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見捨てられた姫様は国を亡ぼす資格があるらしい  作者: サチオウ
リートス学園・指導と求知

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第96話 サティエルの実力1

翌日から、サティエルたちには家庭教師が付くことになった。


サティエルには勉学・礼儀作法・剣術の教師が、他の仲間には礼儀作法の教師が付き、みっちりと仕込んでくれるという。


まずサティエルは、学力の確認として実力テストを受けることになった。


日ごとに科目が変わり、担当の教師たちが入れ替わりでやってくる。


本人曰く「かなりブランクがあるからいまいち」とのことだったが、結果を見た教師たちは皆、目を丸くした。


――すでにリートス学園の編入試験を合格できる水準に達していたからだ。


それでもサティエルは、初歩からの参考書を用意してもらうよう頼んだ。

というのも、この回答のほとんどはエルネスタが行っていたためである。


彼女としては、同じ身体の中で共に存在するサティシアにも、しっかり学んでもらいたかった。


二人の魂は密接に結びついており、思考や記憶は脳内伝達によって通常よりも何倍もの速さで共有できる。


この仕組みを利用して、エルネスタはサティシアを教育しているのだ。


もちろん、この一月で全てを覚えられるわけではない。


それでも、学園に入ってからも勉強を続け、できる限り早い段階で知識と技能を身につけさせるつもりだった。


そのため、サティエルの一日は朝から晩までびっしりと詰め込まれる。

当然、サティシアは不満を漏らす。


「ねぇ、エルネスタがわかっていれば問題ないでしょ?」


「いえ、二人のレベルが上がってこそ、二人で一人の真価が発揮されるはずよ」


――確かに、それは理屈として正しい。


けれどエルネスタの本音は、別のところにあった。


彼女は密かに、自分がこの体に居続けられるかどうか、不安を抱いていたのだ。


こうして、自分の魂が残ったのは、生への未練なのか、神様の気まぐれなのか本当のところはわからない。


少なくとも、魔力石化症のサティシアを助けるという役目はあったのだと思う。

しかし、サティシアが成長し、病気が克服できれば自分の存在は不要になるかもしれない。


そして、その時――自分は消えるのではないかという予感があった。


だからこそ、サティシアに知識を伝え、いつか自分がいなくなっても大丈夫なようにしておきたかったのだった。


*  *


剣術の家庭教師がやってくる日が訪れる。


サティエルは事前に「気功術使い」として申請していた。


魔法使いと名乗るよりも、普段の立ち回りが楽だという判断からだ。


一応、「武器を使わない武術が得意だが、剣術も扱える」という設定にしてある。


その日の午前、稽古場に姿を見せたのは――

かつてエルネスタが師事した翠嵐流の剣士、オーギュストだった。


かれこれ8年ぶりだろうか。


年齢を重ね、髭も白くなっていたが、その眼光は昔と変わらない。


サティエル(エルネスタ)は胸の奥で微かに笑った。


昔はまったく敵わなかったけど……今なら、どうかしら。


「お嬢さん、武器を使わぬ徒手武術が得意と聞いたが、あいにくわしは剣しか使えん。

まずは剣の腕を見てやろう」


――嘘である。


この老人が剣だけの男ではないことを、エルネスタは誰よりも知っていた。


二人は木剣を手に取り、軽く構えを取った。

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