、りんごジュースを持って帰ってきた。
「はぁはぁ、おまたせアリス。はいこれ、りんごジュース」
その言葉を聞いたアリスは一瞬で目を輝かせて顔を上げた。
「……!フリル、本当にありがとう!お返しは今度しっかりするわ!」
アリスがそう言うと、フリルは照れながら答える。
「……別に、貸しだなんて、私は思ってないわよ」
優しいフリルにアリスは尊敬の目をむける。
「もー!フリル大好き!いつもありがとうね!」
アリスが冗談めかして感謝を伝えると、フリルは頬を赤らめていた。ついでに言えば、耳まで真っ赤に染まっていた。
そしてフリルはそのまま、恥ずかしそうにプイッと顔を逸らしてしまった。
その時、ネロ先生のいつも通りの図太い声が教室内に響き渡った。
「全員席に着け!テストのため今日の朝礼なしだ!お前らの全力を出し切るんだぞ!みんな頑張れ!」
その言葉を聞いて生徒たちは一斉に「うおおおお!」とやる気に満ちた声で応じていた。
ただ一人、机の上に肘をついて、頭を両手で抱えて俯いているアリスを除いて。




