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見捨てられた姫様は国を亡ぼす資格があるらしい  作者: サチオウ
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第82話 動き出す両軍

数日が経ち、カルメロのもとに新たな連絡が届いた。


「『今夜、兵を出して目の前の敵に夜襲をかける。そちらは背後からかく乱せよ』――そういう指示です」


オフィーリアが眉をひそめる。

「なぜ今日なのですか?」


「ゲルデン軍が城の前で建造していた何かが完成間近だとか。それを壊すために動くそうです」


サティエルは以前、空から見たときの光景を思い出す。

「あれはいったい何の設備なんですか?」


「不明だ。正体が分からない以上、不気味だとして破壊を決めたらしい」


「具体的にはどう動けばいいの?」とサティエル。


「この森の奥から闇に紛れ、背後に回り込む。大軍に見せかけて騒ぎ立て、敵が反応したら適当に退けばいいとのことだ」


「分かった」



夕刻。任務のため森の端へ移動した一行は、思いがけない光景を目にする。


――ゲルデン軍が大神殿から撤退を始めていたのだ。


「どういうこと……?」

誰もが戸惑う。だが千載一遇の機会を逃すわけにはいかない。


エナメルの旅人とセレネは黒鉄傭兵団を離れ、大神殿の様子を探ることにした。


内部はオフィーリアの報告どおり無惨に破壊されていた。

とりわけ祭壇の周囲は徹底的に壊され、そこには――壊れた逆行の魔導具の残骸が転がっていた。


セレネは一瞬、顔を曇らせたが、すぐに気を引き締める。

「……月へ戻る方法は、別に考えましょう。今はまず、この神殿の人々が生きているか確かめないと」


覚悟していたつもりでも、実際に目の当たりにすると衝撃は大きい。

それでもセレネはカラ元気を振り絞り、この言葉を口にした。


サティエルも胸に重い失望を抱いたが、セレネの口ぶりから「月へ行く別の道がある」ことを感じ取り、かすかな希望をつないだ。

彼女は壊れた魔導具をそっと魔法袋にしまう。


その後、一行は大神殿を探索する。

書庫の本はすべてなくなっており、棚には塵だけが残っていた。


セレネは吐息まじりに呟く。

「……ここに残されていたはずの知識も、持っていかれたのですね」


さらに地下牢では、生存者たちを発見する。

衰弱はしていたが動ける者も多く、彼らを解放して状況を伝えた。


その後の行動は彼らに任せ、エナメルの旅人たちは神殿を後にした。



そこで目にしたのは、空に浮かぶ満月。

そして、ゲルデン軍が作業を進めていた場所から、淡い光が放たれていた。


サティエルは即座に理解する。

「あれは……ムーンゲート」


姿を現す輝く門。その直後、防護壁が崩れ落ち、ゲルデン軍が慌ただしく撤退していくのが見えた。


「やばいじゃない!」とシルヴィアが叫ぶ。

「あれがムーンゲートなら、すぐにゲルデン軍が作っていたものを壊さないと!」


セレネがすかさず首を振る。

「あの構造物がゲートを生み出しているわけではありません」


サティエルも直感で察していた。

「あれは発生を誘導しただけ?」


「その通りです。

あくまでムーンゲートは月とテラエの力により発生します。

出現場所が固定された以上、もう止められません」


オフィーリアが呟く。

「……つまり魔物を出現させて町に襲わせる気だったのね。中途半端に攻めていたのも、そのためか」


まだ魔物は出現していないが、町から矢が飛び、ムーンゲートを射抜こうとする姿が見える。


「ムーンゲートの魔物って、やっぱり町を襲うの?」とシルヴィア。


「ああ、間違いなく」オフィーリアは断言する。


「もともと人を襲う性質があるのに加え攻撃されたら、確実に狙いを町に向けるだろう」


「じゃあ、私たちは?」


「とりあえず黒鉄傭兵団のところに戻ろう」


サティエルたちはそう判断し、黒鉄傭兵団の方へ戻っていく。

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