第80話 管理局の遺言
第80話 管理局の遺言
最終管理領域。
その扉がゆっくりと開いていく。
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重い音が鳴った。
まるで三千年間閉じ続けていた歴史そのものが動き出すような音。
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誰も喋らない。
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カイル。
栞。
神代。
アリア。
そして。
レギウスたち三千年前の生き残りも。
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ただ見ていた。
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巨大な扉の向こうを。
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やがて。
闇の先に光が見える。
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眩しい光ではない。
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暖かい光だった。
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誰かが残した灯火のような。
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扉が完全に開く。
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その先に広がっていたのは。
意外な光景だった。
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墓ではない。
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研究施設でもない。
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兵器庫でもない。
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一つの街だった。
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静寂。
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神代が息を呑む。
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「え……」
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誰も予想していなかった。
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そこには公園があった。
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住宅があった。
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学校があった。
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図書館。
市場。
広場。
噴水。
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ありふれた街並み。
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ただし。
人だけがいない。
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三千年前の街が。
時の中で止まっていた。
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「管理局の街だ」
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レギウスが呟く。
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その声は震えていた。
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「俺たちが暮らしていた場所だ」
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静寂。
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アークも立ち尽くしている。
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ヴァルドですら言葉を失った。
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三千年間。
ずっと忘れていた。
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仕事ではない。
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管理者でもない。
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ただの人間だった頃の記憶。
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その全てがここに残っていた。
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栞は中央広場を見つめる。
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そこには石碑があった。
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巨大な石碑。
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静かに立っている。
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そして。
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そこに刻まれていた文字を読んだ。
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《未来の修復者へ》
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全員が近付く。
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石碑に触れた瞬間。
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世界が白く染まった。
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映像。
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記録。
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三千年前の最後の日。
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管理局最高会議。
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そこに若いレギウスがいる。
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若いアーク。
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若いヴァルド。
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そして。
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見たことのない人々。
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管理者たち。
技師たち。
研究者たち。
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皆疲れていた。
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皆知っていた。
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終わることを。
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物流網が限界であることを。
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それでも。
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諦めなかった。
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映像の中。
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一人の女性が立ち上がる。
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白衣。
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黒髪。
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静かな目。
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おそらく修復者計画の提唱者だった。
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彼女は言う。
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「私たちは失敗します」
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誰も反論しない。
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もう分かっていた。
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世界を維持できない。
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全部は救えない。
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だから。
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彼女は続ける。
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「でも」
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「未来は失敗しなくてもいい」
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静寂。
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「未来の人たちは」
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「私たちと同じ間違いをしなくてもいい」
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その言葉が重い。
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会議室の誰もが目を伏せる。
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そして。
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彼女は最後にこう言った。
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「もし君たちがこの記録を見るなら」
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「お願いします」
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「世界を支配しないでください」
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「世界を管理しないでください」
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そして。
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ほんの少し笑った。
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「直してください」
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静寂。
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映像が消える。
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誰も喋れなかった。
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神代は拳を握っている。
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栞は目を潤ませている。
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アリアでさえ沈黙していた。
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そして。
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レギウスが小さく笑う。
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「結局」
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「俺たちは最初から答えを聞いていたんだな」
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苦笑だった。
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ヴァルドも笑った。
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アークも。
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三千年前。
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答えは存在していた。
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だが。
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選べなかった。
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効率を選んだ。
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管理を選んだ。
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支配を選んだ。
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だから失敗した。
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その時だった。
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石碑が再び輝く。
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新しい情報が表示される。
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《最終修復計画》
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全員の表情が変わる。
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来た。
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管理局最後の遺産。
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本当の切り札。
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ルナが息を呑む。
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セレスも。
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ゼノンですら目を見開く。
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そして。
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計画内容が表示される。
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誰もが読んだ。
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読んで。
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固まった。
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《世界再接続計画》
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《必要条件》
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《修復者》
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《補佐官》
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《継承者》
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《管理端末》
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ここまでは予想通りだった。
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しかし。
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その次の一文が。
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全員を沈黙させた。
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《起動には異世界基準点が必要》
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静寂。
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神代が聞き返す。
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「異世界……?」
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そして。
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石碑の中央に。
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一つの世界が映し出される。
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青い空。
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高層ビル。
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車。
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電車。
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人々。
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カイルは息を止めた。
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その景色を知っている。
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忘れるはずがない。
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地球。
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日本。
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東京。
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自分が生まれた世界。
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石碑は静かに表示する。
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《異世界基準点》
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《登録名》
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《地球》
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世界から音が消えた。
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そして。
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三千年前の修復計画は。
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カイル自身の故郷へと繋がっていた。
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第81話 帰るべき世界へ続く
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