第31話 世界物流網再建計画
(-ω-;)アレ?思ったのと違くなってきた、、、、、けど面白い(* ˊ꒳ˋ*)途中まで書いてたのと違いがありすぎますが面白いと思ってしまい進めました(´▽`) '` '` '`
第31話 世界物流網再建計画
地下保守施設。
青白い光に包まれた巨大格納庫。
そこに並ぶのは、三千年前の文明が残した設備。
そして中央には。
世界間物流網の立体投影。
無数の世界。
無数の航路。
無数のゲート。
その大半が消えかけている。
静寂の中。
アリアの声だけが響いていた。
「世界間物流網再建計画を開始します」
光が広がる。
カイルの前へ。
神代の前へ。
栞の前へ。
それぞれ異なる画面が現れた。
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カイルの前。
膨大な施設一覧。
保守履歴。
損傷状況。
修理手順。
完全な管理画面だった。
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神代の前。
古代文書。
技術資料。
管理者記録。
歴史情報。
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そして。
栞の前。
謎の画面。
人員管理。
物資管理。
作業割り当て。
スケジュール。
報告書。
連絡網。
完全に事務システムだった。
「え?」
栞が固まる。
アリアが説明する。
「補佐官権限を暫定開放します」
「進行管理を担当してください」
「え?」
もう一度言った。
「私ですか?」
「はい」
「なんでですか?」
「適性が高いためです」
「なんの適性ですか!?」
「管理能力です」
栞が天井を見上げた。
もし同僚に聞かれたら絶対に信じてもらえない。
図書館アルバイト。
↓
異世界再建事務局。
意味が分からなかった。
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神代は笑いをこらえていた。
「おめでとうございます」
「全然おめでたくないです」
即答だった。
カイルまで頷く。
「事務仕事は大変だ」
「なぜ知ってるんです?」
「冒険者ギルドとの書類仕事」
妙な説得力があった。
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だが。
カイルの前に表示された情報はもっと深刻だった。
彼は地図を見つめている。
物流ゲート。
五十三か所。
修復可能施設。
その一覧。
そして最優先施設。
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【第七物流ゲート 黒虚の顎】
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故郷。
エルドバルト王国。
転移事故が起きた場所。
最初の目的地。
カイルはゆっくり息を吐いた。
「結局ここか」
アリアが頷く。
「最重要拠点です」
「ここを起動できなければ大規模修復は不可能です」
神代が地図を見る。
「つまり」
「まず異世界へ戻る必要がある?」
「はい」
アリアは即答した。
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帰還。
その言葉が空気を変える。
栞が黙る。
神代も黙る。
そしてカイルも。
ずっと探していた。
ずっと知りたかった。
帰る方法。
その答えがようやく見え始めた。
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しかし。
問題は山積みだった。
「現状で転移は可能か」
カイルが尋ねる。
アリアは首を振った。
「不可能です」
即答だった。
少し残念そうに。
「第七物流ゲート側出力不足」
「接続座標不安定」
「再起動に必要な認証鍵欠損」
神代が画面を見る。
「認証鍵?」
アリアが新しい映像を表示した。
三つの光。
それぞれ別方向へ離れている。
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【第一認証鍵】
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【第二認証鍵】
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【第三認証鍵】
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三鍵方式。
古代管理局の安全装置らしい。
現代で言うマスターキー。
「どこにある」
カイルが尋ねる。
地図が展開される。
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第一認証鍵。
地球。
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第二認証鍵。
エルドバルト王国。
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第三認証鍵。
不明。
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全員が黙った。
最後が最悪だった。
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「不明?」
神代が言う。
「情報欠落」
「中央管理局と共に消失」
アリアが答える。
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カイルは地図を見つめる。
なるほど。
簡単には帰せないらしい。
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その時だった。
施設全体が再び揺れた。
ゴゴゴゴゴ……
壁面の光が明滅する。
警報ではない。
だが異常だった。
アリアも振り向く。
「観測異常」
「世界境界揺らぎを確認」
空中に画面が出現する。
そして。
栞は初めて見る。
本当の意味での世界崩壊を。
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世界地図。
その一部。
小さな世界。
光点の一つ。
そこへ黒い亀裂が走っていた。
最初は小さい。
だが広がっていく。
空が割れ。
海が消え。
大地が崩れる。
まるで絵を破るように。
世界そのものが壊れていた。
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「うそ……」
栞の声が震える。
アリアの返答は冷静だった。
「これが終末現象です」
「現在進行中」
誰も何も言えない。
画面の中では世界が死んでいる。
本当に。
実際に。
今も。
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カイルだけが前へ出た。
静かに。
光景を見つめる。
怒りでもない。
絶望でもない。
確認するように。
測量するように。
状況を分析するように。
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やがて。
ぽつりと呟いた。
「橋が落ちているな」
神代が振り向く。
栞も振り向く。
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「え?」
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普通の感想ではない。
世界が壊れているのだ。
誰だってそう思う。
だがカイルは違った。
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「物流路が寸断されている」
静かに言う。
「だから崩壊する」
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地図へ近付く。
光点を見る。
切れた線を見る。
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「なら直す」
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本当に当たり前のように。
そう言った。
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その瞬間。
神代は少し笑った。
栞も笑ってしまった。
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世界が終わる。
敵もいる。
三千年前の管理者もいる。
認証鍵も足りない。
問題だらけだ。
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それなのに。
目の前の異世界人は。
まるで町の橋の補修工事みたいな顔をしている。
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「大丈夫なんですか?」
栞が聞く。
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カイルは少しだけ考えた。
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そして答えた。
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「難しいな」
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正直だった。
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「成功率は低い」
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「敵もいる」
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「時間もない」
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全部認める。
否定しない。
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だが。
そこで終わらなかった。
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「だが」
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静かに笑う。
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「まだ壊れていない」
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世界地図を見る。
残った航路を見る。
残った世界を見る。
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「なら手遅れじゃない」
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その言葉に。
施設が静まり返った。
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アリアが初めて微笑む。
ほんの僅か。
本当に僅かだったが。
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「修復者適性を再確認」
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「評価を上方修正します」
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神代が肩をすくめる。
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「管理者向きですね」
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「違う」
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カイルは即答した。
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「現場監督だ」
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その返答に。
栞はとうとう吹き出した。
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こうして。
世界物流網再建計画は本格的に動き始める。
最初の目標。
第一認証鍵の回収。
場所は地球。
しかも意外なほど近く。
人知れず眠る古代施設。
その地下に。
三千年前の遺産が保管されているという。
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そして同じ頃。
遥か彼方。
崩壊しつつある中央管理局。
黄金の瞳を持つ最後の管理者は。
静かに画面を見つめていた。
映し出されるのはカイルたち。
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「現場監督、か」
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小さく笑う。
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「面白い」
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その声には。
初めて興味が混じっていた。
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修復者。
カイル・ヴァンガード。
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世界を救うかもしれない男。
あるいは。
三千年前の失敗を繰り返す男。
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最後の管理者は。
静かに立ち上がった。
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世界物流網再建計画。
その最初の試練が。
もうすぐ始まろうとしていた。
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――第32話へ続く――
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