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第73話 世界核守護機構ゼノン

第73話 世界核守護機構ゼノン

王都上空。

黄金の光柱が空を貫いていた。

それは太陽にも似ていた。

だが暖かさはない。

希望もない。

あるのは圧倒的な威圧感だけだった。


---


避難していた人々が空を見上げる。

兵士たちも動きを止める。

解放派。

アダマス保安隊。

物流技師団。

誰もがその光景を見ていた。


---


そして。

光柱の中心から。

一人の男が現れた。


---


銀色の長髪。

黒い軍服。

黄金の瞳。

整った顔立ち。

だがその表情に感情はない。


---


まるで機械。


---


いや。

三千年間命令だけを実行してきた存在。


---


管理局最後の執行者。

第四認証鍵守護者。


---


ゼノン。


---


静かに空中へ降り立つ。


---


その瞬間。

王都全体の魔力が震えた。


---


ドォォォォォン!!


---


衝撃波。


---


地面が揺れる。


---


崩落寸前だった建物がさらに軋む。


---


神代が顔をしかめた。


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「強すぎるだろ……」


---


レギウスは黙ったままだった。


---


アークも。


---


ヴァルドも。


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冗談を言わない。


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それほど危険だった。


---


ゼノンは周囲を見渡す。


---


避難民。


---


救助隊。


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解放派。


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アダマス。


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そして。


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修復者。


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カイル。


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黄金の瞳が彼を捉える。


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長い沈黙。


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そして。


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「確認」


---


低い声。


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感情がない。


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「修復者個体を確認」


---


「後継者候補群を確認」


---


アリアが即座に反応した。


---


「警告」

「敵対判定を確認」


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空気が張り詰める。


---


だが。

次の言葉は予想外だった。


---


「排除対象ではない」


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静寂。


---


神代が眉をひそめる。


---


「どういう意味だ?」


---


ゼノンは答える。


---


「判定中である」


---


まるで機械だ。


---


実際。

半分以上機械なのだろう。


---


ルナが震える声を出した。


---


「まだ続いてるんだ……」


---


三千年前に始まった判定。


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そして未だ終了していない。


---


カイルが前へ出る。


---


「お前が世界を壊しているのか」


---


短い質問。


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ゼノンは即答した。


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「否」


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その一言に。

栞の能力が反応する。


---


《世界観測》


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真偽判定。


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結果。


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真。


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嘘を言っていない。


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神代が眉をひそめる。


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「でも崩壊は進んでる」


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「知っている」


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「止めないのか」


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「止められない」


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静寂。


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ゼノンの表情は変わらない。


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「使命が優先される」


---


またその言葉だった。


---


使命。


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管理局。


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三千年前。


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全てを縛った呪いのような言葉。


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ヴァルドが吐き捨てる。


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「だから嫌いなんだ」


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ゼノンは反応しない。


---


ただ見続ける。


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すると。

突然だった。


---


王都の地下から巨大な振動が響く。


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ゴゴゴゴゴゴ……


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大地が割れる。


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人々の悲鳴。


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避難路の崩落。


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そして。


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王都中央部が沈み始めた。


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栞の顔色が変わる。


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「まずい!」


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能力が警告を出している。


---


第四認証鍵中枢へ続く基盤。


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それが崩れ始めた。


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このままでは。


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王都全体が落ちる。


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数十万人ごと。


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神代が叫ぶ。


---


「避難が間に合わない!」


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カイルは即座に地図を見る。


---


崩落速度。


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地盤強度。


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避難状況。


---


瞬時に計算。


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そして。


---


答えを出した。


---


「全員作業だ」


---


静かな声。


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しかし有無を言わせない。


---


神代が笑う。


---


やっぱりそうなる。


---


目の前に世界級の敵がいても。


---


この人はまず工事する。


---


「戦わないんですか」


---


「後だ」


---


即答。


---


「先に人だ」


---


その一言で。


---


ゼノンの瞳が僅かに揺れた。


---


初めてだった。


---


本当に僅か。


---


しかし確かに。


---


反応した。


---


栞は見逃さなかった。


---


「今」


---


神代も気付く。


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ゼノンは修復者を見ている。


---


観察している。


---


まるで。


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何かを確かめるように。


---


その時だった。


---


世界中心部。


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第四認証鍵中枢。


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巨大な光が脈動する。


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ドクン。


---


ドクン。


---


ドクン。


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まるで心臓だ。


---


ゼノンは振り返る。


---


そして。

初めて感情に近い声を出した。


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「時間切れが近い」


---


静かな声。


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だが。

どこか悲しそうだった。


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「あと四十日」


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「認証鍵は死ぬ」


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誰も喋れなかった。


---


ゼノンは続ける。


---


「だから判定を急ぐ」


---


カイルを見る。


---


栞を見る。


---


神代を見る。


---


アリアを見る。


---


そして。


---


「修復者」


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黄金の瞳が真っ直ぐ向けられる。


---


「お前達が正解であることを証明しろ」


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その言葉を最後に。


---


ゼノンの姿が消えた。


---


転移。


---


次の瞬間。


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遥か遠く。


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第四認証鍵中枢上空。


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そこに立っていた。


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静かに。


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ただ待っている。


---


最後の判定者として。


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その姿を見ながら。


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カイルは崩落する王都を見る。


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そして言った。


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「神代」


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「はい」


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「設計図」


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「見えてます」


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「栞」


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「はい」


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「避難誘導」


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「任せてください」


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「アリア」


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「準備完了」


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敵はいる。


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だが。


---


最終決戦の前に。


---


やるべきことがある。


---


王都を救う。


---


それが修復者チームの答えだった。


---


第74話 最終修復計画へ続く

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

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