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元最強剣士、授業を受ける

あのあと、そのままリーグ戦で勝ち上がり、何故か優勝?してしまった。成績優良者ということで、今年分の学費はタダになる、ということらしい。親への負担は減ったからまぁまぁかな。

 

 残念だったのは、アリス後のリーグ戦で骨のあるやつがいなかったこと。

 アリスの戦闘力を1とするならば、ほかの奴らはみんなその1000分の1くらいの気がする。もうちょっと弱いかな?あの戦闘力だと、たぶん彼らはアリスの強さに度肝を抜かれるだろう。

 

 そんな雑魚に囲まれながら、いまは授業を受けている。ほぼほぼ自分で生み出した魔法の授業だ。

 

 自分で生み出して、剣士だったため足りない魔力は、ほかの魔術師に頼んで代わりに使ってもらって、動作確認をした。成功すればそれは本にまとめて魔術師に渡して、魔法の戦力アップをはかった。

 恐らくその時の本が1500年にわたり、読まれ受け継がれたのだろう。

 

 受継がれたのは嬉しいのだが、これは魔術師職最強のネクロマンサー用に、なおかつ昔の竜討伐隊の隊長を任せられるレベルのネクロマンサー達に作ってやった超複雑、超難解の魔法。

 

 …しかし、それを誰でも扱えるように、削りに削られ原型を留めなくなってしまった、雑魚魔法に似ても似つかないクソみたいな魔法になってしまっている。これでは俺が3分も頑張って作り上げた魔法が台無しだ。俺の3分を返せと言いたくなる。

 

 まぁ、ある意味知らない魔法だから聞くにはいいんだが、やはりつまらない。自分はこれ以上高度な魔法を使える。というか作れる。

 いまは体が慣れずに前世ほど高度な魔法は作れないが、やろうと思えばネクロマンサーにはすぐなれる。

 体が慣れたらこんな魔法を作ろう、使ってみようと、学校から支給されたノートにガリガリと魔法式を書く。

 そんなことをしていたら、いつの間にか授業が終わった。

 

 「…アレン君、ずっとこれ書いてたの?」

 「…?うん?そうだよ。つまらなくて暇だったからね。アリスは?」

 「暇つぶしできる特技があるっていいね。わたしはぼーっとしてた。脳内で、ずっと素振り。」

 「嘘だろ…。」

 

 またもや必然にも、アリスと同じクラスになった。彼女も俺と同じで、授業が簡単でつまらないらしい。

 だからって、することがないからって、脳内で素振りをするとは思わなかった。どんだけ侍脳なんだこいつ。

 

 「もう少し、学びがいのある授業に参加したいんだけどね。これじゃあ中等生に言葉を教えてるようなものだから。」

 「そこまで行くんだ…。あ、ならさ!私と一緒に昇格試験受けない?」

 「昇格試験?なんだい?それ。」

 「ここは初級の学校なんだけど、昇格試験に合格すれば、もう一つ上の、強い人たちが集まる学校、国立総合学園。」

 「あぁ、最初感覚付けに行こうと思ったら受験不可だったところか。みんなスタートはここからなんだね。」

 「そう!まぁ、一度ここに入っちゃえば、昇格試験は中級でも上級でも自分で選んで進めるから、自分に適したところの試験を受ければいいし。」

 「…まだほかに学校が?」

 「うん、国立なら大体上級だけど、国立総合学園、上級学園と最難関のマリオネアル学園があるよ。」

 「ここでも、最難関は受けられるのかい?」

 「…受けられるけど、ここから最難関へ飛び級できたヤバイやつなんて、未だにいないよ。」

 

 なるほど、最難関はそんなにレベルが高いらしいな。俺にぴったりじゃないか。

 

 「ありがとう。あとで先生に昇格試験の申請をするよ。君も受けるのかい?」

 「うん、上級学園だけどね。」

 「最難関には行かないのかい?」

 「うん、無理!」

 

 ものすごく爽やかな笑顔で無理、と言われた。彼女の力を持ってしても不可能なのだろうか。まぁ、百聞は一見に如かず。実際にやってみるのが早そうだ。

 

 

 

