普人の業
今回、少々嫌な表現等あります。
ご注意下さい
さて、そして本日のメインイベント。
この奴隷市の解体ならびに死刑執行なのだが、最後の最後で面倒な物を持ってきた
此処の奴隷市は一番最後に落札したものを評して壇上の上に乗せて貰えるのだがまさか最後の最後に持ってきた奴隷が
「亡国の姫君……?!」
つい最近魔物の大規模襲撃に会い滅んでしまった国がある。
その国の王家の人間は全て既に死んだと聞いていた。
そう、聞いていたのだ。
だがその姫君が目の前に居る。
私が私となる前に何度かあったことがあるその姫こそまさに
「本日のメインイベント!亡国の姫君「クレア・ド・グロリアス」様!そう、の魔物の大襲撃にあったグロリアス様が今此処にいらっしゃるのです!」
その声を受けて激しい轟音のような男達の歓喜した声で埋め尽くされる。
クレアは間違いなくあの私が私になる前、アラド兄やカラド兄、それに私の前の私であるクリスのパーティーによく参加してくれていた。
幼馴染?
こう言うのは政略的なものでそういう類の物ではない。
さて、何故メインイベントで壇上に上ることに固執しているのか。
それは、この場所にある魔法風時が何処に存在しているのかが知りたいからだ。
それを知ることが出来るのがあの壇上の上から。
そういう設計に此処はなっているために、最後の女性は是が非でも確保し、さらに魔法封じを破壊した上で混乱したこの場所に近衛兵やアラド兄、アイリ姉が突入することになっている。
だからこそ、最後の女性は競り落としたかった。
だが、その女性がまさかクレアになるとは
苦虫を噛み締めたかのような表情になっているのであろう。
和也が困惑した表情を浮かべている。
これは……競り落とせるか?
いや、落すしかないのか
そうして、競りが始まった
金貨10枚から始まった競りは流石に金貨で応じるものは折らず銀貨5000単位で上昇していった。
これでも破格のスタートだと言うのに会場にいる全員が競り落とそうとしている。
それも当然だ。
普人の元王女。
それを自分の物に出来るのだから
人の業の深さを思い知る。
胸糞悪くなってくるのは私だけではない。
隣にいる和也など顔を真っ青にさせガタガタと震えている。
これが人間の所業なのかと、そう思っているに違いない。
そっと、その冷たい手を握り締める。
「安心しておけ。これがこの世界の普人の全てではない。その事を、お前はよく知っているであろう?」
私の兄や姉、父や母、そして学園の女生徒達。
決して、決してあくだけではない事を思い出させる。
「良く覚えておけ、人間は、普人はその両面を持っている。だから決して、こいつ等の様になるな。」
そう言ってから、競りに混ざることにした。
さて、どうなるやら
今は金貨15枚か。
ふむならば
「金貨20」
その声は、私の声はやけに静かに、しかし通った声で会場に響いた
銀貨でしか推移していなかったのがいきなり金貨で入ってきた。
それに同様の声があたりに広がる。
今私が金貨5枚であげたなら、次も同じように金貨5枚で挙げなければならない。
そういうルールが、此処にはある。
それを使わせてもらう
「き、金貨25!」
「金貨30」
震えた声で此方に対抗しようとする声に静かに、しかし確実に枚数を上げていく私の声が続く
「き、金貨……金貨35!」
「金貨40」
この段階で既に四分の三が脱落。
残り四分の一は乗るべきかそるべきか逡巡している。
王女と言う肩書きの物は次ぎ生きている間に手に入れることなど出来ないもの。
だからこそ、何が何でも手に入れたい。
だがそれを邪魔する私がいる。
それが、彼らを躊躇わせ、そして続けられなくさせていく
「金貨45!」
「金貨50」
続けざまに、前の人に重なるかのように声を上げていく。
どうせ、最後は此処にいるもの全ての者をこの場で断罪するのだから買う必要など無い。
だが、それでもだ。
「き、きき……金貨、金貨55!!」
「金貨60」
あの壇上にいる、幼い頃であった姫を安心させたいと思うのは、間違ってはいないだろう。
さて、現在金貨60か。
一つ手を加えるか
「金貨65」
その声を聞いて何をしていると周りから見られる
他の人が競りであげる前にあげたのだ。
本来そんな事する必要は無い。
だが、これでこちらにはまだ余裕があると思ってくれるなら、楽なのだが
「金貨な、な……70!」
「金貨75」
必死に自分の家に有るものを金貨に変えて捻出しようとしているのだろうが、甘い。
その程度の物で、此方が落ちるとでも思っているのか?
「こ、これで……これでぇぇえ!金貨85!」
おぉ!と声を上げる者達。
流石にこれ以上は出ないだろうと踏んだのだろう。
私も続けざまに競りに続かなかったことで漸く終わったと思ったのだろう。
だからこそ、此処で落す
「金貨95」
手持ちの分を考えればこれで限界。
これ以上あげられるのならば後は実力行使のみ。
そう考えたが……もはや、だれも声を上げることなど、無かった。
「き、金貨95!金貨95の凄まじい死闘を精したのは何とあのビルマル家の長男!アルノルドファ様だぁぁあぁあぁああ!!!」
司会者が大きな声を上げてこちらに来るように指示を受ける。
此処からが、本番だ。
行くぞと目で合図して和也と共に壇上に上がる。
さぁ、祭りの終わりだ




