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不透明統制部隊  作者: 芽生
第一部:記憶と想いは明瞭に
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第二章 10話 代表会議

 ──翌日、不透明統制部隊本部にて、会議が開かれていた。

場に集まっているのは5人、その中の荘厳な雰囲気を纏った緑髪の女が口を開く。

「──不透明統制部隊代表、雛森冥(ひなもりめい)の名のもとに、第85回代表会議を始める。」

 続いて、雛森冥の隣に立つ耳の尖った色白の女が、各代表の紹介をする。

ハイリア

「雛森冥に変わってー、ミサキ・ハイリアがー、ご紹介しまーす。」

「暗殺行動隊"NOX(ノックス)"代表、鬼灯紅蓮(ほおずきかれん)。」

 名を呼ばれた男、以前『シャノワール教団』幹部の一人、リリィ・ブラッドを圧倒した男は立ち上がって軽く礼をする。

ハイリア

「急襲機動隊"Marshall(マーシャル)"代表、鬼怒銀河(きどぎんが)。」

 名を呼ばれたのは粗暴な出で立ちの男。彼はテーブルに足を上げる行儀の悪い座り方をしたまま、右手だけヒラヒラと挙げた。

ハイリア

「特別行動部隊"WING(ウィング)"代表、神崎颯太(かんざきそうた)。」

 颯太は鬼灯紅蓮同様、立ち上がって礼をする。

それぞれが改めて席につき、雛森冥が最初に話し始める。

「今年に入ってから、『シャノワール教団』の動きが活発化している。」

「日本各地で不透明事件が発生。1998年から続く『東京都連続魂消失事件』を中心に、民間人の命が脅かされる状況が続いている。」

「そんな中、先日の『サテライト』壊滅に危機感を抱いたのか、本日未明、不透明統制部隊宛に『シャノワール教団』から犯行声明が送られてきた。見たまえ。」

 冥の発言を受けて、ハイリアが3人に2枚の紙を見せる。


犯行予告

『来たる明日22時に日本の空が紅く染まる。楽しみにしていろ。』


怪しい紙

『35、139

ショー タイムはいつも曇り

嵐の前の静け さ』


「これが本当なら、明日の22時にどこかで事件が起きる。」

「今までの『シャノワール教団』関係の不透明事件は、必ず大きなランドマークが関係していた。」

「そこで上層部の宍戸透(ししどとおる)と"WING"のブライトに協力を要請し、解読を頼んだ。」

「『教団』関係の不透明事件が発生したランドマークの座標を全て足したものを、35で割り、139を引く。すると一つの座標が浮かび上がった。」

「──アニマ研究所。"アニマ"はラテン語で魂を意味する。……颯太、貴公は5年前の不透明事件でこの近辺に立ち寄っていた記憶があるが。」

 颯太はやや苦い顔をする。5年前、確かに颯太はアニマ研究所の付近でとある犯罪者を捕らえていた。

颯太

「はい。……ですので、調査は"WING"に任せていただきたい。」

「あぁ、頼む。」

「他に35.139は東京ドームの座標でもある。僅かな可能性を信じ、そちらには自衛隊を派遣している。」

「日本全土で同時に事件が発生する可能性を考え、『東京都連続魂消失事件』は"WING"と上層部で対処。各地の諜報員にも共有し、"NOX"は西日本、"Marshall"は東日本を中心に事件の処理を頼む。」

颯太

「はい。」

紅蓮

「かしこまりました。」

銀河

「チッ、つまんねェ。」

「上層部からの報告は以上だ。」


紅蓮

「私から報告良いでしょうか。」

 続いての報告は"NOX"、というより鬼灯紅蓮の報告だ。

紅蓮

「『シャノワール教団』幹部、リリィ・ブラッドと名乗る少女と遭遇、戦闘の末取り逃しました。」

銀河

「あァ!? (のが)しただァ!?」

 テーブルから足を下ろし、鬼怒銀河は声を荒らげた。

銀河

「そんなワケねェよなァ? 紅蓮さんよォ。テメェが見逃したんだろうが!!」

「落ち着きたまえ、銀河。情報は持ち帰ったのだろう?」

紅蓮

「ええ、リリィ・ブラッドは『指で対象者を指定し、音で攻撃する』"能力"を持っています。また、切り札として、"ガシャン"という声と共に高出力の魔力の発射を確認しました。」

「彼女の能力は所謂初見殺し……他幹部の能力も、同等の初見殺しであると考えられます。」

 その情報を聞いても、銀河はイラつきを隠せない様子でそっぽを向いている。

「先日の西園寺誰瑠(さいおんじたける)の一件に続き、これは大きな進展だ。『教団』幹部には今まで多くの諜報員を殺されている。能力が把握できただけでも相当な功績だ。」


 その後も様々な報告が続き、会議の終わりが近づいた頃、颯太が手を挙げる。

颯太

「報告と言うより、俺の個人的な頼みだ。」

「俺の部下の3人。──祖月輪羽弛(そがわはゆる)凩照夢(こがらしてるむ)四森渚(よつもりなぎさ)の面倒をお前らに見てほしい。」

銀河

「……どういう意味だァ?」

颯太

「次の任務が終わったら……少し旅に出る。」

 颯太は何かを思い出すように、窓の外を見つめる。

「私が許可を出した。颯太は今まで良く頑張ってくれた。休息も必要だろう。」

紅蓮

「……なるほど。」

銀河

「──ソイツらは"どっち"だァ?」

 意外にも、銀河はそれに食いつく。

銀河

ここ(OCF)で生き残ンのは2種類、ビビりかイカレ野郎だァ。マトモな奴程すぐに死ぬ。俺ァ生き残ってるマトモな奴はテメェしか知らねェぜ、颯太ァ。」

紅蓮

「颯太が直々に選んだ者たちですから、きっと私たちと同じですよ、銀河。」

「私は構いません。それで、もう1人の新入りの……あぁ、火夜那月(かよなつき)君、彼は?」

颯太

「アイツには基礎を叩き込んである。直接俺と戦闘訓練もしている。ランクB程度なら一人でも余裕だと判断して、ハイリアの下に着いてもらう。」

ハイリア

「リアはー、面倒だって言ったんですけどー。」

銀河

「ハッ、オレ様ァ面倒は見ねェ。見ンのは瑞穂(みずほ)だァ。」

 樹奈堅瑞穂(きながたみずほ)、銀河の部下でありながら『迅雷』の二つ名を持つ女だ。

銀河

「だから、女2人は"Marshall"に置いてやる。」

紅蓮

「性別は同じ方が良い。気遣いが出来るようになったのですね。では、私は祖月輪羽弛君を貰います。」

「同様、私も白夜(びゃくや)に任せるつもりですが。相性も良いでしょうし。」

颯太

「あぁ、それで良い。助かるよ。」

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