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果てしない海 ~終焉の魔眼と白黒の勇者~  作者: kooy
第1章 転生

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22/26

第22話 何者なんだ

冬の空は高かった。


警察署の講堂には、多くの人が集まっていた。


地域ボランティア団体。


警察関係者。


そして今回の事件に協力した人々。


涼とヒナも顧問の佐伯に連れられて席へ座っていた。


「緊張するねー」


ヒナが小声で言う。


「そうだね」


涼は返事どこか上の空だった。


壇上には警察署長。


その隣。


御堂恒一郎。


年末の事件で出会ったボランティア団体の代表だ。


警察署長が話し始めた。


「本日は地域安全活動に多大な貢献をされた皆様へ感謝状を贈呈いたします」


拍手が起こる。


御堂恒一郎が代表として前へ出た。


続いて。


数名の関係者が呼ばれる。


その中にいた。


黒いスーツ姿の青年。


見覚えのある男、


”御堂誠司”。


その名前が聞える。


涼の意識は注がれていた。


身体が固まる。


息が止まる。


心臓が大きく跳ねた。


御堂誠司。


間違いない。


あの時の男だ。


橋の下で魔物からボクを守った男。


そして。


魔王!!。


前世で世界を滅ぼそうとした存在。


(どうして、今まで気づけなかった)


「涼?」


ヒナが心配そうに覗き込む。


「顔色悪いよ?」


「え?」


「大丈夫?」


「う、うん」


大丈夫ではなかった。


視線が自然と壇上へ向く。


魔王。


間違いない。


前世で感じた気配。


仲間と共に死闘を繰り広げた相手。


忘れるはずがない。


だが。


理解できない。


橋の下でボクを庇ったことも。


警察署で感謝状を受けていることも。


何もかもが理解できなかった。


表彰式は進む。


だが涼の頭の中は魔王。御堂誠司のことでいっぱいだった。



表彰式終了後。


参加者たちは自由に談笑していた。


ヒナは飲み物を取りに行っている。


佐伯も警察関係者と話していた。


涼は一人だった。


その時。


足音が近付いてくる。


顔を上げた。


御堂誠司だった。


「君は」


誠司が口を開く。


「橋の下にいた少女か」


涼の心臓がまた跳ねる。


「若頭! この子っすよ!」


後ろからタクが顔を出した。


涼は返事を躊躇していた。


誠司は涼を見て言った。


「怪我はしていないか」


「え?」


「橋の下のことだ」


涼は少し驚く。


(魔王が他者の心配など?)


(そして、ボクが勇者だと気づいているのか?)


涼は誠司を図りかねていた。


「はい」


「そうか」


誠司は頷いた。


「印象的だったからな」


「印象的?」


「ああ」


誠司は少しだけ笑った。


「無茶をする奴だと思った」


涼も思わず笑う。


「あなたもです」


一瞬だけ沈黙が落ちた。


誠司は涼を見ている。


不思議そうに。


観察するように。


「君は変わっているな」


「そうですか?」


「ああ」


涼も見ていた。


魔王を。


だが。


前世で知る魔王とは違う。


まるで別人だった。


「若頭!」


タクが慌てて割り込んだ。


「マズイっす!」


「何がだ」


「ここ警察署っすよ!」


「それがどうした」


「女子高生に話しかけまくったら誤解されるっす!」


「何を言っている」


「気になる子だからって犯罪はダメっす!」


誠司は無言でタクの頭を叩いた。


「痛っ!」


講堂にタクの悲鳴が響く。


涼は思わず吹き出した。


ヒナならこういう人を見て、


怖いとは思わないだろう。


そう思った。


「じゃあな」


誠司は軽く手を挙げた。


そのまま去っていく。


タクも慌てて後を追う。


涼はその背中を見つめた。


魔王。


間違いない。


だが。


どうしても結び付かない。


あの男から感じるものが。


前世と違いすぎる。



警察署の外。


御堂組の車へ向かう途中。


タクがぶつぶつ言っていた。


「絶対怪しいっす」


「何がだ」


「若頭っす」


「だから何がだ」


「完全に気になる子を見る目だったっす」


誠司は深いため息を吐いた。


「違う」


「じゃあ何なんすか」


誠司は少しだけ考えた。


そして答える。


「分からん」


本当に分からなかった。


あの少女を見ると。


なぜか目が離せない。


どこか懐かしい。


どこか安心する。


そして。


少しだけ。


心が騒ぐ。


「やっぱり怪しいっす」


「黙れ」


再びタクの悲鳴が響いた。


その頃。


警察署の反対側では。


ヒナが不満そうに頬を膨らませていた。


「涼」


「なに?」


「さっきの人」


「うん」


「イケメンだったね」


「そうかな」


「そうだよ!」


ヒナは力強く頷く。


「でも涼も珍しく緊張していたね」


涼は苦笑した。


その視線は御堂誠司が去った方向へ向いた。


誠司。


君は今。


何者なんだ。


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