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【第16話-新しい後輩】

 土日が明け、2日振りの学校に着いたアリスは、いつもより幸せそうな顔でニマニマしながら自分の席に座っていた。

(初級ダンジョン攻略の実績で初めての実技の単位がもらえる…!初級だからそんなにもらえないけど…やばい、嬉しい!)

 実際のところはボスは上級どころか超級で、本来ならこれを報告しなければならないのだが、メルトが頑なに報告することを拒むのだ。

 メルトによると、あの助けてくれた魔術師から口止めをされているらしい。何か事情があるのだろうと、アリスはそれ以上踏み込まなかったが。


 * * *


 大賢者に家まで送り届けられる前に、メルトは大賢者からひとつ頼み事をされていた。

『今回のダンジョンの件は、こちらで片付けておくから、君は初級ダンジョンを攻略しただけだという事にしておいてくれ。学校側には何も伝えないでおいて欲しい。君達がこの件に巻き込まれないためにも。…この件は、些か怪しい点がある。』


 * * *


「今日は気分がいいし、久しぶりに自販機でジュースでも買おうかな〜♪︎」

 と鼻歌混じりに両目を瞑り笑顔でランランとスキップをしながらアリスは中等科の校舎に向けて進み出した。

 高等科にも自販機はあるのだが、今は故障しているらしく、中等科の自販機に向かうこととなったのだ。しかも、噂によると、その自販機を壊した犯人はルーフなのだとか。

 アリスは、全く困ったやつだ。と思っていたが、それはアリスも例外ではないらしい。

 廊下の角を曲がる時には、基本角からの飛び出しに注意し、ゆっくり歩くべきなのだが、ポンコツなアリスはたまに常識すら忘れる事がある…。

 次の廊下の角を曲がれば自販機の前という所で、アリスはまだスキップを続けていた。逆にどうして今まで人と一度もぶつかっていないのか知りたいくらいだ。

 アリスがスキップをしながら角を曲がると、1人の男子生徒にぶつかった。ぶつかった衝撃で、その男の子は地面に尻もちをついてしまった。

 繰り返すが、彼女はポンコツなのである。

「うわぁっ……!いたた…」

 男子生徒は声を上げて両目を閉じ、眉や口元をぴくぴく動かしながら倒れていた。

 勢い良く前から人が飛び出してきたのだ、そりゃ痛い。

 目の前の男子生徒が倒れているのを見て現実に戻ったアリスは、すぐに倒れた男子生徒に右手を差し出した。

「わぁっ、ごめん!大丈夫!?怪我はない?痛い所とかない?」

 その心配は杞憂だったようで男子生徒は、すぐに目を開き直し、アリスの差し出した手を掴んで立ち上がった。体格は、フリルよりも若干小さいかと思われるほど、だいぶ小柄な子だった。

「ありがとうお姉さん!大丈……」

 そこで言葉が止まった。ちょうど男の子がアリスの顔を見た時だ。

 アリスは自分の顔に何か付いてるのかと心配になって口元の辺りをさりげなく触ったが何も付いてなどいない。

 そんなアリスの気持ちを知るはずもない男子生徒は、いきなりとんでもない事を言い出した。

「ねぇ、お姉さん名前なんて言うの!やばい、めちゃくちゃ可愛い…どタイプ…結婚してっ!」

 などと満面の笑みを浮かべながら、興味津々にアリスの顔を覗き込んだ。

 先ほどまで痛がっていた可愛らしい男の子像はどこかへ消えていった。

 アリスはほとんど何が起きているのか理解出来ずにいたが、出会ったばかりの男の子に急な告白をされたのだろうという事だけは理解した。

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