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【第10話-お友達】

 新学期が始まって数日が経ち、アリス達はもうすぐ1回目の週末を迎えようとしていた。

「ぷはぁ…今週は疲れた…」

 寮までの帰り道を歩きながらアリスは今週あった出来事を思い返す。

 フリルに攻撃を止められたことが屈辱的だったのか、戦闘実習が終わった後からアリスに対するルーフの嫌がらせは今まで以上に増えた。

財布の中からありったけの1円玉 (7枚) を盗んだり、弁当の中の卵焼きを盗んだり…などなど。

(あれ、よく考えたら大したことないような…)

 そんな事を考えつつ、アリスは隣にいるクラリスに目を向けた。

「明日のダンジョン攻略、クラリスは楽しみ?」

 クラリスは前を向いたまま答える

「楽しみ…ではないかな、初めてのダンジョンだし、どちらかと言えば怖いが勝ってる…。でも、私のやれることを精一杯やりたいなーとは思ってる!」

「そうだね、私も怖いけど私なりに出来ることを頑張ってやるぞー!ほら、早く行こっ!明日に向けて準備をしっかりしなきゃ!」

 とアリスが促すと2人は少し早歩きで寮に向かった。


 * * *


 土曜日の朝、アリスとクラリスは数日前にフリルから現地集合と告げられていたので、手元の地図を見ながら指定されたダンジョンに向かった。

 ダンジョンの入り口前に着くと、見覚えのある人影があった。フリル…ともう1人、背が高く腰に剣を携えた男性…彼は確か…。

 アリスが思い出すよりも先に声がかけられた。

「こうして顔を合わせるのは初めてだね。初めまして、俺はメルト・クリミナル。去年一緒に潜っていた3年生の先輩が卒業して後衛の人手が足りなくてね。2人が来てくれて助かったよ、ありがとう。」

(メルト・クリミナル…『聖剣の加護』の継承者で、学園トップ3の内の1人…)

 アリスがそんな事を考えているとメルトが続けて言い放った。

「フリルが友達を誘ったと聞いていたから驚いていたが、君たちのことだったんだね。」

(え、友達…?)と心の声が漏れそうになったが堪えて誘われた日を思い返す。

 呪いをチラつかせて強引に連れ出そうとしていたような…と思いながらフリルの方を見ると、フリルは恥ずかしそうに頬を赤らめてそっぽを向いていた。

 そして小声で「メルトのバカ…」などと言っていた。

 この時アリスは大体の事情を理解した。

 数日前の、あの脅しのようなお誘いは、きっと人付き合いの下手なフリルなりの冗談というやつだったのだろう。

 いつも、呪術師という印象だけで、あまり人と関わる事が出来ない彼女らしい。

 恐らく闘技場で、アリスがフリルを追いかけ、自分から話しかけたことで、それだけで、フリルから見れば、友達になれたと認識していたのだろう。

 あまりにも友達の基準が低いフリルを少し心配しつつ、アリスがメルトの問いかけに

「そうよ、私はフリルのお友達!」

 と答えるとフリルは恥ずかしそうに逸らしていた顔をこちらに向き直し、うるうると嬉しそうな目でアリス達を見つめた…。

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