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ボクっ娘幼なじみが本命の最強美少女パイロット、女心を学ぼうとして全部間違える 〜女の子とデートしまくれば百合が理解できるよね(???)〜  作者: そらいろきいろ
003 / 死ぬのは奴らよ

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#11 レクセル、ざまぁする

「オラ聞いてんのかこのガキ!」


 声を張り上げながら、男は背後の〈スコルピウス〉を振り返る。

 ノコノコ単機でやってきた今日の獲物は、か弱そうな美少女ときた。

 

 少し脅せば荷物も身体も手に入ると思っていたが、どうやら気が強い性格らしく、未だに言うことを聞く様子がない。

 

 まさかこの状況で、自分たちを出し抜けるとでも思っているのか?


「ハッ、ばっかじゃねーの! 一撃で墜としでもしなけりゃお前は風穴だらけ、たかが2門の機銃でなにが出来らァ!」


 気丈な態度に少し焦ったが、なにも警戒するこたぁねぇ――――なんて男は余裕を取り戻す。

 少女からの応答はなかった。


「痛い目見ねぇと分かんねぇようだなァ? おいお前ら、死なねー程度にぶっ放して――――」

 

『……その計算さ、弾の大きさ無視してるよ』

 

「あァ!? なに言ってやがぶべあッ」


 刹那。

 着弾の衝撃が男を窓へ叩きつけた。

 ぐらりと機体がバランスを崩し、反対側のガラスにも叩きつけられ、たまらず額から血が噴き出す。

 赤く染まる視界の中、慌ててバランスを戻そうとするが――――操縦桿に手応えがない……!


「クソガキなにしやがった――――ぁ……」


 激昂した男の目に、信じられないものが映り込む。

 翼の半分から先が、きれいに消失していたのだ。


「バッ、バカな……」


 12.7ミリ弾には、風穴を開ける程度の威力しかない。

 こんな、翼ごと粉砕する威力なんてありえねぇ。


「おっ俺様を誰だと思ってやがるっ、〈地獄のティアマ――――〉」


『名前は墓石に刻みなよ』


「ひっ、ひぃぃッ!」


 冷たい言葉とともに。

 めきめきと響いてきた音に、思わず情けない悲鳴を上げる。

 それはかろうじて耐えていた残りの翼が、風圧に負けて破壊された音であった……。





 

「――――まずはひとつ」


 前を塞いでいた略奪機を墜とし、レクセルはスロットルをカットした。

 プロペラが推進力を失う。

 展開されたフラップが風を掴み、機体を急減速させる。

 背後の略奪機は対応しきれず、勢い余って〈スー〉を追い越し、揃って前へ出てしまう。


『うおッ!?』

 

『なっ!?』

 

『っクソがァ!』


 目の前で混乱する3機の敵へ。

 どん、どん、どん…………と。

 レクセルは順番に()()を向け、引き金を引いた。


 ――――重量増加、燃費は悪化、副武装は全て撤去。

 その代償と引き換えに搭載されているのは、たった1門の〈37ミリ機関砲〉。


 〈スー〉の武装はそれのみである。

 しかし…………それは連射できる()()()

 本来なら飛行機に載せる代物ではない、規格外の火力が、轟音と共に略奪機へ襲いかかった。

 

 ――――1機目、胴体後部へ命中。

 操縦席から後ろが吹き飛び、大破。

 

 続いて2機目、エンジンに直撃。

 大穴を穿たれ、煙を噴き出し墜落。

 

 最後の3機目は燃料タンクに被弾。

 大爆発を起こし、粉々になって消失。


「……略奪機、4機排除」

 

 きらきら舞い散るジュラルミンを置き去りにして、〈スー〉が青空を駆け抜ける。

 レクセルが腕利きと言われる所以がここにあった。


 くるりと旋回して周囲を眺める。

 他に敵がいないことを確認してから、レクセルはふぅと息をつく。

 立ち上る黒煙に手を合わせ、黙祷をささげた。


「…………よし」


 ポーチから手帳を取り出し鉛筆を走らせる。

 記されていくのは、遭遇した略奪機の情報。

 襲撃を受けてもすぐに逃げず、敵のペースに合わせていたのは、この情報を得るためであった。


「――――空域D5にて4機から襲撃。機種は〈サギタリウス〉火力強化モデル。操縦士は典型的なイキリ野郎……っと!」


 文章に若干ムカつきが混じったが、気付かずパタンと手帳を閉じる。

 これを会社へ報告、配達人の間で共有することで、襲われるリスクを減らすのだ。

 レクセルは速度を上げて、先を急いだ。






「連絡は受けていましたが……まさか本当に危険空域を突っ切ってくるなんて!」


 無事にパラナルへ到着したレクセルは、感嘆の声に囲まれていた。

 載せてきた荷物が背後で運び出される中、困った顔で周りを見回す。

 男女問わず、たくさんの配達人が人だかりを作り、キラキラした眼差しを向けてくる。


 今の時間なら空にいるはずの配達人たちが、どうしてこんなにいるんだ……?


「やっぱ遊便の人って強いんですねっ!」

 

「……略奪機が油断していたから、なんとか」

 

「またまたー」

 

「だからって全機撃墜はすごいですよ!」

 

「なー!」

 

「うむ!」

 

「……あの、それよりみなさん、お仕事は?」


 苦し紛れに尋ねてみると。


「……………………」

 

「えぇ……」


 しーん。

 賑やかさは一瞬で消え去り、沈黙が広がった。

 どことなく怒りのオーラまで伝わってきて、レクセルはごくりとつばを飲み込む。


「あー、ストライキ中とか……?」


 違った。

 一斉に首を振られるレクセル。

 

 もしかして……。

 なにか失礼なことしたか、と冷や汗をかいたちょうどその時――――。


「全部、略奪機のせいよ!」


 ――――人混みの後ろから、よく通る声が響いた。

 

 さぁっと人垣が割れる。

 声の主はレクセルの元までつかつかとやって来て、ん! と片手を出した。


 ……あ、握手かこれ。

 レクセルはちょっと遅れてその手を握る。

 少女は一瞬頬を染めたが、すぐにそれを消して自己紹介をした。


「――――ビエラよ。この〈エンベロープ・エクスプレス〉で配達人をまとめているわ」

 

「私はレクセル、よろしく。――――ところで、略奪機のせい……とは」

 

「奴らに航路を封鎖されてるの! そのせいで通常便は全て運休っ!」


 赤毛のツインテールをぶおんと揺らし、ビエラはフン! と鼻を鳴らした。

 

 ふーん。だから配達人が足止め食らってるのか。

 納得がいくレクセル。


「……ってことは、配達の仕事はない感じか」

 

「まぁそうね。せっかく来てくれたのに悪いけど」

 

「じゃあさビエラ、私とデートしてくれない?」

 

「――――――――――は?」


 ツインテールがぴしり、と固まる。

 一拍置いて、周りから黄色い歓声が上がった。

読んでいただき、ありがとうございます!

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