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見捨てられた姫様は国を亡ぼす資格があるらしい  作者: サチオウ
リートス学園・指導と求知

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第97話 サティエルの実力2

家庭教師のオーギュストがサティエルの剣の腕を確認するため対峙した。


オーギュストが感心したように目を細める。


「ほう……“剣も使える”とは言っておったが、様になっとるじゃないか。

では――そちらから打ち込んできなさい」


サティエルが踏み込み、鋭く一撃を放つ。


オーギュストが受け、流れるように反撃。


数度、木剣が打ち合わされ、乾いた音が稽古場に響いた。


「翠嵐流の剣筋か?」


「ええ、まあ。少し、違う部分もありますけど……」


「少し本気でいくぞ!」


再び木剣がぶつかる。


その手応えの中で、オーギュストの眉がわずかに動いた。


――おかしい。この娘、強い。


学生どころか、熟練の剣士の領域に近い。


どこかで剣を交えた記憶がある気がする……なぜだ。

ふと脳裏に、かつての教え子・エルネスタの姿がよぎった。


少し試したい、というか意地悪をしてみたくなったオーギュストは、ふと構えを変える。


「では――これを受けてみなさい」


翠嵐流秘技《天地鳴動》。


振り下ろした剣を地に打ち付け、その反動を利用して切り上げる変則技。


一度かわしても、すぐに逆方向から刃がくるため、虚を突くことができる。

剣が振り下ろされ――地面を跳ねた。


その瞬間、サティエルは剣を片手だけに持ち、跳ね上がる刃を横に弾き飛ばす。


そのまま間合いを詰め、空いていた手で掌底を軽くオーギュストの胸に当てた。


トン――と軽く触れる。


オーギュストは後方に一歩よろめき、動きを止めた。


「……まいった。完全に読まれておった。完敗じゃ」


「先生、勝負してたわけじゃありませんよ」


「ははは、すまんすまん。

久しぶりに、知り合い以外の“強い相手”に出会ったものでな。ついやってしまった。

しかしそれだけの腕があれば、学園編入など問題ないじゃろう。

ついでに、得意という徒手武術の方も見せてもらえんか?」


「はい。先生は剣を使ってもいいですよ」


「ほう……そこまで言うか。――では、行くぞ」


剣士と素手の武術家。


明らかにリーチはオーギュストの方が長い。


だが、サティエルは一瞬の溜めもなく、ふっと姿を消すように前へ。


オーギュストが反応して剣を振るうその直前――


サティエルは《気功蹠》で急加速、一気に間合いを詰めた。


剣が振り切られる前に腕を掴み、体重を乗せて軽く投げる。


老人の身体が空を描き、稽古場の床に軽やかに転がった。


「……今のは?」


「私の使う“柔気流気功術”の基本技です」


オーギュストは仰向けのまま、空を見上げて笑った。


「老いたとはいえ、手も足も出んとは……世の中は広いのう」


立ち上がると、真面目な顔で言った。


「失礼した。まさかこれほどとは。わしが教えられる範囲を、とうに越えておる」


「いえ、先生と立ち会えてうれしかったです」


サティエル――いや、エルネスタは、懐かしい師との再会を通して、自分の成長を実感していた。


オーギュストは微笑みを浮かべた。


「そう言ってもらえると嬉しいのう。

とはいえ、わしへの依頼は“学園編入できるように”という話だった。これで、もう仕事は終わりじゃな」


「いえ、そう言わずに。私の仲間に“嵐牙流”の双剣使いがいるんです。

もしよければ、三流派で交流し、互いに教え合いませんか?」


「ほう、それは面白い話じゃ。だが、侯爵様が許してくれるかの?」


「皆が強くなる機会ですし、大丈夫だと思いますよ」


そうして話はまとまり、

しばらくの間――翠嵐流、嵐牙流、柔気流による三流派の交流稽古をすることとなったのだった。

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