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茄子の悲劇
いきなり茄子が飛んできて
公園の砂場で遊んでいた何田ナスカの頭に直撃した。
「いてっ」
一瞬、ナスカは誰かに頭を叩かれたのかと思ったが、地面に転がり落ちた茄子を見て「なんだ茄子か」とホッとした。しかし「誰が投げた茄子なのか」と疑問を持ち、茄子が飛んできた方向を見るとそこには一匹の鳩が立っていた。
「えぇ・・・?」
周りをよく見渡したが、鳩以外には誰もいない。
「おまえが・・・?」
ナスカは鳩に聞いてみたが、鳩は小さな声で「ポ」とだけ答えてどこかに歩いていってしまった。
飛んできた茄子の正体は、隣町の茄子畑で起きた竜巻によってはるばる飛ばされてきた茄子であった。ナスカの頭に当たったのは偶然だし、近くに鳩がいたのも偶然だ。
しかしナスカからしてみれば『鳩が茄子を投げてきた』という、一生忘れられない思い出となった。
少し痛む頭をさすりながら、ナスカは家に帰っていく。鳩もどこかに消えた。
そして茄子だけが公園に残される。




