景尾ふむなは、いつも人の影を踏まないように気を付けている。影を踏むと、その人のからだを踏んでしまったような罪悪感に苛まれるらしい。
だから夕方、学校からの帰り道はとても大変だ。夕日を浴びて伸びに伸びた影たちが、次々と彼女の足元に迫ってくる。

そのすべての人影を踏まないようにジャンプしてやり過ごす。
ふむなは『家に帰るまでに人の影を三回踏んだらわたしは死ぬ』という謎のマイルールを自分に課して、毎日命懸けで下校している。
人に優しく自分に厳しく。とても立派なことだが、もう少し楽に生きても良いのではないだろうか。