元最強剣士、最難関学校へ入学する
今回は会話がほとんどですなんかごめんなさい。
「あ、アレン君。…ど、どうでございました…?」
恐る恐る聞いたせいなのか、何故か敬語になるアリス。
「まぁ、どうだったかはこれから分かるよ。」
アリスの横を通り過ぎ、マリオネアル受付へ。先程はぐっすり寝ていた受付はいまでは目を見開きシャキッとしている。番号札を渡すと、機械のようにカチコチの動き方で、奥へ消えていった。
…またしばらくすると、今度は案内をしてくれたメガネさんが、封筒を持って戻ってきた。
「…おめでとうございます。では、彼女の分も含め、こちらを。」
「ありがとうございます。」
封筒を受け取り、アリスの待つベンチへ戻る。周りをきょろきょろ見ていて、すごく落ち着きがない。
「えっあ、そ、その封筒…。ってことは!!」
「うん、受かったよ。」
「わああああ!おめでとう!!すっごーい!」
「まぁ、それで…。」
「どう?相手の人はどんな感じだった?!すっごく強かった?!」
「いや、あの…。」
「やっぱりアレン君強いしすぐ倒しちゃった?!ねぇねぇ!」
「おい一旦落ち着けアホ!」
「うにゅ?!」
両手で彼女の両頬をバチンと、少し強めに叩いた。もにゅもにゅと頬をいじると、むにゅーと不思議な声をだすものの、無抵抗だった。柔らかい。
「全く…。」
「アレンくんって、意外と言葉遣い悪いよね…。」
「さて何のことやら。それで、君にちょっと渡したい物があってね。」
「…うん?」
封筒を開き、【アリス・ルイナー様】と書かれたマリオネアル学園入学手続き書類を取り出した。
ほれ、と彼女の前に差し出すと、頭には大量のはてなマーク。
「えっと?これは??」
「君のマリオネアル学園への特別優良生入学手続き書類。」
「へ??私受けてないよ???」
「実はさ、学園長が君の試験を見てたらしいんだよね。」
「へっ?!が、学園長って、上級の…?」
「うん、マリオネアルの手続き書類なのになんで上級学園が出てくるのかな。」
「じ、じゃあまさかマリオネアルの…?」
「そう。それで、君と僕をセットで特別優良生として入学させたいらしいんだ。僕は君と一緒にマリオネアルに行きたいし、よかったらどうかな?任意だから強制はしないけど。」
「えぇ、でもわ、私でいいのかな…。もっと強いひといるんじゃ…。ついていけるかな…。」
「もしダメなら僕が教えてあげるよ。これでも魔道も武道もいける口なんだ。」
「チート…???」
書類を受け取り、それをまじまじと見つめるアリス。そんなに信じられないことなのだろうか。
正直、周りからの視線の方がよっぽど気になる。心読を使わずとも聞こえる。俺たちを噂する声。「あの2人、マリオネアルに入学出来るみたいだよ」って。…2人?…あっ、2人!
「そうだ、忘れてた!!」
「うわっ!びっくりした。き、急にどうしたの?」
「あ、いや、ごめん、何でもないよ。それで、決めた?」
「いや、うーん。本当に大丈夫かなって。アレン君がいるのは心強いんだけど、私は本当にマリオネアルに入れる器なのかなって。」
「だめならそれは学園長がただのアホだって事だよ。」
「でも、もしダメで向こうで笑いものになったら…。」
「大丈夫。そうなったら僕がちゃんと教えてあげる。これでもかなり実績はあるし、もしそれでもだめなら僕がどうにかするよ。水でも灰でも何でも来い。」
「た、頼もしい…!」
目をキラキラさせてこっちを見ているが、すぐ書類の方に目が戻った。費用とかを見ているようだ。
…すっかり忘れていた、ウロボロスについてはいつ話そうか。彼女も一応、入学させようと思っていたのだが。書類提出の時についでにお願いしようか。
そんなことを考えていたら、急に胸元にトンッ、と衝撃が。いつの間に書いたのだろう書類が俺の胸元に押し付けられていた。
「はい書けた!」
「なら、今から提出しに行こうか。まだそんなに遅い時間じゃないし。」
「…アレン君がひとりで行くんじゃ…。」
「君、まさかとは思うけど入学する学校に自分で書類提出しに行かないつもりかい?」
「…あんな怖そうなところ…。」
「はいはい僕がいるから。さぁ行こう。」
「うぅ…。」
背が丸まり、完全に自身が無くなっている。俺は相手を瞬殺してしまって分かっていないが、マリオネアル学園の生徒さん達はどのくらいの強さなのだろう。いや、生徒より教師のほうが気になる。生徒より強いはずなのだから。
