火急
「魔王様!魔王様!」
爽やかな目覚めになる筈だった朝
目覚め一発に聞いた声は、憎たらしい部下の焦りを含んだ叫びだった。
「・・・・何だ、騒々しい」
未だに疲労の抜けない体を起こし、掛け布を剥ぎ取る
靄の掛かった視界に思考
随分と寝ていた様だが、一体何事か。
「報告します! 魔王城にて戦闘が有ったとの事です!」
「・・・・戦闘?」
私は上着を羽織ながら、その報告に首を傾げる。
現状魔王軍に敵対する組織と言えば我らを除き”人間 程度のなモノだ。
果たして人間にそれほどの戦力があるかどうか・・・
それに戦闘場所が”魔王城 というのも引っかかる
仮に人間が進軍したとしても・・・早すぎる。
「・・・我が仮眠を取って何時間経った?」
「はっ、4時間程度で御座います」
4時間・・・・。
余りにも早い、早すぎる。
軍を率いて進軍し、4時間で着ける場所に城は無いのだ。
これで人間という線は消えた。ならば誰か。
・・・我々が認識していない敵対勢力があるというのか
「して、その戦闘に関する詳細な情報は有るのか?」
「いえ・・・しかし、組織内部の偵察兵が”全身黒尽くめの鎧を着た者 と言っています」
「抽象的過ぎるな、顔は? そもそも人間なのか?」
「兜で確認出来ず。 人間か魔物かすら不明だそうです」
黒い鎧、それ以外の情報が皆無だ
そもそも正しい情報かどうかも怪しい
「その者は何処で見たと?」
「魔王城、門の前。 第三魔王と共に居たとの事」
「第三魔王と・・?」
第三魔王、確か名前を”ミラ と言ったか
魔王と共に居る全身黒色の鎧を纏った人物・・・・。
差ながら”四天王 と言った所か?
どちらにせよその人物が戦闘を起こしたのだろうか
確認をさせなければなるまい。
「分かった。 偵察兵にその”黒い鎧 を探させよ!
同時に魔王城での戦闘に関する情報を集めろ、私も直ぐに出る」
「はッ!」
そのまま部下は部屋を出て行く。
私はそのまま静かに椅子へと腰を落とした。
未だ疲労が抜けていない、だがここで休む訳にも行くまい
我の頭に残る悩みの種は一つだけ。口元を一文字に結び、僅かに憂いを孕んだ小言が零れた。
「何処に居るのだ。 勇者よ・・・・」