 放課後、俺はゼルト学園長のもとを訪ねた。

 

 「すみません、わざわざお時間頂いて。」

 「いいや、構わんよ。君のような歴代最高レベルの生徒と二人で話すのも悪くない。それで?どんな要件なんだ?」

 「えっと、単刀直入に申し上げますと、マリオネアル学園に入学したいのですが、試験を受けるにはどうしたら良いでしょうか?」

 「…すまない、なんて?」

 「マリオネアル学園の試験を受けるにはどうしたらいいでしょうか。」

 「…少し待っててくれ。」

 「?はい。」

 

 学園長は顔を手でおおったまま、学園長室を後にした。何か問題だったのだろうか。

 




 その頃、職員室

 

 放課後、特に部活動等がない総合学園は、放課後は教師はほとんど職員室にいる。ゼルトはその先生達の作業を一旦やめさせ、こう言った。

 

 「すまんみんな聞いてくれ、うちの生徒からマリオネアル学園に入学したいと申し出る生徒が現れた。」

 『?!?!?!!?!?!』

 

 手に持っていたファイルを落とすもの、椅子から転げ落ちるもの、気絶するもの、爆発するものと多種多様な反応。その中で唯一動じなかった教師、クトが手を挙げた。

 

 「ん?どうしたクト先生。」

 「誰ですか、そのバカは。」

 「…今年度入学生徒最優良生徒、アレン・ウィズタリアだ。」

 「なるほど、無理ですね。彼なら上級学園なら入れるでしょうが、最難関と呼ばれるマリオネアルは、無理です。」

 

 

 

 

 「それは酷いなぁ。」

 『?!?!!?!』

 

 声が、物音がしたから、つい覗きに来てしまった。なんか爆発音も聞こえたし、心配になってちょっと覗いたら、無理、と。

 

 「異議あり、どころじゃないですね。なぜ無理なのでしょうか?クト先生。」

 「…あなたのステータスは、計測時点では上級学園にぎりぎり達しているかいないかのレベルです。試験を受けても、ボコボコにされて終わりでしょう。」

 

 落ち着け、俺。試されてるんだ。舐め腐ったどこにでもあるような対応に切れるんじゃない。

 

 「…先生はもちろん、マリオネアル学園を卒業されたのですよね。」

 「まさか。あそこを卒業できるレベルの力を持っていれば、わざわざ教師にはなりませんよ。」

 「じゃあ、実際に試験を受けたことは?」

 「ありません。自分ではかなわないと、自分の実力をきちんと理解していますから。」

 

 なるほど。こいつは学校基準ステータスを超えていないと試験には合格できないと思い込んでいるらしい。アホだな。ただの、アホ。

 

 「なら、僕が先生に本気の実力を見せれば問題ありませんよね?上級を入学できた者を、それを超える力で圧倒すればいいんですから。」

 「それで受かるとは到底思えませんが、そうですね。上級試験程度のレベルで相手をしてあげましょう。あくまで上級試験です。あなた如きが最難関試験をクリアできるわけがない。上級なら、応援してあげますよ。」

 

 …こいつ、嫉妬か?それとも強がり、見栄っ張り?相変わらず人間は不思議な感情を抱く。

 自分でもなんの感情なのか分からない時があるのに、他人のことを考えるのはちょっと無理があるか。

 かなり上から目線なのが気に食わないが、とりあえず己の弱さに失望するくらいにボコボコに…できない!

 そうだ、今自分は弱体化している事を忘れていた。ある程度力を取り戻さないと、失望するレベルには到達しない。

 そうだな、ここは生徒であることを利用して時間をいただくとするか。

 

 「すみません、でも流石に先生が相手となると僕も少し自信が無いので、3日ほど訓練のお時間を頂いてもよろしいですか?」

 「3日でいいんですか?1週間でも構いませんが。」

 「先生を倒す程度なら、3日あれば問題ありません。」

 「舐められたものですね、いいでしょう。」

 

 そう、さっきひとりになった時に、学園長室を勝手に漁った。その時見つけたのだ。昇格試験についての詳細を。

 

 -最短即日試験可能

 

 

 

 

 

 

 

 3日もあれば、十分だ。

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