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第74話 最終修復計画

第74話 最終修復計画

王都は沈み続けていた。

ゴゴゴゴゴ……

地鳴りが鳴り止まない。

石畳は割れ。

建物は傾き。

避難民の列は果てしなく続いている。

空には黒虚の顎。

大地の下では第四認証鍵の崩壊。

そして遥か彼方。

世界中心部ではゼノンが待っている。


---


普通なら。

誰もがこう考える。


---


まず敵を倒そう。


---


だが。

修復者チームは違った。


---


アダマス司令室。

巨大な立体地図が展開される。

王都全域。

崩壊領域。

物流脈。

避難状況。

全てが表示されていた。


---


栞が息を呑む。


---


「酷い……」


---


《世界観測》が示す情報。

王都だけではない。

王都周辺の物流拠点。

農業地帯。

居住区。

山岳都市。

全部壊れ始めている。


---


第四認証鍵が死にかけている影響だった。


---


アリアが報告する。

「現在の崩壊は世界構造そのものに及んでいます」


---


神代が地図を見る。


---


《世界設計図》


---


かつてないほど鮮明だった。


---


見える。


---


世界の骨組みが。


---


物流脈。

魔力脈。

地盤構造。

世界接続。

全部。


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そして。

気付く。


---


「これ」


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「王都だけ直しても意味がない」


---


静寂。


---


アークが頷く。


---


「その通りだ」


---


三千年前の第一技師。


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久しぶりに設計者の顔だった。


---


「第四認証鍵は世界全体を支えている」


---


「なら修復も世界規模になる」


---


誰も笑わない。


---


事実だからだ。


---


世界を直す。


---


その言葉が。

冗談にならない場所へ来てしまった。


---


その時だった。


---


カイルが地図を見ていた。


---


真剣な顔。


---


全員が待つ。


---


この男が考えている時は。

何か見つけている。


---


やがて。


---


カイルは言った。


---


「橋を架ける」


---


静寂。


---


神代が顔を覆う。


---


「また橋……」


---


「重要だろ」


---


真顔だった。


---


栞まで笑いそうになる。


---


世界崩壊。

↓

第四認証鍵。

↓

物流網。

↓

橋。


---


思考回路が完全に修復者だった。


---


だが。


---


数秒後。


---


全員が理解した。


---


「あ」


---


神代が声を漏らす。


---


確かに。


---


橋だった。


---


世界そのものに。


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アークが地図を操作する。


---


崩壊した物流脈。


---


分断された接続路。


---


消えた世界物流網。


---


それらを線で結ぶ。


---


結果。


---


巨大なネットワークが表示される。


---


神経網のような構造。


---


「これが物流網だ」

アークが言う。


---


「つまり」


---


カイルが続ける。


---


「壊れたネットワークを繋ぎ直せばいい」


---


シンプルだった。


---


世界規模なのに。


---


やることは変わらない。


---


神代は少し笑った。


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道路工事。


---


橋梁工事。


---


物流復旧。


---


全部同じなのだ。


---


規模が違うだけで。


---


その時。

栞の能力が爆発的に反応した。


---


《世界観測》


---


世界全域。


---


物流網全域。


---


そして。


---


崩壊箇所。


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その全てが見えた。


---


「見えます!」


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全員が振り向く。


---


栞の瞳が金色に光っている。


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「物流網の断裂点!」


---


「全部!」


---


神代が驚く。


---


「いくつあるんですか!?」


---


栞は答えた。


---


「七か所」


---


静寂。


---


予想より少ない。


---


アークも目を見開いた。


---


「そんな馬鹿な」


---


しかし。


---


本当だった。


---


物流網自体は優秀なのだ。


---


三千年耐えた。


---


本当に重要な断裂は七か所。


---


そこを繋げば。


---


世界全体へ影響を与えられる。


---


カイルが立ち上がる。


---


「決まりだな」


---


神代が聞く。


---


「何がです」


---


カイルは七つのポイントを指差した。


---


「ここを直す」


---


「全部」


---


当たり前のように。


---


言った。


---


その時。


---


ヴァルドが楽しそうに笑った。


---


「世界修理か」


---


「最高だな」


---


管理局を壊した革命家。


---


だが。


---


彼も本質的には技術者だった。


---


だから分かる。


---


今からやろうとしていることが。

どれほど無茶か。

そして。

どれほど面白いか。


---


その時だった。


---


司令室が揺れた。


---


ドォォォォォン!!


---


全員が振り向く。


---


外。


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王都中央。


---


巨大な亀裂が発生していた。


---


避難ルートへ直撃する位置。


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栞が叫ぶ。


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「崩落!」


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人々が取り残される。


---


神代も顔色を変える。


---


「間に合わない!」


---


だが。


---


次の瞬間。


---


カイルは動いていた。


---


《空想具現》


---


巨大魔法陣展開。


---


青白い光が王都全域へ伸びる。


---


避難路。


---


崩落地帯。


---


物流橋。


---


全部へ接続。


---


そして。


---


新たな構造物が形成される。


---


道。


---


巨大な避難路。


---


崩壊した街の上を繋ぐ光の橋。


---


人々の悲鳴が歓声へ変わる。


---


逃げ道ができた。


---


生き残れる。


---


その希望が。


---


絶望の中に現れた。


---


その光景を遠くから見ていた者がいる。


---


第四認証鍵中枢。


---


黒い柱の頂上。


---


ゼノン。


---


管理局最後の執行者。


---


彼は黙って見ていた。


---


そして。

初めて。

本当に僅かに。


---


口元が動く。


---


「そうか」


---


修復とは何か。


---


三千年間。

分からなかった答え。


---


その輪郭が。

少しだけ見え始めていた。


---


第75話 世界の橋へ続く

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

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