第71話 崩壊した故郷
第71話 崩壊した故郷
エルドバルトが見えた。
だが。
カイルの知る故郷ではなかった。
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流浪方舟アダマスの前面観測窓。
そこから見える世界は、まるで死につつある巨大な生物だった。
空は割れている。
大地は裂けている。
海は蒸発し。
山脈は崩れ。
黒い霧のような崩壊現象が世界中を覆っていた。
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誰も喋れない。
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神代は言葉を失っていた。
これまで何度も崩壊した場所を見てきた。
北方物流中継局。
観測者領域。
失われた物流都市。
だが。
これは規模が違う。
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世界そのものだった。
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「こんなの……」
栞が呟く。
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《世界観測》が自動起動している。
情報が流れ込む。
人口分布。
崩壊領域。
避難区域。
魔力流。
物流脈。
全部。
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そして。
見えてしまう。
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エルドバルト全体の損傷率。
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《73%》
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栞の顔から血の気が引いた。
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七割以上。
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普通なら滅んでいる。
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それでも世界が残っているのは。
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第四認証鍵が踏ん張っているからだった。
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「持ってる方がおかしい」
神代が小さく言う。
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エリオスが頷いた。
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元観測者として断言できる。
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「世界規模で見れば奇跡だ」
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その時。
アダマス全体に警報が鳴り響く。
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《高密度崩壊領域接近》
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《外殻侵食開始》
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ルナが即座に操作を始める。
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第三認証鍵。
アダマス中枢。
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今や彼女は眠るだけの存在ではない。
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物流網再建計画の中核だった。
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「侵入するよ」
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全員が見る。
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ルナは世界中央部を指差す。
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そこに存在する巨大な黒い柱。
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崩壊の中心。
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第四認証鍵中枢。
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「真っ直ぐ行けば着く」
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「ただし」
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ルナの顔が曇る。
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「途中の都市は全滅する」
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静寂。
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理由は簡単だった。
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アダマスは巨大過ぎる。
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強行突破ルートを取れば。
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崩壊領域へ巻き込まれる町が出る。
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神代が顔をしかめる。
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栞も嫌な顔になった。
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しかし。
それより早く。
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カイルが聞いていた。
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「避難は終わってるか」
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全員が振り向く。
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ルナは首を振る。
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「終わってない」
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「まだ人がいる」
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「なら迂回だ」
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即答だった。
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神代が苦笑する。
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予想通りだった。
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カイルはそういう人間だ。
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世界より人を優先する。
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だから物流網に選ばれたのかもしれない。
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その時。
セレスが言う。
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「時間がなくなる」
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事実だった。
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迂回する。
↓
時間が増える。
↓
第四認証鍵崩壊に近付く。
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どちらも正しい。
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どちらも間違っていない。
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難しい選択だった。
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しかし。
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カイルは首を振る。
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「人は切り捨てない」
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静かな声。
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だが絶対に譲らない声だった。
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セレスはしばらくカイルを見ていた。
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そして。
初めて少し笑う。
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「なるほど」
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レギウスが言っていた意味を理解した。
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修復者。
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その呼称の本当の意味を。
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壊れたものだけではない。
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人も見捨てない。
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それが修復者。
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その時だった。
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アリアが警告を発する。
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「生命反応確認」
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「どこだ」
カイルが聞く。
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巨大地図が表示される。
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崩壊領域の中心付近。
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そこに数万の反応。
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神代が目を見開く。
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「避難民?」
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「推定」
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アリアが答える。
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王都周辺だ。
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エルドバルト最大都市。
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かつてカイル達が活動していた地域。
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その周辺に。
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大量の人々が取り残されている。
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栞の能力が計算する。
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このままなら。
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四日以内に崩壊領域へ飲まれる。
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助からない。
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「先に救助です」
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栞が言った。
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神代も頷く。
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アリアも。
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エリオスも。
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誰も反対しない。
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その時だった。
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ブリッジ最前列。
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カイルが世界を見つめたまま動かない。
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沈黙。
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長い沈黙。
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栞は少し心配になった。
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故郷だ。
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何か思うところがあるのかもしれない。
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「カイルさん?」
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声をかける。
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カイルはゆっくり言った。
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「王都が見えない」
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静寂。
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誰も言葉を失う。
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確かに。
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地図上に王都は存在する。
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だが。
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直接は見えない。
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巨大な崩壊領域に隠されている。
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その事実が。
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想像以上に重かった。
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自分の知っている景色が消えている。
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故郷の象徴が見えない。
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その現実が。
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ようやくカイルへ届いた。
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だが。
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それでも。
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しばらくして。
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カイルは深く息を吐いた。
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そして。
いつもの顔に戻る。
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「まずは救助だ」
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短い言葉。
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しかし全員が動き始める。
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修復作業の前に。
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世界を救う前に。
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目の前の人々を助ける。
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それが修復者チームだった。
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その時。
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世界中心部。
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第四認証鍵中枢。
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巨大な黒い柱の前。
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一人の男が目を開く。
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銀色の長髪。
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黒い軍服。
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機械のような黄金色の瞳。
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管理局最後の執行者。
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ゼノン。
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彼は静かに空を見る。
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遠く。
アダマス接近。
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修復者到着。
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認証鍵反応。
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全てを観測する。
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そして。
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初めて感情らしいものを宿した。
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「来たか」
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三千年待ち続けた相手。
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修復者。
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その到着を。
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最後の番人は静かに迎えようとしていた。
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第72話 王都救出作戦へ続く
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