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果てしない海 ~終焉の魔眼と白黒の勇者~  作者: kooy
第1章 転生

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第3話 魔王、現代に馴染む

病院の自動扉が開き、外の光が差し込む。


誠司は一瞬だけ目を細めた。


(外界)


それだけを認識する。


 ⸻


隣には舎弟のタクがいる。


軽い足取りで歩きながら言う。


「退院できてよかったっすね、若頭」


誠司は短く答える。


「問題ない」


 ⸻


街に出ると、音が増える。


秩序はあるが、戦場の規則性ではない。


誠司は周囲を観察する。


 ⸻


道路を様々な車が通り過ぎる。


「動力源は、魔力ではないのだな」


「何言ってるんすか。ガソリンっすよ」


「燃焼で動くのか」


「そんな感じっすね。本当に大丈夫っすか」


「事実を観測しているだけだ」


 ⸻


交差点で信号が切り替わり、車が止まった。


誠司はそれを見ていた。


(命令ではなく規則か)


「興味深い」


「え?」


 ⸻


タクがスマホをショルダーバックから取り出す。


「あ、これ若頭のスマホっす」


魔王はスマホを受け取る。


「軍事情報端末が個人に配布されているのか」


「……言い方、怖いっすね」


「事実だ」


 ⸻


タクは歩きながら、ふと笑う。


「若頭。なんか変わったすね」


「ん?」


「前は、まわりにあんま興味なかった感じだったっすけど……今の若頭って、ちょっとカワイイっすね」


「なんだと、俺のことを舐めているのか」


一瞬、空気が止まり、誠司の視線がタクに向く。


その間、周囲の空気がわずかに重くなる。


「いやいや、別に悪い意味じゃないっすよ!」


”カワイイ”、解析不能な評価だ。


タクは小さく息を吐く。(今のはちょっと死ぬかと思ったっす)


魔王は歩きながら続ける。


「だが、お前の評価基準は興味深い」


「え、どういうことっすか?」


「意味は不明だが、否定する理由もない」


タクは少し笑う。


「やっぱ怖いっすね、若頭」


「それでいい。しかし、お前は他者との間合いを測らないのか」


「間合いっすか?」


「距離だ」


タクは少し考えてから言う。


「いや……そういうの、よくわかんないっすね」


理解不能だな。


 ⸻


タクがコンビニを見つけを指さす。


「若頭、飯買って行きましょうよ」


「そうだな」


「じゃあ一緒に行きましょうよ」


「なぜ?」


「なんとなくっす」


拒否する理由はない。


「構わない」


「え、マジで来るんすか?」


「お前が誘ったのだろ」


「また、そんな圧かけて怒んないでくださいっすよ」(今のもちょっと死ぬかと思ったっす)


 ⸻


コンビニの扉が開く。


「補給施設だな。戦闘とは無関係に機能している」


「そうっすね、平和っすからね」


魔王はその言葉を反芻する。


(平和)


理解の定義がまだ曖昧だった。


 ⸻


コンビニを出ると、夕陽が見えた。


街が少しだけ静かになる。


突然、金属が歪む音が近くでした。


誠司はその方向をずっと見ていた。


「……事故っすかね」


 ⸻


“終わりの形”。


流れ。


収束。


「……そうか」


 ⸻


「え?」


魔王は何も言わず歩き出す。


タクが後ろを追う。


「何か分かったんすか?」


「ああ。」


その瞳だけがわずかに変質していた。


 ⸻


(この世界は)


(まだ終わっていない)


誠司はわずかに口角を上げた。


「面白い」


誠司は小さく言う。


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