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堕天使ちゃんは逃げ惑う  作者: 霞灯里
第3章 聖百合園

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第54話 やっちゃいけないことってあるわよね?

活動報告にキャラクターヴィジュアルイメージを掲載し始めました。最近ハマってる流行りのAI生成イラストです。作風コロコロ変わると思います。都度更新予定です、もしよければご覧下さい。

聖なる光が(きら)めきの残滓(ざんし)を描きながらゆっくりと消えていき、星屑(ほしくず)のような光粒が空気の中へ溶けるように霧散していく。


その幻想的な光景の中で、ただ一人現実を受け入れられない者がいた。


まるで時を止められたかのように硬直し、目を見開いたまま時が止まったかのように立ち尽くしていたが、やっとのことで震える声を絞り出した。


「な……なによ……それ……!?」


その声にはただただ理解不能なものを見た人間特有の戸惑いと恐怖が(にじ)んでいた。信じられないものを見るような目で、私を見ている。


「こ、こんな広範囲の回復魔法まで……!?あり得ない……あんた一体何なの……!?」


まるで常識を否定されたような顔で、呟く声は掠れていた。


ミィちゃんはまるで奇跡でも見たかのように、きらきらとした瞳で光の残滓を名残惜しそうに見つめていた。先ほどまで痛みに歪んでいた表情はすっかり消え、ほっとしたように私の腕に身を預けている。


私はミィちゃんの頭を優しく撫でながら、ゆっくりと視線を上げ魔女を見る。


状況を見る限り、元凶はこいつなんだろう?炎と同じ匂いの魔力を纏ってる。そして、ミィちゃんを殴って怪我をさせたのも、この魔女だな?


「この方は……アダマンタイトの冒険者……“焔嵐(えんらん)の魔女”、アルテナ・フレイス様です……」

「へぇ〜?同業者なのに、何やってんのこいつ??」


抱きしめてるミィちゃんが、怯えるように魔女を見ながら小声で教えてくれた。


「エリュさんを探していて……怒らせてしまって、こうなっちゃいましたぁ……」



ふ~ん。



乙女にはとっても優しい私なんですがぁ……。


それでもやっちゃいけないことってあるわよね?


私のミィちゃんに手を出して、只で済ませる訳ないわよね。


男なら死罪。例え乙女であっても、罪には罰だ。




オシオキをしないとねぇ?




ミィちゃんがそのまま手早く事情を補足してくれた。どうやら魔女が私の居場所を聞いてきたけど、ギルドとミィちゃんは問題事を予感して、それを拒否したそうだ。そして不機嫌になった魔女が絡んできて口論になり、揉めたらしい。


そしてミィちゃんを殴った。最後には激怒して冒険者ギルドを火の海にされたそうだ。単純明快なおバカの暴走劇じゃん。


私は込み上げてくる殺意を押し殺し、ミィちゃんを抱きしめたまま、ゆらりと立ち上がった。


そして、魔女に問いかける。


「あなた、私を探してたみたいね?何か用?」


すると魔女は必死に虚勢を張るように胸を張り、強がった声を出した。


「ふ、ふんっ!先輩として調子に乗った新米を分からせに来てやったのよ!」

「は、はぁ?」

「アダマンタイトが何たるか教えてあげるわ!」

「はぁ……」

「そして私の奴隷になりなさい!私を(あが)めて手足のように働くのよ!」

「……」


……マジで何言ってんのこいつ。


清々しいほどのおバカさんじゃね?


今どき田舎にもこんな不良おらんわ!堕天使に転生してまでヤンキーに絡まれるなんて思わんわ!


だが、何となく魔女がやりたいことは分かった。私をボコって配下にしようってことか?


私はこほん、と小さく咳をして今一度、冷静さを保った。


「それだけ?他には?もう言うことはない?」


私は静かに聞いた。


「えっ?」

「言い残すことはそれだけでいいのね?」

「何を生意気な口利(くちき)いてんのよ!私を誰だと――」


次の瞬間、空気が変わった。


私は魔女を一睨みして、抑え込んでいた殺気をほんの少し開放した。まるで深海に沈められたかのように空気が重く沈み、圧力が満ちる。息を吸うだけでも肺が軋むような、深く容赦のない濃厚な殺意が魔女を襲った。


生物として本能的に理解できる感覚。それは明確な――死の気配。


「ひっ……あ……あっ……あわ……っ……!」


魔女は血の気がザァっと引いた真っ青な顔で盛大に震え出し、情けなく歯がカチカチと鳴った。呼吸が壊れたように浅くなっている。


抱きしめたミィちゃんと共にゆっくりと一歩、また一歩と歩みを進めた。私の靴音がギルドの中に響くたび、魔女の体がぴくんぴくんと跳ねる。


「ただ、それだけの理由で、ミィちゃんを傷つけたのね?」

「……ひっ、ひぃい……!」


冷や汗を大量に流しながら言葉にならない悲鳴を漏らす魔女。怯えきった瞳を見開き、ヘビに睨まれたカエルのように固まったまま震えている。


「いい度胸してるわねぇ、そう思わない?」


私は可笑しそうに微笑み、声は穏やかだった。そのまま魔女に近寄ると――


「………ァッ」


魔女は小さく嗚咽(おえつ)を漏らすと、ルビーのような美しい瞳がぐるんと白目を向き、(かに)のように泡を吹きながら意識を失い、その場にゴロンと崩れ落ちた。




…………。


…………雑魚すぎん?




話途中だったんだけど。


一部始終を目撃したギルドにいる皆が唖然(あぜん)としている。私も拍子(ひょうし)抜けした。


「た、倒れちゃいましたぁ……」

「睨んだだけなんだけど……」


ミィちゃんが困ったように言って、私は小さくため息を吐いた。


何この子?何だか残念な魔女ね……頭悪そう。




暫らく経ってから、その場にいる皆も少しずつ落ち着きを取り戻していた。冒険者たちは焦げた机を運び出し、職員は濡れた書類を並べ被害状況を確認しながら指示を飛ばしている。


まだまだ慌ただしい冒険者ギルドの中で、ギルマスが豪快に笑いながらこちらへ歩いてきた。


「エリュちゃん、ありがとよ!またまた助けられたわい!死人はもちろん、怪我人も無しじゃ!」

「全員治してあげたからね~、で、これなんだけど……」

「ふむ?」

「教育は必要よね?」


未だに目を醒まさない魔女を見ながら、私はにっこりと微笑んで伝えた。




「魔女に、お説教しておくわ」




意味深にギルマスにそう告げて、私は魔女を屋敷の庭に設置している我が城――鏡の聖域へとお持ち帰りした。


私は水晶の玉座に座りワイングラスを片手に微笑みながら、その美しい乙女をじっくり眺めている。


いいわねぇ、この魔女ちゃん。欲しいわぁ。


魔女は意識を失ったまま、銀色の光沢をもつ半透明の触手が両腕と両足と腰に絡み付き、(あらわ)な下着姿で宙吊りにされている。


そして数多の鏡達に取り囲まれ、この空間中にあらゆる角度からその豊満(ほうまん)(からだ)(さら)されていた。


ニートしてたらおバカで美女な魔女が自分からノコノコとやって来た。最近の私ってばほんとラッキーよねぇ。


フフフッ。


さぁ、オシオキのお時間よぉ!

この物語を読んで頂き有難うございます。

もし宜しければ、ブックマーク・評価を頂けると励みになり有難いです。

また、評価いただいた方、有難うございました!

今後ともよろしくお願いします。

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