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見捨てられた姫様は国を亡ぼす資格があるらしい  作者: サチオウ
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第85話 シルヴィア VS イーヴァル再び

魔物迎撃の命令を受けた深紅の爪傭兵団イーヴァルは舌打ちする。

「ちっ……自分たちで呼び出した魔物に襲われるとはな。ゲルデン軍の馬鹿どもめ」


傭兵団が受けた命令はあまり具体性がなく曖昧だった。


「好都合だ。俺たちは“本軍の支援に回る”といって機会を伺おう」


そう考え、戦況を見るため一人、近くの丘に登った。

魔物の勢いが衰えてから参戦し、手柄を横取りするつもりだった。


だが、魔物を率いてきたシルヴィアも魔物をゲルデン軍に押し付け丘を登ってきていたのである。



思わぬ再会に、二人は再び刃を交える。


「貴様……生きていたか。怪鳥に食われたと思ってたぜ」


「ふふ、残念ね。仇を討てるように神様が助けてくれたみたい」


「ぬかせ! だが貴様の腕では俺に勝てん!」


「どうかしら。今度こそ討たせてもらうわ!」


シルヴィアはサティエルの言葉を思い出し、余計な力を抜いて構えた。

先に動いたのは彼女。剣戟の音が響き、攻防が続く。


……あれ? 前より相手の動きが鈍い?

そう感じるシルヴィア。


だがイーヴァルの方はまるで逆だった。

なんだこいつ……前と違う! 動きが鋭い上に、一撃が重い!


実際に、無駄な力を抜いた分、動きが滑らかになり、その分、攻撃の鋭さは増していた。

さらに切り札《幻影剣》の存在が心の余裕を生み、この戦い方を可能にしていた。


互角の攻防が続いたのち、イーヴァルは賭けに出る。

大きく隙を見せ、シルヴィアを誘ったのだ。


「……!」

シルヴィアは即座に反応し、左右の剣を交差する構え――《風牙流・双牙剣》を繰り出す。


かかったな……! その技は見切ってる!

迫る二本の剣のうち一方を狙い、前回と同じく力を叩き込むイーヴァル。


だが――刃はすり抜け、もう一方の剣が脇腹を裂いた。

「ぐっ……!」


血を噴きながらも、イーヴァルは隙を突いて反撃する。

だがその一撃も、シルヴィアの剣にすり抜けられ、胸を切り裂かれた。


「なっ……!? ぐふっ……!」


イーヴァルは膝を折り、そのまま地に崩れ落ちた。


「……終わった……」


宿敵を討ち果たした。

確かに――目的は果たしたはずだった。


それなのに。


胸の奥に広がるのは、達成感ではなく、どこか空白のような感覚だった。

喜びも、安堵も、思ったほど湧いてこない。


ただ、静かに――何かが抜け落ちたような虚しさだけが残る。


……仇を討っても、空しいものね。


そう思いながらも、戦場から響く魔物の咆哮が彼女を現実へ引き戻した。

シルヴィアは丘の上に登り直し、戦況を見渡す。


ゲルデン軍はすでにサイクロプス二体を討ち倒し、トロールやレッサーデーモンも残りわずか。だが、その代償に兵の多くが倒れ、戦力は大きく削がれていた。


そして戦場の後方――黒鉄傭兵団とシュレスタイン軍の旗が見えた。


「……ゲルデン軍はもう終わりね。

それにしても……サティエルの作戦、ここまで上手くいくなんて。

ほんと、あの娘はすごいわ」


シルヴィアはそう呟き、胸の奥に複雑な感情を抱えたまま戦況を見つめ続けたのだった。

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