090話 雨の日に彼は
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「あのー、少しレインズちゃんの名前が聞こえて来たのですが、貴方達レインズちゃんのお友達だったりしますか?」
会計を済ませている途中、お店のお婆さんが声を掛けて来た。
どうやら質問から察するにレインズと知り合いなのだろう。
少し心配そうな目をして俺達の返事を待っていた。
友達では絶対にないので答えはノーと決まっているが、お婆さんを見ていると否定するのも憚られる。
「まぁ、知り合いみたいなものですかね」
「そうなの!良かったー!レインズちゃんにこんな歳の近そうなお友達がいたなんて」
やんわりと否定したつもりだったのだが、どうやらお婆さんには伝わらなかったようだ。
「なんだい、お前さん達。レインズの友達かい。そうならそうと言ってくれた良かったのに」
「そうよ、そうよ。レインズちゃん、最近バッタリ顔出さなくなって心配だったのよ」
先にいた常連の客達もレインズの話と聞くと食い付いた。
どうやらここの店には何度か足を運んでいたみたいだ。
闘技場のレインズとしての人気とはまた違った人気振りに驚く。
「レインズってどんな奴なんですか?俺も最近知り合ったばかりで」
思わず口が動いた。
レインズを知ることは今回の作戦と何も関係ない。
関係はないが、レインズという男を知りたいと思った。
あれ程師匠思いの背景には必ず何かあるはずだ。
「レインズちゃんはね、捨て子なのよ。雷も鳴る大雨の日、ジャルファンさんの家の前で捨てられていたの」
「ジャルファン?というのはどなたですか」
「レインズちゃんが師匠と呼んでいた人よ。昔は有名な冒険者だったらしいけどね。レインズちゃんと同じくらいジャルファンさんも悲しい運命の人なのよ」
お婆さんは思い出しながら語っているが、まるで自分の事の様に悲しそうだった。
レインズとジャルファンという名の師匠の壮絶な過去を悟るには十分すぎる表情だ。
「ジャルファン・カルーノ、彼には奥さんがいたのよ。昔、同じパーティを組んでいた女性だって聞いているわ。私達がこの店を始めた時から足を運んでくれた常連だけど、かなり仲が良い夫婦だったの」
ジャルファン・カルーノ。
その名前を聞いた時、俺は思い出してしまった。
彼の奥さんの名前はきっと・・・、
「ランバリー・カルーノ、ジャルファンさんの奥さんは、レインズちゃんが家の前に捨てられていた日と同じ日に亡くなったって」
やはりジャルファンの妻の名はランバリー。
あの実験部屋にあったリストの中に載っていた名前と同じだ。
リストに死亡と書かれていたことも考えると辻褄もあう。
妻を失い、新たにレインズという命を預かることになったジャルファンの心情はかなり複雑だったはずだ。
レインズが感謝してもしきれないという気持ちがあるのも頷ける。
「ジャルファンさん、レインズちゃんとも一緒にここへ来てくれたんだけど、最近全く見掛けなくなったから心配よね」
「噂ではジャルファンがくたばったんじゃねーかって噂もあんだけどよ。絶対アイツはそんなタマじゃねーよな」
「本当元気な姿を一度でも良いから見せて欲いのに」
ここの話を聞くだけでどれ程ジャルファンという男が愛されていたか分かる。
「でも、レインズちゃんの方は心配なさそうね。こんなに多くのお友達がいるんだから」
最後まで俺達をレインズの友達だと思っているお婆さん達。
否定しようにも、話を聞いた後では訂正するのが野暮なのではないかとさえ思える。
「大丈夫ですよ、レインズは元気ですから」
「そう良かった。ごめんなさいね、引き留めてしまって」
「良いんですよ。俺達も知りたかったですから」
店を出た後も、お婆さんはわざわざ外まで出て何度も頭を下げていた。
話を聞いていたミラ達はどう反応すれば良いのかといった感じだ。
まだレインズへの憤りが消えた訳ではないが、あの時襲い掛かった理由もようやく納得出来なくもないと思い始めたのだろう。
もしも、自分が似た様な境遇にいたとしたら、きっと同じ様なことをしていたかもしれない。
不幸が不幸を呼び、止まらない連鎖が起こり、悪循環が生まれる。
既に始まっているこの悪循環に巻き込まれた者は多い。
もしかすると今この瞬間も。
「・・・急ごう」
「そうね。もうこれ以上、悲しい話が生まれないように」
「うん、ベリーもそう思う。こんなことがあっちゃいけない。2度と」
「じゃあ、予定通り私とミラが例の物を探してくるから、みんなはリキテッドを頼んだ」
「任せてよ。絶対に見つけ出してやるんだから」
二手に分かれることになったので、白司録とミラを見送ってから移動を始める。
最初の目的地は闘技場。
彼の巣穴と言っても過言ではない場所だ。
狙われている俺達にとっては危険な場所と言えるが、だからこそ闘技場にリキテッドがいる可能性は高い。
ベリーの足取りはいつもより早く感じた。
彼女は人一倍純粋で清らかな心を持っているからこそ、許せないことが多いのだろう。
反対にリルとラルはベリーに遅れを取ってはいないが元気がない。
カタロフィに来てからずっとこんな調子なので心配だ。
体調が優れないのであればすぐにでも休ませてあげるべきなのだが、医者ではない俺には本人達が言い出して来ない以上判断が難しい。
無理はしないようにと口酸っぱく言ってはいるので大丈夫だと信じたいが、一応口頭でも聞いてみることにした。
「リル、ラル。大丈夫か?体調が悪いならどこかで休憩するけど」
「「だ、大丈夫ですよ、ご主人様!」」
俺の問いに驚きながらも問題ないと言い張る2人。
言葉をそのまま鵜呑みにすべきか迷ったが、これ以上追求するのも信用していないみたいで気が引ける。
今は2人を信じて、リキテッドの捜索に集中することに決めた。
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