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見捨てられた姫様は国を亡ぼす資格があるらしい  作者: サチオウ
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第80話 シルヴィア VS イーヴァル

相手が仇だとほぼ確信していたが、念のため、シルヴィアは呼吸を整え、声をかける。


「イーヴァル団長……!」


「ん? なんだお前は」

怪訝そうに振り返る大男。


その反応で確信する。やはりこいつがイーヴァルで間違いない。


「仇を討たせてもらう」


「仇だぁ? ……ふん、覚えが多すぎて困るな。どこの誰だ?」


「モルキア王国ノニア地方を襲ったでしょ。あのとき殺された両親の仇よ!」


「ほう、あそこか。確かに心当たりがある。

俺たちの仲間を斬りまくった剣士がいてな……その連中の仲間ってんなら、逆にお前は俺らの仇だ!」


「誰が仇だ! ――覚悟しろ!」


二振りの剣が閃き、シルヴィアが飛びかかる。

イーヴァルは巨大な大剣を構え、正面から受け止めた。


鋭く速い手数で斬り込むシルヴィアに対し、イーヴァルは一撃ごとが重い。

火花を散らしながら刃が打ち合わされ、互角の攻防が続く。


だが次第に、力任せの圧力でイーヴァルがわずかに優勢を掴み始めていた――。



ろっくんが森の上空を滑空していた。

サティエルの視界に映ったのは――戦っている人影。


「……シルヴィア!?」


双剣を操るその姿は、間違いなく彼女のものだった。


しかも相手はただ者ではない。筋骨隆々の巨体で、大剣を軽々振るっている。

その男の腕に刻まれた赤い鱗の刺青を見て、サティエルは息を呑む。


――まさか、あれがシルヴィアの仇。


戦況は芳しくない。彼女は次第に追い詰められていた。


シルヴィアは焦燥を押し隠し、渾身の一撃を放つ。


「双牙斬!」


二振りの剣を交差させ、同時に横へ振り抜く必殺の型。

だがイーヴァルは即座に反応した。片方の刃に狙いを定め、大剣を叩きつける。


轟音。弾かれた衝撃でシルヴィアの体勢は大きく崩れ、もう一方の剣は虚空を切る。


「がっ――」


間髪入れず、イーヴァルの蹴りが叩き込まれた。

巨岩のような一撃。シルヴィアの体は宙を舞い、背後の大木へ激突する。


鈍い音。息が詰まり、全身が痺れる。

動けない――!


その瞬間、影が頭上を覆った。


音もなく空から急降下してきたのは、巨大な鳥――ロック鳥。

鋭い爪がシルヴィアの体を掴み、そのまま上空へと舞い上がった。


「なっ……!」


イーヴァルは唖然とし、舌打ちする。


「チッ……空から弱った奴を狙ってやがったか。こんなところにあんなやつが潜んでいたとは……」


そう吐き捨て、森の奥へと姿を消した。


サティエルはろっくんに運ばれてきたシルヴィアを抱きとめる。

彼女の顔は蒼白で、荒い呼吸を繰り返していた。


「シルヴィア! 大丈夫?」


かすかに瞼が動き、苦しげに視線を返すものの、言葉は出てこない。


「……待ってて!」


サティエルは決めておいた信号魔法を打ち上げ、オフィーリアに撤退を伝える。

そしてろっくんに乗り、急ぎ黒鉄傭兵団のキャンプへと引き返した。


「セレネ! いる?」


「はい!」


駆け寄ったセレネの視線が、ぐったりしたシルヴィアをとらえる。


「これは……かなりの重傷ですね。でも大丈夫。すぐに治ります」


セレネが魔法をかける。


「ヒール!」


淡い光がシルヴィアの体を包み、顔色がみるみる戻っていく。

荒かった呼吸も次第に落ち着き、ようやく力ある声が漏れた。


「……助かった……」


「まだですよ。肋骨はまだ折れたままです。しばらく動かないでください」


「……すまない」


シルヴィアは弱々しくも頷き、静かに目を閉じた。

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