元最強剣士、旧友を召喚する
「うん…?」
「やぁ、久しぶりだね、ウロ。」
「…?????」
現状を理解出来ていない、そんな顔。蛇のような長い体をくねくね器用に動かして、そんな中で笑ってしまうようなアホズラをしてる。
おもしろい。
「やぁ、ウロ、僕だよ。ラルクだよ。」
「ラルク…?」
「…ラルッ?!」
それを聞いた瞬間、彼…いや、彼女は地面にビターン!と、俺を囲むように張り付いた。
顔は俺より下にある。俺が、ウロを見下ろしいている。そんな図。
ちなみに、俺の前世の名前はラルク。ラルクという名前、狂戦士という職で、竜という龍を皆殺しにして言った。皆殺しというか、生け捕りが正しい。
主従関係を結ぶ契約魔法で自分の支配下において、召喚で呼び出せるように別空間で快適に住まわせてある。
ウロボロスはそんな龍たちの頭。いわば、最強の龍。とりあえず地面に叩きつけて体をぶつ切りにしたら大人しく降参してくれた。1500年前は、そんな奴に世界を破壊されまくっていたのだ。
まぁ、その後なかなかに趣味が合ったりや魔法開発に便利だったりとなかなかに友好関係を築けて、普通に友人となった。
ただ、俺にいともたやすくボコボコにされたことにまだ怯えているらしく、未だに低姿勢を崩さない。
「いや、違う!ボコボコにされたことに怯えてるんじゃなくて、街を破壊されて怒ったラルクさんが怖すぎてもうだめ〜!」
「そっか、竜とか龍ってもともと意図せず心よめるんだっけ。だからって、いま怒ってないのに何でそんな低姿勢…。」
「怒らせちゃいけないと悟った。」
「そ、そう…。」
1500年の時を得ても僕の怒った姿にびびるなんて、案外龍も弱いんだな、と思うけれど、これでも頭と考えると、逆にかわいそうに思えてくる。
まぁ、感動なのか分からない再会は置いておいて…。
「よし、じゃあ『開始』。」
「へっ?!って、煉獄っ…!」
何となく、ウロがいる状態で魔壁の強さを確かめてみた。
まず、こっちへ向かってくる弾幕を、ウロは綺麗にかわしている。そして弾幕は俺の魔壁に当たった。その瞬間火の玉は消滅。そのかわりそれより威力の数百倍強い弾幕が外へ向かって放たれる。威力も速度も数百倍。ウロは体を気持ち悪いくらいぐにゃぐにゃ動かして弾幕を避けている。
「おぉ、いいねいいね。1500年経っても現役じゃないか。」
「し、死ぬーーーー!!」
さらに、前方から飛んでくる剣は、俺を通過して飛んでくる方向とは逆の方向に飛んでいく。もちろん速度と威力を上昇させて。
「【停止】」
「む!?ぐ、おおおおおお…。」
弾幕は消えるが、剣は消そうと思わないと消えない。停止で、空へ飛んでいく剣の動きを止めた。
「さて、丁度いい。肩慣らしに相手してもらうぞ!」
「えっ、ちょっと待って…!」
「【大地の憤怒・改】!」
宙に浮いていた剣はたちまち下を向き、地面に高速で突き刺さる。それに加え、地面が槍となりウロを襲う。
剣をかわしてしまえば上に逃げればいいだけに近い。だがそこにさらに追い討ち、雷の雨。ゴロゴロ、ピシャーンって、すっごくうるさい。そこそこ遠いところからの落雷でさえうるさいのに、間近じゃ鼓膜が破れそうだ。
ただ、天候には何も影響が無かったため、予測していなかったらしい。ウロは大落雷をもろにくらい、黒焦げになって落ちてきた。
ドスン、と激しい音と共に、雷がなりやむ。ボコボコになってしまったコロッセオは、修復が不可能なレベルに凹んでしまっている。まぁ、後で直せすけれど。
「大丈夫かい?」
「この惨事をみて大丈夫に見えるならラルクさんの目はいかれてるよ……。」
「あはは、だよね。【治癒の天使】。」
「うぅ、たすかるよ…。ていうか、さっきから思ってたんだけど何その気持ち悪い喋り方。」
「お友達を増やしたいがために優男を演じています。」
「なるほど、察した。ところで、なんで私を呼び出したの?」
「剣を召喚した時に君たちのことを思い出したのさ。それで、今でも残ってるのかなーって。」
「で、なんとなく呼び出してそのまま肩慣らしにつき合わせたと。」
「そゆこと。だけど、僕がこれからやる学校の試験に受かったら、特待生として君も入れたいと思ってる。友人がいるとやりやすいしね。」
「殺りやすい…?」
「まぁ、そうなると人形にしないといけないから、またちょっと面倒くさいけど…。君魔力の量多いからね、人形に封じ込めるの大変なのさ。」
ブー!ブー!
