【第15話-事情聴取】
空間転移を使い自室に戻ったミロは、自分用のベッドにメルトを寝かせ、すぐさま先ほど電話をかけてきた相手に電話をかけ直した。
『無事でしたか、大賢者様。あのダンジョンはどうでしたか?何もありませんでしたか?』
こちらが質問をしたいくらいなのに質問が多いな。と思いつつも大賢者はハキハキと流れるように答える。
「あのダンジョンは初級だと言っていたな?その初級ダンジョンに、超級モンスターの覇竜が出現していた。オレにも何が起こってるのか分からない、3つ以上等級の空いたダンジョンなんて聞いた事がないぞ」
その返答に電話先の相手は酷く驚いたような声を出していたが、
『分かりました。この度も、ご協力いただきありがとうございます。その件については我々が徹底的に調べておくのでご安心ください。』
とだけ言い終えて2秒経った頃に電話を切った。
大賢者は想像していた以上に適当なその返答に少し不満そうに顔をしかめた。
* * *
30分が経った頃、高価そうな金と白を基調としたベッドに寝かせられていたメルトが目覚めた。
「……いったい、ここはどこなんだ…?」
とメルトが小さく小声で呟き、両手を使い上半身だけを起き上がらせると、1人の男性が見えた。
「あぁ、目が覚めたかい?大丈夫、オレは怪しい者じゃないよ。君に聞きたいことがあって、少し付き合ってくれるかな?」
ミロがそのように優しく問いかけた。
「もちろん構わない、だが俺からも先に質問させて欲しい。ここは一体どこなんだい?」
「んー、難しいな…ここはオレの家でね。君が魔力切れで倒れているところを、君の友達が休ませてほしいって言うから連れて来たんだ。」
この大賢者と呼ばれる男は、大賢者のくせに説明力が欠けている事が頻繁にある。
「……?」
この人が言ってることがメルトには理解出来なかった。だが、この人にこれ以上説明を求めても無駄な気がする。と考えたメルトは大人しく大賢者の質問を聞いた。
「それで質問なんだけど、記憶のあるところまでで良いんだけど、あのダンジョンで何があったかの詳細を、教えて貰える?」
「わかりました」とメルトが答え、続けて初級ダンジョンに上級ボスがいた事、魔竜が突然覇竜に進化した事とその詳細を伝えた。
全て聞き終えた大賢者の顔はゾッとしていた。
「はあ?進化?聞いた事がないぞ、そんな事がありえるのか?だが、それが事実なら…異常な魔力の反応にも納得が行く……。」
大賢者はしばし考えたあと、先にメルトの家の場所を聞き、空間転移で送り届けた。
その際のメルトは「…!?超級魔術…?お前は一体何者だ!」などと驚きまくっていたが、大賢者は同じように、ただの魔術師だよとだけ答えた。
ミロは自分の家に戻ると先ほどの情報をまとめた。
(初級ダンジョンに上級ボスがいたのは…恐らく稀にある格差ダンジョンだろう。解放前にそれを調査員がちゃんと確認しなかったんだな。そして超級ボスへの進化については…今はダメだ、何も情報がない。これはオレにはどうしようもないな。)
ミロは長考が終わると、本日二回目の紅茶を上品に飲み干し、「久しぶりに超級魔術を多用し過ぎたな、今日は疲れたから、もういいや。」などとぬかしてベッドに横たわり、そのまま寝てしまった。




