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ボクっ娘幼なじみが本命の最強美少女パイロット、女心を学ぼうとして全部間違える 〜女の子とデートしまくれば百合が理解できるよね(???)〜  作者: そらいろきいろ
005 / モーンレイカー

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#24 レクセル、閃く

Moan:(スラングで)喘ぎ声

MoanRaker:えっち集め人、(古典的隠語で)阿呆もの

「まずはご無事でなによりです、レクセルさん」


「……お気遣い、痛み入ります」


 ジェミニ市の民間郵便会社、〈ダストテイル・エクスプレス〉の応接室。

 代表は穏やかな声でレクセルを労った。


「それにしても、配達物も無傷とは思いませんでした。とてもあの機体に載っていたとは信じられない……!」


「……遊便の努めを果たしたまでです。――――だけど、よかった」


 遊便パイロットにとって、配達物は命の次に大切なもの。

 無事と聞いて、少し口調が柔らかくなる。


 だが思い出したように、唇の端が強ばった。


「ところで〈スー〉は――――私の愛機は」


「ありゃ手酷くやられましたねぇ……もしよければ新しい機体を――――」


「いえ。……あの、修理は可能でしょうか」


「ううむ……まあ可能ですが1週間ほどかかりますよ?」


「……お願いします。大切な、相棒なんです」


「――――なるほど。そういうことでしたら」

 

 代表は微笑んで、頷いた。

 その他諸々を打ち合わせた後、レクセルは一礼して部屋を出る。

 そのまま充てがわれた宿へ行き、寝た。

 

 配達人の修理費、滞在費は会社持ちが当たり前。

 こういう時、タダで観光ができると喜ぶ配達人が多いのだが、レクセルの気分は沈んだままであった。







 ところで。

 ジェミニの町といえば、〈愛の゙要塞(ラブ・フォートレス)〉という人気スポットで有名であった。


 駆け落ちしてきた敵国の姫と騎士を匿い、追手から守りきったという逸話が残るこの砦には、毎年多くのカップルが訪れる。

 引き裂かれずに済んだ2人の仲にあやかって、永遠の愛を誓いに来る者が多いのだとか。


 ――――そんな恋人同伴推奨スポットに、1人で来ている少女は誰か。

 

 滞在2日目のレクセルである。


「あの子、1人で来てるわ……」


「あれほど美しい容姿なら、自分自身に恋をしても不思議じゃないわよ。一人二役ね」


「あぁなるほど。多様性の時代だものね」


 ……めっちゃ浮いていた。

 そしていろいろ誤解されていた。

 レクセルは目立たないように、少し屈んで小さくなった。


「あの女の子、恋人とはぐれたのかな? 声かけようか?」


「かわいそうに……でも心細くなったところに助けに来てくれるパートナーってのも、よくない?」


「ああいいっ……! それなら手出し無用だね!」


 ……そしたら違う誤解をされた。

 それどころか理想のシチュまで妄想される始末。

 

 ――――頭の中ピンク単色なの?


 聞こえてきた声に内心ツッコむも、ここはそういう人が集まってくる場所である。

 訪れたレクセルも人のことは言えない。


 石造りの狭い階段を上がりきると、いきなり目の前がぱっと開けた。

 風がふわりと吹き抜ける。

 青い空が広がる、広々とした展望台。


「――――まさにこの場所で、姫と騎士は永遠の愛を誓い合ったのです!」


 後ろから来たツアーの一団が歓声を上げる。

 流れてきたガイドの言葉をなんとなく聞きながら、レクセルは城壁に肘をつく。


「はぁああぁ……」


 ――――長い、吐息が漏れた。


 眼下に広がる町が、絨毯のように続いている。

 隙間をちょこちょこ動いてる小さいのが、人間。 

 眺めていたら、自分がとてもちっぽけなものに思えてきた。

 

 傷付いたこととか、悩んでたこととか。

 もう、いろいろ、どうでもよくない……?


 なんて一瞬、思ったけれど。


 ――――ボク。

 レクシーのこと、好きなんだ――――。


「…………どうでも、よくないな」


 告白してきた時のハレーが、脳裏に浮かぶ。

 少し潤んだ、決意を込めた緑の瞳。

 それは真っ直ぐ一直線に、こちらへと向いていたのに。

  

 ……自分はその気持ちを、真正面から受け止めなかった。

 私は一般論を盾にして、目を逸らした。

 理解できないと、勝手に決めつけて。


 断るにしろ、受け入れるにしろ。

 ハレーの気持ちをちゃんと理解してからにしたい。

 

 ……女心を理解できるようにならなければ。

 そのために、遊便になったんだから。


「――――とは、思うけど」


 正直なところ――――。

 今、誰かとデートする気にはどうしてもなれなかった。

 この前のことがちらついてダメ。

 しばらくは無理って感じ。


「………………」


 それとなく周りを見る。

 愛の要塞という名に恥じぬカップル率。

 手を繋いでいるのがデフォルトである。アツアツである。

 外だから涼しいのが救いだった。

 

 適当に向けた視線の先でさえ、恥ずかしそうに見つめ合う2人がいる。

 レクセルと同じくらいの少女たちだった。

 

 ふうん。

 いい感じじゃん――――とそれを見ていたレクセルは。


「…………あ」


 ――――なんかひらめいた。






「――――すみません、ちょっといいですか?」


 唐突に声をかけられて、握り合った手がきゅっとなる。

 快活少女とダウナー少女のカップルが、顔を見合わせて足を止めた。


「……なんですか――――」


 怪訝な顔で振り返ると、そこにいたのは。


「――――うわ顔面えぐ!?」


「わぁめっちゃ美人さんだ〜」

 

 レクセルであった。


「顔面、えぐ………………?」


 ……勘違いして呆然とするレクセルであった。


「私……そんなに醜い……?」


「え? いや違うよ、顔整いヤバってことだよ!?」


「その容姿で醜いはないでしょ〜」


 2人がかりでフォローされる。

 この前のことでレクセルはナーバスになっていた。

 なんとか誤解も解けたところで。


「……で、あたしたちになにか?」


 快活なほうの少女が、警戒心もあらわに尋ねた。


「言っとくけどナンパなら他を当たって。セキとデートしてるんだから」


「わぁ、レモンかっこいい〜」


 ツンと言い放った恋人――レモンを、セキと呼ばれた少女が茶化す。

 少し赤くなりながら、どうなのよ!? と腰に手を当てるレモンへ、レクセルは軽く首を振った。

 

「――――ナンパなんかしないよ。ちょっと話を聞きたいだけで」


「……話って、なんの?」


「お似合いな2人の惚気話を――――」 


「セキ聞いたっ!? あたしたちお似合いだって!」


「うんうん、よかったねえ〜」


「――――あの」


「もちろんいいよっ! いくらでも惚気たる!」


「――――あ、うん。ありがとう……」


 勢いに圧倒されるレクセル。

 一瞬で手の平を返したレモンに、チョロいなあ〜とセキがころころ笑っていた。

読んでいただき、ありがとうございます!

続きは毎日【お昼】に更新!

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