依頼
「そこな銀色の髪をした綺麗なお姉さん、何かお困りでしょうか?」
気が付いたらもう声を掛けていた。
どれだけ飢えていた私と理性では思いながらもとめることは出来なかった
「? 綺麗なお姉さん、と言うのは私の事かしら?」
「えぇ、貴女であっております」
それにしても綺麗で美しい。
防具は鉄か何かの金属の胸当てをしているがその胸当てから毀れるように豊満な乳肉が見える。
この世界の羞恥心は一体どうなっているのだろうが?
そんな事を考えながら目の前の女性は困惑していた。
それはそうだ、突然こんな子供にそんな事を言われたところで困るだけだろう
「どうしましょう。私、綺麗だなんて初めて言われましたわ。あぁ、心がこんなにも早く脈打つのですね」
困惑していたのは私の言葉に対してだったらしい。
そういえばロリコンが主体のこの国ではこの女性みたいな人に綺麗だ、美しいとかそういう形容詞は使わないのだろうか?
……そういえば兄達の事を思い出してみれば確かに使っていた記憶は無いな、と思い返す。
「いいえいいえ、貴方は美しい。その銀の糸で出来たかのような美しい髪も、その瞳も、顔も、全てが綺麗であり美しくもあります」
「あらあらまぁまぁ」
さらに顔を真っ赤染めて嬉しそうに困惑する女性。
そして背後から襲い掛かる猛烈な殺気
この殺気は間違いなくスーリであろう
だが何故スーリが?
……心置ける男性が他の女性を賞賛しているからか?
それとも恋心でも私に抱いているのか?
そのあたりは謎ではあるが
「此処には依頼に来たのよ。娘がこの王国特有の魔力病に掛かってしまったの」
「あぁ。それは不運な事に」
魔力病
これはこの王国特有の物でなぜ掛かるのかは実の所わかってはいない。
判っていることは”魔力を身体に貯めこみ過ぎてしまいそれが体を蝕む病”と言うことだけだ。
魔法を使えるものであれ、魔法を使えないものであれ掛かる対象が全く傾向と対策の出来ない病
ただ、一度でもこの病にかかれば後はこの病に掛からないという不思議な病気である。
確かこれの薬になる薬草は
「それなら今の時期ならCランクの依頼になるな」
依頼口から既に現役を退役し、此処の依頼口の窓口をやっている男性がやってきた
「確か薬草になる排出草の採取ランクはFで安全だったはずですが何かあったのですか?」
「その近くでストーンゴーレムが発見されてな。下級ランクの奴には近寄らないようにと通達が会ったばかりだ」
それは面倒な。
ストーンゴーレム。
大きな岩を切り取ったかのような巨人兵。
大きさは大体3,4㍍前後で基本的にCランクの中でも相当の比較的大物に入る化け物だ。
確か薬草のある森はこの王国の北5㌔の地点にある”薬草の森”だったはず。
様々な薬草があるから”薬草の森”とはよく言ったものだ
基本的に私みたいなFランクのお使いイベント的な者が中心だったが
「そうですか……ならば、依頼をせず単独で挑むほうが」
「止めておけシャル、お前もCランクとは言え数人で挑まなければ倒せない相手だ。逃げの一手をとるにしてももう一人はいなければ行かせる訳にはいかんぞ?」
「そう、ですか」
ふむ。目の前の女性はCランクか……此処は勇者の力でも借りるか
後ろを振り返ってアイコンタクト。
<同じパーティーってことにして良い?>
≪OK≫
即答で問題無しとされたので話しに割り込む
「ならばその任務、私達が請け負ってもよろしいでしょうか?」
「ん?お前は今日一番の働き者で恋人働きすぎで泣かれた坊主じゃないか。しかもEになりかけだったな。流石に承認できんぞ」
「あっちにいる男の子二人、国王が認めた勇者です」
「……何?あの教会事件は事実だったのか」
「えぇ。その当事者と言うことです。そしてその勇者が私の同じパーティーなのです。力になれるはずです」
「あっち二人なら勇者と言うことで許可できるがお前さんは……ぬぅ」
事務員の男性を困らせてしまっている。
そりゃそうだ。
今日登録してFランク、そして周りから無理をしすぎてEランク入りした人間を果たしてCランク、中級の物に入れても良いのか。
勇者だけなら問題なくOKを出せただろう。
問題はこの少年なのだ。
どうすれば良いのか
そのことを考えているであろう事務員の男性に更なる言葉を告げようとして奥から男性がやってくるのが感じ取れた
「構わぬ。勇者パーティーの依頼参加を受けようではないか」
「ギルドマスター、しかしそれは」
「例外事項はいつでも有るものじゃよ」
なにやらギルドマスターなる者が出てきた
しかも普通はこういうところに出ないことで有名なギルドマスターが
「勇者の力を見てみたいしのぉ。おぬしのパーティーは勇者二人だけで良いかの?」
「えぇ、私と勇者二人、合わせて三人がパーティーです」
「だが、その届出は出て無いぞ?」
「私も同じランクになったらパーティーを組むつもりでしたので」
「ほっほっほ。なるほどのぉ」
事務員の質問に答えるとギルドマスターが笑った。
「ならば許可しよう。シャルよ、勇者パーティーと共に行くのであれば許可しよう。どうするかの?」
「本当に、良いのね?ストーンゴーレムはCランク数人がかりの代物だけど」
「私の心配をしているのなら問題はありません。そして、勇者二人はもとより心配無用です」
こうして、厄介ごとが迷い込み、その厄介ごとに首を突っ込むのであった
ちなみに普通ならストーンゴーレムはCランカーの中でもそれなりに場数を踏んだ人が数人必要な強力なモンスターです




