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魔王の間にて



魔王の間は総じて広い。

そりゃ、勇者との戦いが狭い場所での小競り合いなんぞでは格好がつかない・・・。

という理由も有るのだろうが、大まかな理由は他に有る。



レッドカーペットに規則正しく並ぶ”近衛の列

鉄槍の先端がシャンデリアの光を受け、不気味に輝き

傷一つ無い鎧を強調させた。

寸分違わぬ魔物の壁は圧巻である。

かく言う俺も少し背筋が伸びた。


ー・・・・・。


異世界と言えどその場にある”空気 と言うのは変わらないらしい。

この肌を刺すような”ピリピリ する感じが、どうしようもなく魔王との闘争心を刺激する。


「えっと、姉さん達は居ますか?」


魔王の玉座に最も近い近衛兵

一人異質な雰囲気を纏った銀色の兵にミラは声を掛けた

さしずめ”近衛隊部隊長 と言った所だろう。

腰には赤い装飾の施された銀剣を携えている。


「はッ!第一、第二陛下共に奥部屋にいらっしゃいます」


見れば玉座は三つ

ひとつはミラの物だろうから、他の魔王の物が2つ

そのどちらもが空いていた。

ミラは頷くと、奥にある黒い扉に目を向ける。


「奥部屋ですね。 わかりました、行きましょう黒騎士様」


近衛兵に丁寧なお辞儀をして、俺の手を引っ張る

だがそれは近衛兵によって遮られた。


「お待ち下さい」


ズシン、と響くような声

僅かな威圧を込めた声が響きわたる



「・・・・何ですか?」


目の前に立ちふさがる紅の近衛兵

ミラは気づいて無いようだが、その右手は”ごく自然に

剣の柄に添えていた。


どうやら、俺は”客 と見られてないようだった。


周りを盗み見れば皆、素人目には分からない構えを取っている。

それに気付かないミラは何故この近衛兵が立ち塞がるのか疑問らしい

とどのつまり・・・あれか。

余所者厳禁と言った所か。

自分の外見をよく考えれば・・・まぁ、わからん事もない


自国の姫が突然連れてきた、真っ黒塗の鎧に瘴気を纏った顔の見え無い男

更に背中には巨人族が扱うような身の丈もある大剣・・・。

そりゃ俺でも国に入れるか迷うわ。


「其処を退いてくださいませんか、隊長」


「其れは出来かねます。」


「命令です。」


「・・・・・申し訳ありませんが、こちらは第一陛下の御命令で動いております故」


「姉さんの・・・?」


言うや否や、両脇に居た近衛兵が瞬時に飛び込んで来る。

俺を狙った攻撃かと思ったが違うらしい

行動は素早く瞬時にミラの身柄を強引に、だが繊細に俺から引き離した。


「ッは、放しなさい!」


「陛下、少しばかりの辛抱を」


両腕を掴み動きを封じる、それだけだが十分に効果は有った。


「隊長!何故です!?城門で事情は説明致したでしょう!?」


「報告は受けております、ですがコレも第一陛下の御命令・・・

 少々手荒で申し訳ございませんが。」


手にかけていた柄を引き抜き、刀身を露にする。

一点の曇りもない銀色の剣。だが鍔に黒ずんだ色が見えた。

・・・・コイツ、殺害経験がある


 「 死んで貰います 」


事は一瞬、目の前の隊長が消え

同時に銀の刃が下から迫った。

正に蛇の如く、鎧の関節部位を断ちに来る

そのまま突っ立っていれば容易く首は落ちるだろう


重心を後ろに。


手甲を構え、剣の軌道に合わせる

触れた刀身が赤い火花を咲かせ、手甲の表面を撫でるように空気を切り裂いた。


「ッ!?」


まさか丸腰の状態でパリィされるとは思わなかったのか。

僅かに驚愕を見せる隊長

伸びきった腕。

対してこちらにはガードした腕と、もう片方の腕がある。

これは無条件で決まる。


構えたもう一本の腕から雷撃が迸る。

正に電光石火

足、腰、肩、腕、全ての動作を円に置き換え螺旋の様に拳はしな

異常な速度で加速、その勢いのまま拳は吸い込まれる様に迫り

黒い手甲は隊長の胸当てを打ち抜いた。


「ぐぉッッ!!!!」


魔王の間に光が溢れる。

雷撃が発光、胸当てを貫通し背中に黒い焦げを残す

勢いを殺しきれない隊長はそのまま50m後方の壁に激突

僅かに体が埋まった。

大理石が飛び散り、破片がパラパラと地面に落ちる。

魔王の間は一瞬にして静寂が支配した。


「・・・隊長がッ・・・」


「野郎っ・・」


反応は三者三様、だが多くの近衛兵が抜刀する

列が崩れ、一瞬にして俺を囲う様に再び列を組み直す。

その反応の速さは賞賛に値した。


ーほぅ


長を討たれても尚立ち向かうその士気の高さ。

そして何より”長が戦闘不能になった場合 の想定がされているのだろう

この陣形を組むのに10秒と掛からなかった。


(訓練されている・・・良い兵隊だ。)


円の中心に居る俺は、静かに”拳 を構える


「「ッ!」」


兜の向こう側に見える近衛兵の顔が怒りに歪んだ

剣に対して”無手

これは明らかな侮辱と驕りだ、だがそれすらも近衛隊長を無力化した事実を合わせれば現実味を持つ。


本来ならば中に取り入った上で魔王を仕留める作戦だった。

近衛の連中とやりあった上で魔王戦など・・・無謀にも程がある、がしかし

コレを逃して二度機会無し。

魔王の間へと侵入した以上、是が非でも魔王の首を討ち取って見せる。

その意気込みをを全身に満たし、威嚇ついでに足を一つ踏み鳴らす。


鎧と大剣の重量、ついで筋力も相成って足元の大理石が砕けた

破片が飛び散り目の前の近衛兵が恐怖に竦み上がる。


ー我に剣を向けた罪、”死 を持って償え。



元魔王四天王と言う設定。

何気俺は詐欺師とかに向いてるのだろうか。



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