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ボクっ娘幼なじみが本命の最強美少女パイロット、女心を学ぼうとして全部間違える 〜女の子とデートしまくれば百合が理解できるよね(???)〜  作者: そらいろきいろ
007 / ユア・愛ズ・オンリー

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#39 レクセルの帰り道

次回、完結です。

 帰るとはいえ、ソフィアは遠い。

 つまり訪れてきた街を、逆順に再訪しながらの飛行になる。


 アルマに別れを告げて、まず向かったのはスバル。

 慢心して〈遊便狩り〉に殺されかけた、トラウマの街。

 そしてラヴジョイの実家、サングレーザー伯爵家の地元でもある。


「ふう……」


 緊張気味に着陸を済ませ、ふと見回すと。

 心なしか、前来た時よりも機体が多いような。


「――――そりゃあんた、あの〈遊便狩り〉が自首したからだよ!」


 レクセルが尋ねてみると。

 近くにいた配達人は、嬉しそうに教えてくれた。


「……自首、ですか?」


「そうさ! 噂によると、返り討ちに合ってすっかりビビっちまったらしいのさ。あんな動きができるのは悪魔に違いない、とかうわ言のように呟いてたらしい!」


「悪魔とは失礼だな……」


「ああ、なんだって?」


「……いえ、安全になってよかったなと」


「そうだろう!」


 どうしようもない悪人で。

 打算からだが、エスコートしてくれたフェイ。

 いっときは憧れさえ抱いた、オトナの女性。

 

 ぎこちなく、けれど素直に、レクセルは微笑んだ。

 ほっとしたのは、襲われないことへの安心からか――――フェイが生きていたことからか。


 どちらなのかを、己の心に聞いてみることはしなかった。

 レクセルにはもう、どうでもいいことだったから。






 次の街、パラナルでは。

 懐かしい面々が、驚きと共にレクセルを迎えた。

 

「うそ、レクセルなの!?」


「レクセルさんっ!?」


「レクセルさま!?」


「「「「救世主っ!?」」」」


「……こんないっぺんに違う呼ばれ方されたの初めてだよ!」


 隊長のビエラ。

 男まさりなアトラス。

 イケヤ、ブルックス、チャン、他にもたくさん――――。

  

 1週間もの間、共に戦った〈エンベロープ・エクスプレス〉の仲間たちだ。

 あの封鎖はすっかりなくなり、滞っていた物流は以前よりも活発になっているという。


「相変わらずきれ――――罪な顔ねっ! このっ」


「いたたいたた……ビエラも元気そうでなにより。恋人できた?」


「ぶち墜とすわよ!?」


「あはは」


「……ったくあんたは相変わらずね!」


 ビエラはフン! とそっぽを向く。

 少しだけ――――嬉しそうに。


 それから顔を戻して、ため息がてらに今度こそ笑った。

 

「見ないうちにいい顔になったじゃない。憑き物を落としでもしたの?」


「……うん、いろいろ成長したんだ。流石ビエラ、鋭いね」


「あんたが鈍いだけでしょ。 でもまあ――――前より素敵になってるわ、よっ!」


「ぐえー感謝んごふっ」


 照れ隠しのパンチを、レクセルは甘んじて受けた。

 険が取れたその様子に、配達人たちは少し顔を見合わせて。

 丸くなったねぇ、と微笑んだのであった。






「始まりの街――――ということになるのかな、ここは」


 遊便としての初仕事で訪れた、ファースト市。

 ネオンが目立つ賑やかな街は、1ヶ月経っても全く同じ、浮かれた空気が流れていた。


「おー、まだやってるんだ」


 ファーストで1番大きな映画館もその例に漏れず。

 ぎらぎらな電飾でこれでもかと照らす看板に、〈大ヒット御礼! 『アルマの休日』上映中!〉の文字。


 ……もう一度観たいけど、その時間はないよな。

 

 しばらく見上げてから、レクセルは歩き出す。

 こっちだっけ……ときょろきょろしながら通りを進むと、見覚えのあるカフェが見えてきた。


「よかった、合ってた」


 ちりりんとドアベルを鳴らす。

 相変わらず、ちょうどよい混み具合。

 なんとなく見回して、けれど知ってる顔はいなくて、レクセルは1人カウンターへ座った。


「すみません。ほうれん草のキッシュを……それから、きのこのキッシュも」


「かしこまりました〜」


 温かいそれを、しみじみと噛み締める。

 まずはほうれん草のほうを。

 それから――――ここを教えてくれたレヴィが頼んだ、きのこのキッシュも。

 

「……おいしい」

  

 最後の方は少しキツかったけど、なんとか完食。

 レヴィのおすすめは映画に続き、今度も当たりであった。


 ――――そして、数時間後。

 桃色の髪の少女が、開店したてのカフェを訪れた。

 休日のモーニングはここで摂ると決めているのだ。

 

「あらレヴィちゃん、いらっしゃい〜」


「いつものやつ、おねがいしまぁすっ」


「は〜いちょっと待っててね〜」


 彼女は常連である。

 いつものモーニングを頼み、いつもの席にすとんと座った。

 窓の外には、昇ったばかりの太陽が輝いている。


 青空にキラリと、光が見えた。


「あれ飛行機かなぁ……って、そういえば」


 懐かしいひと。

 そして叶わなかった恋を思い出して、レヴィは口を尖らせる。

 また瞬いた光を見ながら、小さく呟く。


「…………レクさん、今なにしてるのかなぁ……」


 ――――奇しくも答えは目の前にあったが、少女は気付かないのであった。






 翼の後ろ、フラップが開く。

 しまわれていたタイヤが、するすると降りる。


 プロペラの残像が目で追えるほどゆっくりになって――――すたん、と衝撃が機体を揺らした。


 ソフィアの街は、ちょうどお昼過ぎ。

 休憩がてら滑走路を眺めていた社員の1人が、飲んでいたコーヒーでいきなりむせた。


「――――ゴッファ!」


「うわばっちぃわね! なによいきなり!?」


「レ、レ……っ」


「……レ?」


「レク様の……レク様の機体(スコルピウス)だわっ!!」


「えーまさかぁ――――ごふぁっ!」


「ちょっと!? あんたたち……」

 

 びしょびしょの2人に、ちょうど歩いてきた同僚が立ち止まる。

 持っていたコーヒーを一口飲んで、少し引き気味に尋ねた。


「どうしたのよ、なにを見て――――ゴフォ!」


「やかましいぞお前ら、なにして――――ぶばっ!」


「「「やだ社長ばっちいッ!!!」」」


「お前らもだろうがッッッ!」


 ――――モップや雑巾が次々と引っ張り出され、騒がしくなった〈コマ•エクスプレス〉へ。

 罪な女が帰ってきた。

読んでいただき、ありがとうございます!

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