協会から歩いて30分。マリオネアル学園は周りと違う雰囲気を纏い、高級街のなかに存在した。隣にいるアリスはガクガクして、顔は青ざめている。
マリオネアル学園はさすが最難関と言えるほど、大きく広い。そして、今までと比べたらかなり良い防壁で学園全体が覆われている。少しは期待ができそうだ。
中へは簡単に通れるようで、学園長に会うには二階にある職員室で受付をしてからのようだ。
「そういえば、何の連絡もせず来たけど大丈夫かな。実は今日学園長いませんとか言われたら、すごく無駄足なのだけれど…。」
「大丈夫だよ、いるいる。いなけりゃしょーがない。」
「適当だなぁ。」
俺としては無駄な時間を食うのが嫌なのだ。この移動時間だけで一体いくつ新しい魔法を書き上げることが出来ると思ってるのか。せっかく転生したのだ、今世を一秒でも長く楽しみたい。
二階に上がり、職員玄関から中へ入り、受付へ。
「あの、すみません。」
「…はい?市立総合の方ですか。なんのようで?」
「えっと、僕達、入学手続き書類の提出に来たんです。」
「入学…って、まさかアレン・ウィズタリアとアリス・ルイナー?!」
「はりゃ…?急にきたけどわりと伝わってる…?」
「みたいだね。そうです。学園長にお会いしたいのですが、学園長はいまどちらに?」
「あぁ、えっと、学園長室に!」
「ありがとうございます。」
やけに慌てた様子で、奥に戻って行ってしまった受付。今日は受付がよく消えるな、なんて下らないことを思いつつ、学園長室へ向かう。事前に学園の構造は調べてあるから、場所は分かってる。4階の中央。まぁ、上の方の真ん中にボスの部屋があるのはよく見る構造だ。
「あうぅ…。そろそろお腹痛くなりそう…。」
「魔物と戦う時より緊張してる?」
「もちろん!なんてったって魔物を倒せる人がいるような学校だよ?!この国のトップ、有力者のみんなが目指したがる学校!」
「魔物は君も倒したんでしょ?」
「そ、そうだけど…あれは弱かったし…。」
口ごもるアリス。弱かろうと魔物を倒した時点で騒ぎになってるようだし、あまり強弱は関係ない、と思う。
階段を上がり、無駄に長い廊下を進む。周りには制服を着たここの生徒らしき人たちがちらほらいる。市立総合の制服を来ている俺達は、かなり目立つ。
しばらく歩いて、一際大きく、豪華な扉が見えた。学園長室と書かれている。学園長はここにいるらしい。
「さて、入ろう。」
「うぅ、き、緊張する…。」
「失礼しまーす。」
「ノックと挨拶を同時にした?!」
見た目道理重たい扉を開けると、中には1人の女性が。後ろを向いている。フワフワした金髪に、無駄に装飾のついたドレス。そして、溢れ出る魔瘴気。すごくラスボス感満載だ。強さで言ったら、たぶんアリスの数倍くらい。さすが学園長、と言ったところ。
ゆっくりと振り返った彼女は、誰が見ても美しい、と言えるくらいには整った顔立ちをしていた。
「うふふ、ようこそいらっしゃい。マリオネアル学園へ。アレン君とアリスちゃんね。待ってたわぁ。あなた達の入学を歓迎します。」
「…まだ何も言ってませんよ?」
「持ってるものからして分かるわよぉ。将来有望の生徒が、しかも市立総合から来るなんて…。ふふ、とっても楽しみだわぁ。」
「あ、あの!も、もしかして学園長って、この国最高賢者の、ウ、ウルア様、ですか…?」
「あらあら、知っててくれてるのね。嬉しいわぁ。そう、私は賢者ウルア・アザゼルよぉ。」
「ウルア…?あぁ、あの闘技場のうっすい壁張った賢者さんですか。」
「…そうね。とりあえず、書類を受け取らせてもらっていいかしら?」
バックのなかにしまっていた書類を取り出し、渡す。アリスも同様に書類を渡した。
彼女は中身を取り出し、机に並べて絵を見るようにさらっと流し読んだ。時折頷き、にこにこしながら書類を見ている。
「うん、不備なし。えぇ、いいわいいわ、とてもいいわぁ!私から言うことは特にありません。今日中にあなた達の家へマリオネアルの制服やバッジ、学生証を送ります。来週からの登校となるけれど大丈夫かしら?」
「はい!問題ありません!!」
「はい。」
「わかったわ。来週からよろしくね。とっても楽しみ。みんなにも話しておくわねぇ。」




