表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/27

【第19話-りんごジュース】

 土日が明け、月曜日の朝、アリスは大きなクマを目に抱えながら学校に向かっていた。

 昨日の勉強で、土曜日に出来なかった分までまとめて勉強をしたのだ。眠くても、頑張って瞼を明け…勉強をして、気が付くと時計の針は、既に午前3時を指していた。

 教室に着くと、フリルとクラリスがアリスに駆け寄ってきた。今日は少し眠かったため、クラリスとは一緒に登校していなかったのだ。

 最初に声をかけたのはクラリスだ。

「おはようアリス!目のクマが凄いけど…もしかして夜遅くまで勉強してたの?アリスはいつも早め早めに勉強してるから、夜更かしなんて珍しいわね」

 続けてフリルも声をかけた。

「おはようアリス、土曜日はたくさん迷惑かけちゃって、ごめんね…それにしても、クマが凄いけど…日曜日は勉強進んだ?」

 2人の問いかけに答える気力すらも、ほとんどなかったアリスは首を横に振るだけで、他には「あー、うぅ」などという言葉ですらないただの呻き声しか発せなかった。

「わぁ、これは重症だわ…アリス、今日のテスト大丈夫かな?」

 とクラリスが呟くと続けてフリルの心配した声も聞こえた。

「大丈夫…じゃないよね?ラムネいる?何かわたしにできることはない?」

 フリルがそう問いかけると、アリスは机に突っ伏したまま、何やら思い出したかのように声を振り絞って出す。

「りんご、ジュース…飲みたい」

 予想外の発言にフリルは呆然としつつも、急いでりんごジュースを買いに、自販機に向かった。

 フリルがいないその間に、クラリスはアリスに話しかけた。

「アリス、昨日何かあったの?」

「別に、そんな大したことじゃないんだけど、昨日は、朝の3時まで勉強してたから寝れてなくて…」

 クラリスは驚いた顔をしていた。

「アリス…何してるのよ、テスト前日に詰め込むなんてアリスらしくないわ!」

 クラリスがそう厳しく言うと、アリスは先ほどと同じようにまた、「うぐぅ…」という声だけ漏らし、机に顔を伏せた。


 しばらくすると、フリルが息を切らしながら、りんごジュースを持って帰ってきた。

「はぁはぁ、おまたせアリス。はいこれ、りんごジュース」

 その言葉を聞いたアリスは一瞬で目を輝かせて顔を上げた。

「……!フリル、本当にありがとう!お返しは今度しっかりするわ!」

 アリスがそう言うと、フリルは照れながら答える。

「……別に、貸しだなんて、私は思ってないわよ」

 優しいフリルにアリスは尊敬の目をむける。

「もー!フリル大好き!いつもありがとうね!」

 アリスが冗談めかして感謝を伝えると、フリルは頬を赤らめていた。ついでに言えば、耳まで真っ赤に染まっていた。

 そしてフリルはそのまま、恥ずかしそうにプイッと顔を逸らしてしまった。

 その時、ネロ先生のいつも通りの図太い声が教室内に響き渡った。

「全員席に着け!テストのため今日の朝礼なしだ!お前らの全力を出し切るんだぞ!みんな頑張れ!」

 その言葉を聞いて生徒たちは一斉に「うおおおお!」とやる気に満ちた声で応じていた。

 ただ一人、机の上に肘をついて、頭を両手で抱えて俯いているアリスを除いて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