元最強剣士、あっさり賢者を目指す
長らくお待たせしてごめんなさい。
これからは週一がんばります( ;∀;)
あの後、アリスとは分かれ、自宅へ帰ってきた。俺は入学してからは一人暮らしなので、自分の自由に動ける。と言っても、家なんてないが。
「さて、今日はここがいいかな。」
魔物が住む郊外の森の中。そこそこ大きめの気を見つけたので、そこにシュラフを置いておく。仮拠点の完成。
俺は夜な夜なここへ来ては、魔物を密かに狩っていた。理由は、装備品の作成。
試験の時は突発的にその場にあるものでちゃちゃっと作ってしまったけれど、もっと品質のいい、大量の魔力放出をしても壊れない杖を作らないといけない。別になくても魔法は使えるんだけど。
まぁ、いい人活動と素材集め、ウロの人間魔術練習にうってつけなのだ。
「さて、召喚!」
「はーい!」
異空間からひょこっと出て来たウロボロス。今は人間の姿。龍は自分の姿を自由自在に変えられる。変える龍はほとんど居ないが。
「さて、今日は何をするの?」
「何しようね。」
「考えてなかったのね…。」
「言ってしまうと、ここではすること何もなくなってしまったんだよね。ある程度の魔物は狩ってしまったし、ほしい杖の素材は別の場所に行かないと取れない。君もかなり魔術には慣れたみたいだし、ここは今の僕達に見合う場所じゃない。」
「じゃあなんで来たの?」
「なんとなく。」
「ええぇ…。無計画すぎるよ…。」
「なら、そうだ。」
「お?」
「ウロ、君に奥義を覚えさせよう。」
「…奥義かぁ。」
奥義は、普通の魔術師では使えない。その職を熟知した強者にしか使うことは出来ない。アリスのように二つの職を合わせたような動きをするならまだしも、自分がメインで扱っている職以外の奥義を使うことは、普通できない。
だから、とりあえずそのメイン職の奥義を覚えさせようと思うのだが、そもそも龍の職はなんだ、って所から考えることになる。
「…まぁ、なんでもいいか。キミは何になりたいよ?」
「やっぱり私は闇魔術がおおいから、なんだっけ?ミクロマフラーかな。」
「ネクロマンサーね。ミクロマフラーとかめっちゃ小さいマフラーじゃないか。すごい間違え方。というか、それ最難職だから、君が使ってて怪しまれないか…?」
「でも、ラルクは全ての奥義ほいほい連発できるから…。」
「まぁそうか。なら教えるよ、ネクロマンサーの一奥義、【破壊の凶手】。」
破壊の凶手とは、巨大魔法陣を展開し、そこから死霊を召喚する奥義。触れたものは精神が崩壊し、行動不能になる。崩壊した精神はとある方法でないと治すことはできない。代償として自分の血液と死ぬレベルの魔力が必要になる、結構危ない奥義。
そもそもの話ネクロマンサーって職自体が、己の血液とかを代償に火力を上げる高火力の職だから、奥義の代償は馬鹿デカくて当然なのだ。
「というか、僕ってまだネクロマンサーにはなれないよね。」
「たしか、試験を受けるとか何とか言ってなかったっけ?」
「あぁ、その制度まだあるんだっけ。じゃあ、次はネクロマンサーにならないとね。ネクロマンサーとると賢者としての称号貰えるんだったかな?僕の時はそんなの無かったけどなぁ。」
「時代の流れだねぇ。じゃあ、早速教えてよ!」
「…その前に、力試しが必要だね。それを使えるほどの魔力があるか。まぁ龍だからあるだろうけど、上限を知らないと。連発できないと不便だし。」
「奥義って連発するものだっけ……???」
「じゃ、ボッコボコにするから覚悟しろよ?」
「えっちょっまっ」
「さて、ネクロマンサー試験は前と同じ協会でいいのかな?」
俺たち、もとい人間と龍は前回昇格試験を受けた協会へ向かっていた。もちろん、ネクロマンサーの認定試験を受けるため。
「ぐすん…。」
「まだ拗ねてるの?悪かったよ、やりすぎた。」
「足腰立たなくなるまでボコボコにしたくせに悪かったで済ますのは流石にないよ激おこだよ。」
「治したじゃん。」
「ぷー!」
「あとで焼肉奢るから。」
「許す。」
「ちょろい…。」
色々な匂いがするのか、犬のようにすんすん、きょろきょろ嗅ぎ回っているウロ。実際、街中に出てくるのは今回が初めてだから、落ち着きがなくてもしょうがない。
