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見捨てられた姫様は国を亡ぼす資格があるらしい  作者: サチオウ
リートス学園・指導と求知

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第108話 ガツンとやってみた1

そして次の授業の日。


いつもより空気が重い。学生たちの視線には、前回の戸惑いと不信が混ざっていた。


サティエルはその空気を感じ取り、教場の中央に進み出た。


「皆さんに謝らなくてはいけません。前回の授業、あまり評判が良くなかったようで……すみませんでした」


その一言で、場がざわつく。

教師が生徒に頭を下げるなど、想定外のことだった。


「どうやら、私が教えたい《柔気流気功術》の魅力が十分に伝わらなかったようです」


“そういうことじゃない”という空気が、全体に広がる。

一部の学生は呆れたようにため息をつき、眉をひそめる者もいた。


だが、サティエルは静かに続けた。


「今回は、皆さんに私の技を“体験”してもらおうと思います。

見ても分からなかったなら、感じてもらうのが一番です」


ざわり、と空気が揺れる。


「ただし――怪我をするかもしれません。ですから希望者だけにします。

もし怪我をしても、ここにいるセレネが魔法で治療します。安心してください」


「体験って……」「あの演技みたいなやつ?」

教場のあちこちから声が上がる。


サティエルは軽く頷くと、真っ直ぐに学生たちを見渡した。


「”体験”のやり方ですが......、

全力で私に攻撃してください。

それを”柔気流気功術”で返します。

どんな攻撃でも構いません。

遠慮せず、全力でお願いします」


戸惑いが広がる。だが、その中で一人の男子が静かに手を上げた。

大柄で、気功の扱いに優れるマクシムだ。


「はい、俺がやります」


全員が息を呑む中、サティエルは微笑んだ。

「ありがとう。ではお願いします」


二人が中央に立ち、対峙する。


「全力でお願いします。その方が、皆にも分かりやすいでしょうから」


「全力でやると、先生が怪我をしますよ」


「大丈夫。先生は――ギガントエイプでもサイクロプスの攻撃でも受け流せます。

万が一怪我をしても、ヒーラーがいますから安心してください」


「ギガントエイプ!?」「冗談だろ……」

笑う者、驚く者、呆れる者。反応はさまざまだ。


しかしマクシムは、サティエルの目に嘘がないことを感じ取った。


「……わかりました。では、全力で行きます」


マクシムは深く息を吸い、右腕に気を集中させる。

空気が震え、拳に重圧がこもった。


「――《アイアン・フィスト》!」


地面を砕くほどの一撃が、唸りを上げてサティエルを襲う。


だがその拳を――

サティエルが掌で受けに来る。


止められるものか!拳が突き進み掌の手ごたえを感じる。


「なっ……!?」


次の瞬間、マクシムの巨体が宙を舞い、地面に叩きつけられる。

強烈な衝撃音と共に、マクシムの視界が天地ごと反転した。


「ぐっ……はぁっ!」


何が起こったのか、まるで理解できない。

痛みが全身を走り、体が動かない。


「セレネ、治療をお願い」


「ちょっと、やりすぎですよ……」


「ちょうどいいくらいじゃないかしら?」


サティエルの淡々とした口調に、学生たちはドン引きである。

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