第72話 王都救出作戦
第72話 王都救出作戦
エルドバルト王都。
かつて大陸最大の都市だった場所。
カイルが冒険者として歩いた街。
仲間と笑い合った場所。
初めて「帰りたい」と思った異世界の故郷。
その王都は。
今や崩壊の淵にあった。
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アダマスが上空へ到達した瞬間。
全員が息を呑んだ。
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街が割れている。
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中央区画は大きく陥没し。
外周部には巨大な亀裂が何本も走っていた。
建物は傾き。
橋は落ち。
城壁は半ば崩れ落ちている。
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さらに悪いことに。
王都の外周を黒い霧が囲んでいた。
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黒虚の顎。
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世界崩壊の先触れ。
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それがすぐそこまで来ている。
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栞の《世界観測》が起動する。
数万。
数十万。
膨大な情報が流れ込む。
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避難民。
損傷建築。
崩落危険区画。
物流遮断箇所。
全部見える。
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そして。
栞は真っ青になった。
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「駄目です」
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神代が振り向く。
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「何がです」
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「避難経路が無い!」
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静寂。
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王都全体が孤立していた。
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北側。
崩壊領域。
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東側。
地盤沈下。
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西側。
橋崩落。
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南側。
黒虚の顎。
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つまり。
完全包囲。
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逃げ場が無い。
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神代が唇を噛む。
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「何万人いる」
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栞は即座に答えた。
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「十三万二千人」
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絶望的な数字だった。
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普通ならもう救えない。
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しかし。
その瞬間。
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カイルは王都地図を見ていた。
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救助対象。
避難経路。
地盤状況。
崩壊予測。
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そして。
一言。
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「道はある」
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全員が振り向く。
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神代が思わず聞いた。
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「本当に?」
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「ある」
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短い返事。
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続いて。
地図の一点を指差す。
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王都北西部。
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そこに残る古い物流街道。
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完全崩壊しているはずの場所。
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しかし。
カイルの目は違った。
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「基礎が生きてる」
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神代が息を呑む。
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本当にそうだった。
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《世界設計図》。
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能力が反応している。
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三千年前の基礎構造。
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地下支持層。
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その部分だけが残っている。
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「まじか」
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神代は笑った。
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相変わらずだ。
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みんな絶望している時に。
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この男だけは工事の話をしている。
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だが。
それが頼もしい。
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その時だった。
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カイルが全員を見る。
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「王都救出作戦を開始する」
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静かな声。
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しかし。
誰も反論しない。
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栞も。
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神代も。
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アリアも。
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セレスも。
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もう知っている。
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この男がそう言った時。
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本当にやるのだと。
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数分後。
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アダマスより降下作戦開始。
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解放派。
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アダマス保安部隊。
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北方物流中継局技術班。
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全戦力投入。
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王都上空は一気に慌ただしくなった。
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飛行艇が飛ぶ。
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物資が降下する。
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避難区域が設定される。
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三千年前の技術と現代人の知恵。
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全てが投入される。
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その中心に。
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カイルはいた。
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崩落した物流街道。
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巨大な裂け目。
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幅六十メートル。
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深さ不明。
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普通ならどうしようもない。
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だが。
カイルは前へ出た。
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《空想具現》
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青い光が走る。
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構造計算開始。
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応力分散。
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荷重解析。
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物流量予測。
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橋脚設計。
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全部。
瞬時。
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巨大な魔法陣が展開される。
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神代が呆れる。
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「また橋か」
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「道が必要だからな」
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即答だった。
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次の瞬間。
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裂け目の上に巨大構造物が出現する。
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青白い光。
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鋼鉄にも似た骨組み。
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仮設物流橋。
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全長三百メートル。
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王都脱出路。
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完成。
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轟音と共に固定される。
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その瞬間。
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王都中から歓声が上がった。
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人々が気付いた。
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逃げ道だ。
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生き残れる。
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その希望に。
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栞は王都全域へ通信を飛ばす。
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「こちら救助隊です!」
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「慌てないでください!」
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「避難経路を確保しました!」
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補佐官能力が全開だった。
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交通整理。
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避難計画。
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人員誘導。
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全部同時処理。
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王都全体を一人で指揮していた。
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一方。
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神代は各地を走っていた。
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「そこの通路使えます!」
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「地下物流路が生きてる!」
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「こっちです!」
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三千年前の設計図を知る者。
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今や誰よりも王都構造を把握していた。
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かつての小説家は。
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今では都市救助作戦の中核だった。
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そして。
アリア。
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ミリア。
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セレス。
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三人もまた全力。
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物流網を再接続。
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崩落予測。
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物資輸送。
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全部担当する。
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その光景を見ながら。
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エリオスは苦笑した。
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「なるほど」
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観測者時代には分からなかった。
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三千年前の自分達に足りなかったもの。
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それが見える。
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一人で支えようとした。
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だから壊れた。
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今は違う。
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支え合っている。
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その時だった。
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王城方面。
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巨大な振動。
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ドォォォォォン!!
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王都中心部が揺れた。
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全員が振り向く。
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そして。
崩壊領域の中心。
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黒い柱の方向。
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そこから立ち上がる。
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黄金色の光。
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神代の顔色が変わる。
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セレスも。
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ルナも。
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そしてレギウスまで。
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誰もが理解した。
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ゼノン。
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管理局最後の執行者。
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第四認証鍵の守護者。
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ついに。
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完全起動した。
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王都救出は成功しつつある。
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だが。
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本当の最終決戦が。
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今まさに始まろうとしていた。
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第73話 世界核守護機構ゼノンへ続く
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