「あ、あの大きいお城何?」
「あー…。あそこは僕も行ったことないな。たしかマリオネアル城。国王様がいるんだろうね。」
「なるほど。」
とりあえず、俺がネクロマンサーになるとして、問題はウロボロス。昨日かるく奥義を教えてみはしたけれど、やはり人間の魔術は龍に合わないらしく、奥義のおのじすら見えなかった。
だから諦めて、人間が使う魔術に近い龍魔術を俺が作った。奥義は使えずとも、ネクロマンサーにはなれるだろう。
「わお、協会も大きいんだね。」
「たぶんここで受けられると思うけどなぁ。」
協会に着いたが、やっぱり、ちょっと遠い。
中に入って、前回は右の受付、学校昇格の類に行ったけど、その他は見てなかった。左の受付は…ハンター昇格試験。たぶん、これがネクロマンサーとかのやつだ。
真ん中は…なんだ?同盟クエスト?さっぱりわからん。今度アリスに聞いてみよう。
「あそこだと思うけど…全然人がいないね。」
「右側はすごい並んでるね?ひとつがら空きだけど。」
「あっちは学校の昇格試験だよ。僕はこの前そのがら空きを受けて合格してきた。」
「さすがアレン…。」
「とりあえず、行ってみようか」
列があるのは右、学校昇格試験だけで、真ん中はちらほら、左はスッカスカ。そもそも受付が一人しかいない。
戦士、聖職者、魔術師。三つのカウンターがあるくせに1人だけ。聖職者のところですやすや眠っている受付さん。前と同じ人かなと思ったけど、顔は全然違う。
「…あの、すみません。」
「zzz....」
「あのーすみませーん!」
「っ?!はっはい!」
「…本日、ネクロマンサーの昇格試験って受けられますか?」
「へっ?!はっ?!ちょ、え、と、お、お待ちください!!!」
バタバタと慌ただしく奥へ戻る受付さん。なんかデジャヴ。
しばらくしたら、見覚えのあるメガネさん。あんた全部の担当なのかよ。
「どうも。昨日ぶりです。」
「またあなたですか。本日はどういったご要件で?ネクロマンサーがどうとか聞きましたが。」
「あぁはい、ネクロマンサーの称号が欲しいんですが、ここから出来ますよね?」
「…受ける気ですか?」
「はい、この子も一緒にね。」
ウロの背中を軽く叩いて、前に出させる。あまり僕以外の人とは関わりがないから、珍しくオロオロしている。もと最強龍で人を燃やし殺しまくってた龍が今や自分より雑魚い人間におろおろするのはなかなか面白い。
メガネさんは俺とウロを見たあと、少々お待ちください、と言い奥に戻っていった。
「受けられるのかなー?」
「さぁ、どうだろうね?まぁ、そもそも試験に受かるかどうかだけど。筆記あったら、君確実に落ちるからね。」
「あっ。」
「まぁ、実力さえあればもしかしたら受かるかもね。」
しばらく待つと、薄っぺらい一枚の紙をもってきたメガネさん。こちらが概要です、と紙を渡してきた。
「こちらから簡潔に説明させて頂きますと、筆記の知識と多少の実力の知能派ネクロマンサーになるのか、筆記は全く行わず、高難易度実技のみを行う実力派ネクロマンサーになるか、選択できます。」
「なるほど、ウロ、良かったね。」
「うん、じゃあ私は実力派で。」
「僕もそうしようかな。力でねじ伏せるのは得意だし。」
「…バケモノめ…。」
「君に言われたくないな。ってことで、2人とも実技の方でお願いします。」
「分かりました。試験については前回の昇格試験同様、対人です。ですが、相手はネクロマンサー。試験官のネクロマンサーが合格と認めればあなた達は晴れて、正式なネクロマンサーとなります。」
「おお!」
「試験は、いつ?」
「あなたの事ですから即日を希望するかと思いまして、試験官に先ほど連絡をさせていただきました。可能だそうで、今こちらに向かっているそうです。ので、先に紙に書いてある試験会場でお待ちください。」
「はい。」
メガネを押し上げながら、やれやれといった感じで奥に戻っていくメガネさん。紙を見ると書かれているのは第1闘技場。前回僕が練習に使った闘技場と同じ、1番広いところだ。
「試験って1人ずつ?」
「まぁ、どう考えてもそうだろうね。2人で挑んだら…うん、意味ないだろうし。それじゃ、中で待とうか。」