「ん?」
突如鳴り出したバイブ音。音が鳴った方を見ると、スクリーンに、『1・マ試験可能』、と表示されていた。もう試験を受けられるようだ。
「うん、試験可能の合図だね。行ってくるよ。またしばらくこっちで待っててね。」
「あーい。」
「【現化吸収】。」
現れた別空間への、ブラックホールのようなものに、自ら飛び込んでいくウロ。
とりあえず、まずコロッセオを直さないといけないんだが。
遅いです、時間守れないとかマリオネアル生徒無理、失格。
なんて言われたらたまったもんじゃない。仕方ないから、先に試験を受けた後に、ちょっとコロッセオ壊れたので、直しますって言ってもう1度入ってなおせばいい。
闘技場の外へ出ると、さっきのメガネさんが待っていた。
「お早いお戻りで。準備が宜しければ、会場に飛ばします。」
「はい、問題ありません。お願いします。」
「わかりました。」
メガネさんが俺に手をかざし、転送魔法を唱える。
ふっと画面が切り替わる。やっぱり中途半端な転送魔法は気持ちが悪い。転送されたのは恐らく別空間。俺がウロ達を住まわせているような空間だ。
その中で、ぽつんと佇んでいる2人。俺が来たことに気がつくと、ゆっくりとこちらを振り返った。
1人はぼーっとしている。ぱっと見ればスキだらけだが、それをいいことに突っ込んだら速攻でやられるだろう。魔障が隠しきれてない。
もう1人は明らかに強面。大剣を背負って、見た目からして強そう、と言った感じ。常に気を張って、スキがない。
「…お前が命知らずの受験者か?」
「いや、命知らずは余計ですけどそうですね。マリオネアル学園、入学希望の受験者です。」
「ほう、初心の杖が装備品のやつがよく言えたものだ。」
「…初心…あぁ、これですか。」
そう言えば持ってたなぁと、背負っているバックから突き出ている、ちょっと長めの木でできた杖を引き抜いて、手に取る。
軽くブンブン降ってみたけど、やっぱりサイズと木製なのが悪いのか、やけに空気抵抗を受ける。使いづらい。これは作り直した方がいいな、と、とりあえず手おる。
「?!な、なにしてる。これから試験だぞ…?」
「え、あ、改めて見るとクソの役にも立たないなと思って。作り直すので5秒待ってもらっていいですか?」
「は?」
なにも、0から1を生み出すわけじゃない。空気中に存在する魔障と自分の魔力を混ぜ合わせて、魔力を固形にして作ればまぁどうにかなる。
「ほいっ…と。」
「…は?」
「…ほへ…?」
ぽんっ、て感じで手のひらにのる杖。全長おおよそ50cm、手頃なサイズ。
全部魔障と魔力の固形だから、人によって色とか形は変わるけれど、主にぼーっとしてる人から漏れだした魔障と、空気中の自然魔障、あとは自分の魔力の1:1:8の比率で作り上げたから、俺の魔力に寄って、少し水色がかった、透明な結晶を寄せ集めたような綺麗な杖。
さっき持ってた木製の雑魚い杖なんかよりはよっぽどマシ。実際自分の魔力がほとんどだから、自分に合っていて当たりまえの性能。
「お、お前!それは…!」
「えっと、じゃあ始めたいんですけど、どういった内容ですか?」
余計なことを話さないでくれ、とっとと帰って、きちんとした杖を作りたいんだよ…。




