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見捨てられた姫様は国を亡ぼす資格があるらしい  作者: サチオウ
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第68話 強い冒険者?

村人に続いて進んでいるとやがて建物の影が見え、村に到着する。


剣を帯びた身なりの良い男が彼らを見つけて声をかけた。

「どうした? 何かあったのか」


「トールヴァルドさん、すんません。途中で病人に出くわしちまって……とりあえず村まで連れてきました。この人たち置いたら町へ行きます」


「ああ、わかった」


そう言って男は、一行を使われていない小屋に案内し、村長に声をかけて小屋を借り受ける。


「面倒を見てやれずすまん。我らはこれから町へ行き、強い冒険者を呼ばねばならんのだ」


「私たち、冒険者ですけど」シルヴィアが反応した。


「なんと? いや、悪いが必要なのは“強い冒険者”でな」


「……私たち、かなり強いよ」


「本当か?」


「ええ。Aランクパーティですから」


「なんですと!? では、ぜひ我らを助けていただきたい!」


「その前に、まず事情を聞かせてください」


「おお、すまん。少々お待ちを」



男は小屋を出ていき、やがて先ほどの剣士トールヴァルドを連れて戻ってきた。


トールヴァルドは一行を一目見て、訝しげな表情を浮かべる。

「……あなた方が、Aランクパーティなのですか?」


「はい」


トールヴァルトバルトはこの四人組をよく観察した。先ほどの質問に答えたエルフの女性、その隣に立っている若い剣士の二人は確かに腕は立ちそうだ。だが――残る二人はどう見ても怪しい。フードを深く被り、顔を隠している。事情を抱えているのか、それとも……。冒険者にしてはどこか異質な雰囲気だ。


だが、この山道を抜けてきた時点で訳ありなのは明らか。しかし、堂々と私の前に姿を見せ、協力をする意思を見せている以上、犯罪者ではあるまい……。

思考を切り替え、トールヴァルドは深く頭を下げた。


「私はラップレリア王国から派遣された調査隊隊長、トールヴァルドと申します。近頃、この地では水に毒が混じる、土地が急に痩せるといった報告が相次いでいました。汚染源を探るために調査を進めたところ――この村の近くで、巨大な魔物に遭遇したのです」


一行は息を呑んだ。


「それは……巨大な蛇の胴に五つの首を持つ大蛇――ヒュドラ。猛毒をまき散らす魔物として知られています。調査隊はたった三名。戦うわけにもいかず、立ち去ろうとしたところで見つかってしまい……二人が毒霧を吸い込み、村で療養する羽目になりました」


「本来なら王国に戻り討伐隊を編成すべきところですが、ヒュドラの動きが妙なのです。普段なら近寄らぬ村落近くを徘徊している……。今にもここを襲うかもしれない。ゆえに、私は残り、村人に冒険者を呼ぶよう頼んでいたのです」


サティエルがその言葉に反応する。

「ここの人たち、そんな状況なのに私たちを助けてくれたんだ。優しい人たちだよね。じゃあ今度は私が助けてあげる」


マントの人物から放たれたその言葉に、トールヴァルドは目を瞬いた。若い女性の声――この人物が主なのか?


「だが四人増えても状況は変わらんだろう。しかも一人は負傷している……」


「大丈夫だよ」


「お嬢さん。毒霧を甘く見てはならん」


その時、口を開いたのは“病人”と言われていたセレネだった。


「あの……私、結界魔法や浄化魔法が使えます。毒霧を防ぎ、毒も無効化できます。後方支援なら、お役に立てるはずです」


「なに……? 神官なのか……?」


「それに、毒に侵された方々も癒せると思います。治療しましょうか?」


「なんと……! ぜひ頼む!」


一行はトールヴァルドに導かれ、別の小屋へ向かった。中には苦悶の表情で横たわる二人の男がいた。


セレネが静かに歩み寄る。

「体表にも毒が付着していますね。まずは浄化を」


彼女は腕を広げ、祈るように呪文を紡ぐ。


「――ピュリフィケイション」


淡い光が患者の全身を包み込み、毒を洗い流していく。


「次に解毒を」

胸と口元へ手を添え、光を注ぐ。


「――デトキシフィケイション」


二人の体から苦しみが少しずつ消えていく。さらにセレネは続けた。


「――ヒール」


淡い癒しの光が肉体を修復し、男たちの呼吸が落ち着いていった。


「これで治療は終わりです。ただ、毒と戦い続けた疲労は残ります。しばらく安静にさせてください」


トールヴァルドは驚愕を隠せなかった。

「……ありがとうございます。彼らは助かりました。あなた様、まさか高位の神官様で……?」


「いえ……」セレネは小さく首を振る。


「失礼を。詮索はいたしません。私はしばらく彼らの傍におります。皆さまは休んでください」

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