第82話 世界再接続計画
第82話 世界再接続計画
第四認証鍵最深部への扉が開いた。
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そこには何もなかった。
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少なくとも最初はそう見えた。
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壁も。
床も。
天井も。
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存在しているのか分からない。
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白い空間。
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どこまでも続く無限の白。
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静寂。
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誰の足音も響かない。
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神代が辺りを見回す。
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「何だここ……」
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《世界設計図》が反応しない。
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初めてだった。
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今までどんな遺跡でも。
どんな施設でも。
何らかの構造は見えていた。
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だがここにはない。
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世界ですらない。
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建物でもない。
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もっと根本。
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概念領域に近い何か。
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その時。
前を歩いていたルナが振り返る。
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「ここが世界の継ぎ目」
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静かな声。
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誰も理解できない。
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だが。
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アリアだけは反応した。
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「記録一致」
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「基準世界接続領域」
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「物流網中枢空間」
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アークが息を吐く。
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「本当に残っていたのか」
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レギウスも苦笑する。
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「俺も初めて見る」
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管理局最高責任者ですら来られなかった場所。
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それがここだった。
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その時。
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白い空間の中央が光る。
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無数の線。
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世界と世界を結ぶ光。
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物流網。
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その全体構造が現れた。
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まるで宇宙だった。
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いや。
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宇宙より巨大だった。
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世界数千。
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世界数万。
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それら全てを結ぶネットワーク。
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神代は息を呑む。
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「綺麗だ……」
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崩壊していてもなお美しい。
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それが物流網だった。
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だが。
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その中心。
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一本の巨大な幹。
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そこだけが断裂していた。
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真っ黒だった。
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栞の顔色が変わる。
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《世界観測》が警告を出す。
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危険。
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崩壊。
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消滅。
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世界断絶。
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全部がその一点へ集中している。
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「ここです」
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栞が震える声で言う。
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「全部の原因」
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ルナが頷いた。
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「うん」
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「基準世界との接続が切れてる」
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静寂。
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基準世界。
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つまり地球。
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物流網の原点。
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全ての始まり。
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そこへ繋がる回線が途切れている。
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だから世界は壊れた。
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だから物流網は死にかけている。
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だから第四認証鍵も崩壊した。
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その時だった。
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白い空間に人影が現れる。
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女性だった。
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黒髪。
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白衣。
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第80話で見た人物。
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修復者計画提唱者。
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彼女の記録映像だった。
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「もし君たちがここまで来たなら」
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静かな声。
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三千年の時を超えて響く。
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「おめでとう」
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その言葉に。
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神代は少しだけ胸が痛んだ。
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この人たちは。
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未来に期待して死んだ。
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それを今実感していた。
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映像の女性は続ける。
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「ここから先は私たちにも出来なかった」
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「だから未来へ託した」
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その後ろには。
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若いアーク。
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若いレギウス。
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ヴァルド。
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他の管理者たち。
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全員がいる。
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誰も笑っていない。
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それでも。
諦めてはいなかった。
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「世界再接続計画」
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「最後の工程を説明します」
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白い空間へ新しい図が浮かぶ。
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物流網。
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第四認証鍵。
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世界基盤。
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そして。
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地球。
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全てが一本の線で繋がる。
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神代が叫ぶ。
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「待った」
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映像は止まらない。
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「地球と接続ってどうやるんだ!?」
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当然の疑問だった。
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三千年前の映像が答える。
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《修復者を基準点とする》
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静寂。
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全員が固まる。
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神代も。
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栞も。
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レギウスも。
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ヴァルドも。
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アリアだけが高速演算を始めた。
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そして。
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答えが出る。
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「理解しました」
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「カイルは地球出身です」
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「地球と物流網双方へ接続経験があります」
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「条件を満たします」
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空気が止まる。
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神代がゆっくり振り向く。
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カイルを見る。
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「つまり」
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「つまり何ですかアリアさん」
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アリアはいつも通り冷静だった。
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「カイルが地球との接続点になります」
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静寂。
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「は?」
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全員の声が揃った。
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流石に驚く。
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世界を救う。
↓
物流網再接続。
↓
地球と故郷を繋ぐ。
↓
その中継点がカイル。
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意味が分からない。
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しかし。
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ルナは納得した顔だった。
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「そういうことか」
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神代が頭を抱える。
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「また本人が重要部品だった」
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「最近そういうの多くないですか!?」
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ヴァルドが大笑いする。
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レギウスも笑う。
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珍しくアークも。
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三千年前の連中まで笑った。
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カイルだけが真顔だった。
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そして。
質問する。
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「危険か」
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部屋が静まる。
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それが一番重要だった。
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映像の女性が答える。
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「昔なら危険だった」
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静かな声。
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「でも今は違う」
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映像が変わる。
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修復者。
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補佐官。
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継承者。
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管理端末。
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四つの光。
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共同管理方式。
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三千年前に完成しなかった理論。
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今やっと実現している。
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「負荷を分散できる」
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「誰か一人が犠牲になる必要はない」
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その言葉に。
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レギウスが目を閉じた。
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救われたような顔だった。
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エリオスも同じ。
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三千年間苦しんだ者たちにとって。
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それは何よりの救いだった。
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そして。
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映像は最後に言う。
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「世界を救ってください」
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「そして」
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少しだけ笑った。
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「ちゃんと帰ってください」
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静寂。
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映像が消える。
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白い空間へ再び静寂が訪れる。
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その時。
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物流網の中心。
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黒い断裂がさらに広がった。
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ドクン。
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まるで心臓の鼓動。
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世界崩壊が加速している。
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残された時間は少ない。
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カイルは断裂を見上げる。
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そして。
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静かに言った。
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「やるか」
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その一言で。
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修復者。
補佐官。
継承者。
管理端末。
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四人が前へ出る。
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三千年越しの計画。
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世界再接続計画。
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その本当の始動が。
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今。
始まろうとしていた。
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第83話 世界を繋ぐ者たちへ続く
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